今年は混戦? 日本ダービーを分析する
【2021/5/30 東京11R 東京優駿(日本ダービー) 1着 10番 シャフリヤール(4番人気)】
人気別成績
■表1 【人気別成績】
ここでもうひとつ、人気にまつわるデータを紹介しておきたい。JRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1986年以降、皐月賞馬が次走日本ダービーで1番人気に支持されると【9.3.2.2】複勝率87.5%を記録するのに対し、2番人気以下にとどまると【1.2.2.12】同29.4%。ダービー2番人気以下で春のクラシック二冠を制覇した馬は1997年のサニーブライアン(6番人気)しかおらず、翌98年のセイウンスカイ(3番人気4着)以降は【0.1.1.7】同22.2%に終わっている。皐月賞馬はダービー当日の人気も重要なポイントだ。
枠番別成績
■表2 【枠番別成績】
主な前走レース別成績
■表3 【主な前走レース別成績】
前走皐月賞組の各種成績
■表4 【前走皐月賞組の各種成績】
皐月賞4コーナー通過順別成績(皐月賞から日本ダービー直行馬のみ)
■表5 【皐月賞4コーナー通過順別成績(皐月賞から日本ダービー直行馬のみ)】
その皐月賞4着以下だった馬で注目したいのは、4コーナーの通過順だ(表5)。皐月賞の4コーナーを8番手以内で通過して4着以下に終わった馬は、日本ダービーで【0.0.0.24】と好走なし。4着以下から巻き返せたのは2018年のダービー馬・ワグネリアン(皐月賞4角12番手・7着)など、皐月賞の4コーナーが9番手以下だった馬ばかりだ。
表4に戻り、皐月賞での上がり3ハロン順位別成績をみてみたい。前走・皐月賞の上がり3ハロンタイムが5位以内に入っていた馬は、日本ダービーで【6.8.4.23】複勝率43.9%。しかし6位以下だった馬は【1.0.1.43】で同4.4%と、好走確率は極めて低い。中でも、皐月賞が良馬場で行われた年(本年も良馬場)に上がり6位以下だった馬は【0.0.0.27】と1頭も好走馬が出ていない。
そしてもうひとつ、鞍上が前走から継続騎乗か乗り替わりかも皐月賞組のチェックポイント。皐月賞から乗り替わりで日本ダービーに出走した馬は【0.0.0.26】と全馬が馬券圏外に敗退した。皐月賞以外の組は継続騎乗【2.1.3.50】複勝率10.7%、乗り替わり【1.1.2.32】同11.1%と好走確率に差がないのとは対照的だ。
前走皐月賞以外からの好走馬
■表6 【前走皐月賞以外からの好走馬】
【結論】
一方、皐月賞馬のジオグリフは上がり34秒3で4位タイ。皐月賞3着のドウデュースは33秒8で1位だった。ジオグリフは福永騎手、ドウデュースは武豊騎手が引き続き騎乗予定で、2頭とも表4から特に問題は見当たらない。ただ皐月賞馬のジオグリフは当日の人気がカギを握り、1番人気か2番人気以下かで明暗が分かれる(表1本文)。下馬評では1番人気になるほどの支持を得るのはやや難しそうな雰囲気のため、現時点ではドウデュースを上位にとりたい。皐月賞の上がり3ハロン1位馬は、日本ダービー【4.0.0.7】で勝率36.4%。2〜3着がないため、買うなら馬単・3連単の1着候補だ。
皐月賞4着以下の馬はいずれも表4や表5で減点材料を抱えている。そんな中からあえて1頭挙げれば、皐月賞の4コーナー8番手でぎりぎり「8番手以内」に入ってしまったオニャンコポンだろうか。上がり34秒3は4位タイで、菅原明騎手が継続騎乗の予定だ。
別路線組では毎日杯の優勝馬ピースオブエイト、青葉賞を勝ったプラダリア、そしてプリンシパルSの覇者セイウンハーデスがいずれも前走の4コーナーを5番手以内で通過していた(表6)。特に、近年好走が続く9番人気以下になる馬がいれば穴候補としてぜひ買い目に組み込みたい。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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