【UFC】UFC 275、5つの注目要素

UFC
チーム・協会

【UFC】

日本時間6月12日(日)、UFCが2019年に訪れて以来のシンガポールでUFC 275を実施する。

UFC 275には2つのタイトル戦が組まれている。ライトヘビー級王者のグローバー・テイシェイラがイリー・プロハースカと激突するほか、セミメインイベントではワレンチナ・シェフチェンコとタイラ・サントスが女子フライ級のタイトルをかけて争う予定だ。

その他の注目の試合としては、期待度最大クラスのリマッチで元女子ストロー級タイトル保持者たちが拳を交える。新たに戴冠したカーラ・エスパルザに挑むチャンスを手に入れるべく戦うのはヨアンナ・イェンドジェイチェクとジャン・ウェイリーだ。

2つのタイトル戦、史上最高クラスの試合のリマッチ、新星たちの激しいバトルが組まれているUFC 275のファイトカードは、1年で最も見応えのあるものの一つに数えられるだろう。

見どころ満載のUFC 275から、特に注目すべき5つの要素を下記にご紹介。

UFC会長選出2020年ファイト・オブ・ザ・イヤーの再戦

2020年3月7日(土)、イェンドジェイチェクとジャンはUFC 248のセミメインイベントで5ラウンドにわたる戦いを繰り広げた。このときはジャンがスプリット判定で競り勝ち、女子ストロー級タイトルを防衛している。2020年にUFC会長が選ぶファイト・オブ・ザ・イヤーに選ばれた歴史的な一戦を終えた後、2人のアスリートのキャリアは大きく転換していく。

当時の王者だったジャンはトップコンテンダーにして元チャンピオンのローズ・ナマユナスと対戦。ナマユナスといえば、2013年にジ・アルティメット・ファイター(TUF)シーズン20に登場して以来、女子ストロー級のトップファイターの一人だった選手でもある。2人がジャクソンビルで行われたUFC 261で対峙した際、開始から2分も経っていないタイミングでナマユナスが強烈なヘッドキックを繰り出し、ジャンからタイトルを奪っている。

過去22試合で初めての黒星をつけられたジャンはすぐにリマッチの機会を手にし、マディソン・スクエア・ガーデンを舞台とするUFC 268のセミメインイベントで再びナマユナスと相まみえた。ナマユナスの最初の猛攻に耐えた“マグナム“ことジャンだったが、5ラウンドにわたって一進一退のバトルを展開した末、キャリア初の連敗を喫している。

一方、UFC 248で敗れたイェンドジェイチェクはしばらくの間オクタゴンから遠ざかっていた。最近になって6試合の契約を結んだイェンドジェイチェクにとって、ジャンとのバトルは837日ぶりの試合になる。

勝っても負けても、ジャンとイェンドジェイチェクはおなじみの方向に進むだろう。つまり、タイトル戦に挑むか、ローズ・ナマユナスとの3戦目に臨むかだ。

イェンドジェイチェクがジャンへのリベンジを果たすことができれば、次に控えるのはエスパルザとの2度目の対戦だ。2人は2015年に、エスパルザが保有していたタイトルを懸けてUFC 185で拳を合わせており、このときに第2ラウンドでテクニカルノックアウト勝利を決めたことと、その後の5回のタイトル防衛によって、イェンドジェイチェクは女子ストロー級史上最大の選手の一人としてその名を馳せた。

今回は3ラウンドマッチとは言え、後に控えるタイトル戦や、いずれも3度目の手合わせとなる試合の存在から、必見の試合だと言える。

UFC現役最年長王者テイシェイラの初タイトル防衛戦

2020年9月にドミニク・レイエスとのタイトル戦で圧倒的な勝利を収めたヤン・ブラホビッチは、翌3月にイズラエル・アデサニヤを相手にタイトルを防衛し、世界最高のライトヘビー級ファイターとして世界にその名を知らしめた。

そこにやってきたのがグローバー・テイシェイラだ。2012年にUFCの扉を開いた42歳のベテランファイターは、2度目のタイトル奪取に成功。以前はUFC 172で、元王者のジョン・ジョーンズを相手に判定負けを喫し、一度手にしたベルトを失っている。

誕生日の2日後、テイシェイラはアブダビで実施されたUFC 267でブラホビッチと対峙し、第2ラウンド開始2分の段階で相手を王座から引きずり下ろした。テイシェイラがUFC史上最年長での初戴冠を果たしたのだ。テイシェイラのグラップリングはパウンド・フォー・パウンドで最強の部類に入ることが証明され、ブラホビッチやチアゴ・サントス、アンソニー・スミスといった危険なストライカーを弱体化させている。

6月11日にそのテイシェイラに挑戦するのが、オクタゴン3度目の登場となるナンバー2コンテンダーのイリー・プロハースカだ。これまでの2試合を見事なノックアウトで締めくくったプロハースカは、13連勝の記録を伸ばし、UFCキャリアを始めてわずか3戦で大金星を手にすることを狙う。RIZINやGLADIATORでライトヘビー級王者になったプロハースカは、これまでに28勝3敗、ノックアウト25回、サブミッション勝ち2回という見事な戦績を残している。

シェフチェンコが記録破りのタイトル7回防衛に挑戦

史上最高の総合格闘家の一人として自らの地位を確立したワレンチナ・シェフチェンコには、タイラ・サントスと戦うUFC 275でロンダ・ラウジーの記録を抜き、女子チャンピオンとしてUFC歴代最多にあたる7回のタイトル防衛を成功させる可能性がある。

ラウジーは女子総合格闘技(MMA)界のパイオニアであり、初の女性UFCチャンピオンであると同時に、2012年11月に女子選手として初めてUFCと契約を交わしたファイターでもある。後に殿堂入りを果たしたラウジーがチャンピオンとして見事に君臨していたことでUFCにおける女性の可能性に光が当たり、ひいてはシェフチェンコが新たな波を生み出すことにつながった。

シェフチェンコがUFCデビューを果たしたのはラウジーがスターダムの頂点に上り詰めていた2015年のこと。それから7年経った今、“バレット“ことシェフチェンコがラウジーの記録を更新し、UFCの歴史上で最も支配的な女子タイトルホルダーとなる可能性が生じている。

シェフチェンコは6回連続でタイトルを防衛しており、うち4回でフィニッシュを決めた。ランキングを上ってきたコンテンダーにとって、悪夢のような存在がシェフチェンコだ。女子フライ級ランキング4位のサントスはジョアン・ウッドとの試合の第1ラウンドでサブミッション勝利を決め、技能賞(パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト)とタイトル挑戦権を勝ち取っている。

サントスはこれまで19勝のうち、13回でフィニッシュを決めており、ノックアウトが10回、サブミッションが3回となっている。その一本勝ちの能力はシェフチェンコにとって脅威になるかもしれない。シェフチェンコがUFCキャリアで唯一、黒星をつけられている相手が、元女子バンタム級王者で、現女子フェザー級王者のアマンダ・ヌネスだ。

アンドレ・フィアリョが57日間で3試合に出場

2022年1月22日にショートノーティスでUFCデビューしたフィアリョが戦った相手は、型破りで派手なアプローチでファンに人気のウェルター級ファイター、ミシェル・ペレイラだった。難題に直面したフィアリョは3ラウンドマッチで劣勢になり、ユナニマス判定で初戦を落としている。

そこから迅速にUFCキャリアの立て直しに動いたフィアリョは、4月16日にミゲル・バエザを第1ラウンドTKO勝利で仕留める。3週間後の5月7日、フィアリョはキャメロン・ヴァンキャンプを第1ラウンドでノックアウト。前戦と合わせて2戦連続で技能賞を獲得した。

UFCまでに7年間のプロキャリアを積んできたフィアリョは、ヴァンキャンプ戦からわずか36日でUFC 275のオクタゴンに立つことで、失われてきた時間を取り戻そうとしている。

対するジェイク・マシューズは前回のショーン・ブレイディとの試合で敗北しているものの、UFC歴が8年になるベテランはそれまでの7戦中6戦で勝利しており、ポルトガル出身の有望株であるフィアリョの進撃を止めることを狙っているはずだ。

シンガポールで初めてのUFCペイ・パー・ビューイベント

UFC 275は東南アジアで初めてのPPVイベントであり、シンガポールでは5度目のイベントにあたる。一つのランドマーク的なイベントであるシンガポールでのUFC 275は、新規ファンのためのプラットフォームを提供すると同時に、地域のファイターたちが最高レベルのMMAを経験する機会にもなるだろう。

UFC 275は、このイベントに出場するアジアのコンテンダーである中国のジャン・ウェイリーやハイサアー・マハシャテ、リャン・ナや、韓国のチェ・スンウ、カン・ギョンホ、モンゴルのダナー・バットゲレルといったファイターたちにスポットライトを当てるだけではなく、ファイトウイークを通じて有望選手たちに光を当てていく。

UFCはシンガポール再訪の機会に、ファンにトッププロスペクトたちがトーナメントを勝ち抜いていく一連のシリーズイベントである『ROAD TO UFC Asia』を開催。4階級の選手たちが6月9日(木)と10日(金)にシンガポール・インドア・スタジアムで実施される1回戦に参加する。準決勝と決勝は今年、後ほどの日程で実施される。

また、UFC 275はUFCの新パートナーである『Airasia(エアアジア)』の“Super App(スーパーアプリ)”にとって初めてのイベントでもある。

最後にUFCがシンガポールで実施したイベントはUFCファイトナイト:マイア vs. アスクレンだ。2019年10月26日、メインイベントの第3ラウンドでデミアン・マイアがベン・アスクレンをサブミットで制した。

UFC 275:テイシェイラ vs. プロハースカは日本時間2022年6月12日(日)にシンガポール・インドア・スタジアムで開催される。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

UFC

世界最強のファイターが集う究極の総合格闘技団体UFCの情報を余すことなくお届け! 最新ニュースをはじめ、世界各国で開催されるイベントを完全網羅し、試合日程や結果、ランキング、選手データなど、さまざまな情報を配信します。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント