Jリーグ公式試合における声出し応援の段階的導入に関するメディアブリーフィング

Jリーグ
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【©J.LEAGUE】

2022年5月17日

Jリーグ公式試合における声出し応援の段階的導入に関するメディアブリーフィング

2022年5月17日(火)18:15〜19:10
オンラインにて実施
登壇:野々村 芳和 チェアマン
フットボール本部 本部長 黒田 卓志

〔野々村チェアマンよりコメント〕
3月15日に就任して以来、リーグスタッフでスポーツ庁や内閣官房等へ確認を行いながら、Jリーグの中での声出し応援について調整を進めてきました。この度、どのように進めていくのか、具体的に皆さんにお伝えできるようになりました。これまで、メディアのみなさん、ファン・サポーターのみなさんに感染防止対策を守ってもらいながら試合を実施してきました。よく「フットボールを守っていただいている」とコメントさせていただいてきましたが、国内外の情勢や政策を含めて、前に進んでいくことも必要であることは、当然、サッカーの現場でもファン・サポーターを含め多く語られてきました。

今回、Jリーグの公式試合において声出し応援エリアを段階的に導入していくことで、ステップを着実に踏みながら、安全・安心を確認の上で次のステップに進んでいく方針をご説明いたします。
Jリーグにとって、また世界中どこでもそうですが、サッカーにとって多くのみなさんが熱量を爆発させることができてこそ、いい作品になると思っています。現状、国内においては、一つひとつステップを踏むと、先が見える状況に来ていると思います。一方で、まだ安心を担保しないと来場できないという方もいらっしゃいます。声出し応援エリアとそれ以外のエリアの線引きを運営サイドで管理できるかを、ステップ1でやっていきたいと思っています。パッと変えられればそれに越したことはないですが、やはり政府の基本的な対処方針に基づいてどう進めていくかを、実行委員の皆さんとも、皆でサッカーを取り戻すことを協力してやっていこうということが再確認できましたので、皆さんにお伝えしたいと思います。

〔黒田フットボール本部長より説明〕
声出し応援の段階的導入について具体的な内容を説明いたします。今回はステップを3つ設定しています。どのステップも政府から発信されている基本的対処方針「大声ありイベントは収容率50%以下」という方針に基づき、(声出し応援エリアの座席数にかかわらず)スタジアム全体の収容率50%以下で行います。

■声出し応援再開に向けたステップ
ステップ1 初期導入1.運営検証を行う
ステップ2 初期導入2.実績を重ねる
ステップ3 希望する全クラブができる

■実施期間、試合数など※選定条件あり
声出し応援運営検証対象試合
ステップ1:2試合
ステップ2:6試合程度
ステップ3:希望する全クラブの試合

■現在の政府のイベント開催制限
声出し運営検証試合については、令和4年3月17日付基本的対処方針に基づくイベントの開催制限「その他」の「上限人数大声あり:50%」に該当

◎政府の定める基本方針(抜粋)の確認
■従来(Jリーグとして入場制限を100%とする場合)
・安全計画策定のもと「飛沫の抑制のため不織布マスク着用や大声を出さないことを徹底すること」
・座席間隔
・大声を伴わない場合
・人と人とが触れ合わない間隔、大声を伴う可能性のあるイベントは、前後左右の座席との身体的距離の確保

■今回(声出し応援席を導入する試合を開催すると・・)
・大声を「観客等が、通常よりも大きな声量で、反復・継続的に声を発すること」と定義し、これを積極的に推奨する又は必要な対策を施さないイベントは「大声あり」に該当することとする。
今回、Jリーグとして「声出し応援席」を設置することから「大声あり」に該当
・大声を伴う可能性のあるため収容率50%とする
・大声を出す場合でも、常に大声を出すことは飛沫防止の観点から望ましいものではないため、対策を徹底すること。
・飛沫が発生するおそれのある行為には、大声での会話を誘発するような、大音量のBGMや応援なども含む。
・適切なマスクの正しい着用については、厚生労働省HP 「国民の皆さまへ(新型コロナウイルス感染症)」参照。
・座席間隔
・「大声あり」 の場合
・座席間は1席(立席の場合できるだけ2m、最低1m)空けること

◎Jリーグ声出し応援ガイドライン(主な項目の抜粋)

1)配置(エリア)
・声出し応援エリアは独立させ、対象エリアのチケット保持者のみ声出し応援可
・身体的距離を確保するための配席は「 前後1列+左右1席空け」からスタート
参照:国立研究法人産業技術総合研究所「声出し応援のリスク評価(暫定版)」
https://unit.aist.go.jp/georesenv/res-geo/COVID19-Lab/news/20220517_000.html

2)来場者管理
・対象試合では、全ての席種の販売時に「声出し応援ガイドラインの遵守」の同意を得る
・案内員や警備員を増強する
・感染拡大防止対策上の影響が大きい問題行為が改善されない場合は退場とする

3)応援プロトコル(対象エリア)
・声出し応援時は、常に不織布マスク着用し、ピッチ方向を向き、他者との間に身体的距離を確保する
・コールリーダーを想定し、ピッチ方向を向かない場合はあらかじめ2m四方を空ける
・肩組み、密の状態での声出しは、有事の際に感染拡大リスクを高める行動であるため、行わない
・観戦時の座席移動は禁止(前方へ移動し選手に声をかける、間隔を空けず前後左右の他者に近づく、間隔を開けず隣に座る 等)
・声出しエリアの食事、アルコール飲料不可。(ソフトドリンクは持ち込み可)
・声出し応援席ではないエリアや、コンコース、場外での声出し応援は禁止

4)試合後の陽性者発生時の対応
・チケット販売時に購入者情報を管理
・万が一、試合後に声出し応援対象観戦席のお客様にて陽性者が発生した場合は、対象チケット全購入者へ情報を提供し、体調変化の確認、体調不良時は速やかに医療機関の受診を促す

■声出し応援対象エリアのみに追加で許容される行為
・「指定エリアでの、不織布マスク着用、身体的距離確保、ピッチを向いた状況での声を出す応援」

■対象試合
1選定条件
・過去に産総研の技術実証実績が有るスタジアムであること
・(現場計測を迅速・ 確実に実施するため)
・候補会場のうち、ホームクラブとして、声出し応援対象席設置の希望があること
・チケット販売状況を確認し、配席上、前後1列・左右1席空けが実現できること
・自治体の確認がとれていること

2席数算出
NPB・Jリーグ新型コロナウイルス感染症対策連絡会議専門家チームの助言に基づき方針決定
・運営検証が可能なデータサンプル
・声出しNG エリアからの声出しを防ぐため、感染予防対策上、声出しするであろう来場者数をおさめられる席数(多すぎても少なすぎても望ましくない)

3ステップ1 対戦カードスタジアム(都県名)
以下の2試合を運営検証対象試合とします
1.6/11(土)JリーグYBC ルヴァンカップ プレーオフステージ 第2戦
鹿島アントラーズvsアビスパ福岡
会場:カシマサッカースタジアム (茨城県)
2.6/12(日)
明治安田生命J2リーグ
東京ヴェルディvsいわてグルージャ盛岡
会場:味の素 スタジアム (東京都)

説明は以上です。


〔質疑応答〕
Q:声出しエリアは基本的にはゴール裏に設けるのでしょうか。他のエリアに設けることも可能なのでしょうか。また、声出しエリアに入れる人数はホームクラブが決められるのでしょうか。人数の上限はあるのでしょうか。

A:黒田本部長
エリアについては、スタジアムとクラブによって異なります。多くのクラブがゴール裏に設定すると思われます。人数の上限については、ステップ1では、ホーム・ビジター計3,000人、ステップ2では、ホーム・ビジター計7,000人で実施いたします。

Q:これからステップ2に拡大する際、会場の選定基準は実証実験の実績があるクラブで、希望があるクラブとのことですが、J1、J2などのカテゴリーはステップを上げる際に考慮されるのでしょうか。

A:黒田本部長
先ほどご説明した通り、過去の実証実験の実績があるスタジアムを優先し、クラブからの希望をもとに選定します。J1、J2、J3などのカテゴリーは特段考慮に入れていません。

Q:先ほど収容率の半分というお話がありましたが、そのエリア(ゴール裏など声出し応援可のエリア)の半分ではなく、スタジアム全体の収容率の半分という理解でよいでしょうか。

A:黒田本部長
ご質問の通りで、政府の基本的対処方針に基づき、スタジアム全体の収容率の半分です。

Q:ステップ1、2、3について。ステップ1は応援を希望するクラブとなりますが、今のところはJ1・18クラブの内、何クラブが希望されていますでしょうか。

A:黒田本部長
希望する対象クラブ数については、全クラブの意向を把握できていないためわかりません。
(ステップ3の募集を6月に予定しています)

Q:野々村チェアマンに質問です。今の応援の状況は海外のリーグと比較されざるを得ないと思います。Jリーグは先日29歳の誕生日を迎えましたが、応援文化を考えると、日本の文化になっていないのではないかと思います。海外ではすぐに応援が戻っていましたが、日本ではなぜこのように時間がかかっているのか、お考えを聞かせてください。

A:野々村チェアマン
これについて皆さんと認識を合わせていかなくてはいけないのは、いま日本でどのような方針でコロナの感染対策が行われていたかということです。これまでもJリーグとしては政府の基本的な対処方針に基づいて、どのようにすればサッカー続けられるか、お客様を入れられるか、メディアの皆様やファン・サポーターにご協力をいただきながらここまで来ています。海外でも、サッカーのチーム、リーグが声を出してくださいと言っているわけではありません。国としての方針がある中で、自分たちがどのように生き残って行くかということが基本的な考え方にならざるを得ません。
ご質問の通り、日本においてサッカーの応援が文化になっていないということについては、私も本当にそう思います。少しでも早く本来の姿に戻さなくてはいけないと、より多くの方に思っていただけるように、私たちが努力していかなければいけないと強く思っています。ただし、まだ(海外ほどサッカー文化について)そこまでの認識が日本国内にされていない部分もあると思います。

今回、(新型ウイルスによる感染症という)100年に1回起こるような事態ではありますが、私としては応援の大切さは再認識しており、これはむしろ日本の誇れる部分だと思います。海外のサッカーで声を出して応援されている姿は壮観だと思いますが、それとは異なる文化、Jリーグの応援歌、チャントを含めた独自の応援スタイルというのは、それはそれで世界のサッカーの中でも素晴らしいものだと思います。もっと日本の皆様に伝えていかなくてはいけないという想い、まだ声を出せないということも含めて、日本におけるサッカーの価値観をまだ示せていないという想いはあります。それでも、今のこのコロナの政策の中でいかにして前に進めていくかということをやってきています。私自身もJリーグはもっと早くからいろいろな準備をすればよいのではないかと思っていましたが、水面下で進められていたものを、自分がチェアマンに就任して2カ月ほどでようやくここまで具体的にできました。しかしながら、もっとサッカーの魅力や価値を今後伝えてかなくてはいけないと感じています。

Q:これまでコロナの対策はNPBとともにJリーグは進めていますが、声出しの考え方はNPBと協議されていますでしょうか。

A:野々村チェアマン
これはとても難しいことです。もしかしたらJリーグのクラブの中にも、声を出さずに満員のお客様を入れたいという想いもあれば、一方で本来の情熱を取り戻したいという想いもあるかもしれません。どちらが良いということではなく、我々としては情熱を取り戻すということもサッカーとしては非常に重要なことですので、(満員のスタジアムを目指す一方で、情熱を取り戻すということもあわせて)サッカーとしてトライをしていきたいと、会議を進める中でもお伝えしています。

Q:政府の方針は今後変わっていくと思いますが、今年中に収容数の100%が声を出して応援するということはどのくらいの確率で実現するとお考えでしょうか。

A:野々村チェアマン
実現の可能性をパーセントで表すのは難しいと思いますが、私はいち早く実現したいと思っていますし、実現のためにも、ステップを2つ踏んでいきます。その一つ一つのステップで、運営する側が声を出すエリアと安全、安心を担保するようなエリアをうまく運営できるかということがとても大事で、そこが問われています。サポーターの皆様にはご協力いただかなくてはいけないと思いますが、声を出せるエリアではない人たちも、同じようなテンションで声を出したくなると思います。そこはもう少し我慢していただいて、運営がうまくできる、ということを繰り返しながらでないと、今の基本的な対処方針の中では、より多く広げていくということはできないわけです。ただ、例えば、昨今では、普段はマスクをしなくてはいいのではないかという議論が報道などでもなされているように、国の方針が変わっていくこともあります。私たちは今のルールでできることを必死に考えていきますが、もっと大枠で、国がそろそろいいという考え方があるのであれば、100%収容して声を出すということが実現できるかもしれません。ただ、現状はそうではない中でも、サッカーの情熱を取り戻すためのベストを尽くそうということですので、ステップを踏まなくてはいけないということは、理解していただかなくてはいけないところです。

Q:私の感想では、他のスポーツよりも、サッカーは日本国内で声出しへのアプローチが早いと思います。そこにはサッカーならではの事情があって、野々村チェアマンがおっしゃるような情熱の部分、サッカーならではの応援スタイルの部分があると思います。ここまで議論をされているなかで、他のスポーツに先駆けて、いち早く声出しに動こうとされてきたきっかけ、背景をお伺いできればと思います。

A:野々村チェアマン
私の想いが大きいと自分では思っていますが、昨年の段階からこうした準備を進めてほしいということをクラブの社長だった時もJリーグには伝えていました。ただし、国内の方針も含めて、また新たな株による感染状況もあって、なかなか具体的な話にはなりませんでした。
3月にチェアマンに就任して、感染状況も含めていち早く取り戻す準備をしないとだめだということが、自分自身の中で相当強くありました。それが今の答えなのかもしれません。リーグの中でそうした方が良いという想いを持った方もたくさんいましたが、なかなかそう進まない感染状況や情勢上の事情があったのも事実だったと思います。自分がチェアマンに就任したということも含めて、進めやすいタイミングだったのだと思います。

Q:野球の場合は、応援がなくても興行の醍醐味のようなものが成立しているようなことがあり、客足も戻ってきている印象があるのですが、サッカーがここから本格的に以前の日常よりもさらに多くのお客様を取り戻すために、歓声、声援、チャントが欠かせないという想いがあるのでしょうか。

A:野々村チェアマン
よくお話させていただいている通り、サッカーを作品と考えたときに、来ていただくお客様の熱量がピッチの上と同様に重要な要素だと思っています。その作品を見たくて新規ファンが来てくれるという事実あるのがサッカーですので、サッカーという売り物を成立させるためには熱量を早く取り戻さなくてはいけないということも一つの要素です。コロナ禍でもチームは昇降格、優勝を賭けて戦っていて、サポーターの熱量も勝ち負けに相当影響することを私も実感として持っていますし、サポーターの皆様もそういう想いでゲームに関わってくれています。
サポーターが力を発揮してくれる場がなかなかまだ提供できないということは、まだ本来のサッカーではないと思っています。(質問者が)思っていらっしゃることと同じようなことを思っていると認識していただければと思います。

Q:サポーターの方は、拍手やJリーグがメッセージとして出してきた行動変容に対して真面目に受け取っていただき、拍手で応援するスタイルを定着していただいています。
真面目がゆえに、新しい日常に戻ろうとするときには少し怖いと思うお客様もいらっしゃると思います。そういう方々を納得させるステップだと思いますが、Jリーグが日常に戻っていくステップの中で、Jリーグが伝えたいメッセージの様なものはありますでしょうか。

A:野々村チェアマン
私も今の国内の空気感では、(サポーターも含めて)怖い思う方も一定数いらっしゃると認識しています。だからこそ今回のように段階的に安全をお示ししていくプロセスが必要です。エビデンスが積みあがっていくと、国も含めwithコロナにおいてこうしていこう、という空気感が醸成されていくと思います。それを醸成させてから声出しや、応援スタイルをもとに戻すというよりは、醸成を促す役割もスポーツには無くてはいけないと思います。そういう存在にサッカーがなれたら良いと思っていますし、怖いと思っている方がいるのであれば、「安心できますよ」という証明をスポーツ、サッカーを通じてしていくこと、気持ちが少しでも前に進んでいくように、日本の社会の空気感が変わっていくなかで、サッカーが一つの役割を担うことが重要ではないかと思っています。

Q:政府方針が緩和には影響していると思いますが、大声有・無しの基準も含めて、政府側でどのような変化があったことで、このような状況に踏み切れるようになったのでしょうか。

A:黒田本部長
かねてから徐々に戻していきたいという意向を伝える中で、政府としても市中の感染状況や、Jリーグの社会的影響を踏まえて、徐々に戻していくのが良いのではないかとご理解いただきました。この見解に基づいて、慎重に戻していこうということで、今回の計画に至っています。

Q:他競技や他のエンターテインメントにかかわるような一般的なイベント開催制限が政府から出ているとは思いますが、それとは別の枠組みでこのようなことを設定されたのでしょうか。

A:黒田本部長
いいえ、これまでの枠組みの中での計画です。これまでは「満員のスタジアム」を目指すには入場者数が100%、つまり「声を出さない」ことが条件でした。一方、リーグとして応援席を設置ということですと、すでに出されている基本的対処方針の「大声あり」に該当します。政府のほうにこうしたリーグの意向をお伝えした際にも「社会的影響力の大きいことを認識いただき、感染対策をしっかりして行ってください」と言っていただいています。他のスポーツと取り扱いや考え方が変わるというものではありません。

Q:3月17日付けのイベント開催制限の緩和によって、政府側としては問題がなくなったという解釈でよいのでしょうか。

A:黒田本部長
その枠組み(基本的対処方針)の中であれば、「大声あり」で行ってもよいということです。


【広報より補足】

上記が政府の事務連絡で通知されている内容です。図で示されている右側の列の「その他」というのは、2022年より前からもともと政府方針にあった内容です。Jリーグも2021年まではずっと右側だけで運用してきました。
2021年11月に加わったのが、左側の「安全計画策定」という列です。つまり、入場者数の制限を、「下記以外の区域」であり、かつ、安全計画を策定すれば、100%まで入れてよい、という内容です。
Jリーグはこれまでずっと50%以下でおこなってきて、お客様を十分にお迎えできていませんでしたので、まず「満員のスタジアムを目指す」という方針を全体最適として調整を進め、ようやく実現したのが左側の「安全計画策定」の列の緩和でした。
過去の経緯から、大声を出すことで感染が広がっていくことがリスクだと考えていましたので、声を出さない応援スタイルをファン・サポーターの皆様にお願いしていましたが、これらの整備に伴い、スタジアムにも少しずつお客様が戻ってきつつあるところで、ここから次のステップでどう進めていくかと考えたときに、政府の皆様と話し合う中で、イベントの枠の中では右側、つまり「その他」の枠組みの中で進められるのではないか、という話を改めてできたことで、今回の声出し応援の段階的な導入を進めていけることになったとご理解いただければと思います。

Q:不織布マスク着用ということですが、運営検証をされるなかで、不織布マスク着用となったのはどのような理由なのでしょうか。一般的にマスクを外すことが許されないという空気なので、まずはマスク着用ということになったのか。せっかく実証実験する意味でもったいないと思ったのですが。

A:黒田本部長
声を出すということは一般的に感染のリスクがあると考えられますので、当然、感染対策をしっかりした中で声出しを徐々にしていこうということから、ベースとなる感染対策として不織布マスクが必要だという考え方です。(不織布マスクはウレタンマスクに比べ、捕集効率が高いことが科学調査でも示されています。)

Q:NPBとの連携を引き続き行っているのでしょうか。今回、Jリーグ単独で基準づくりや判断をされたのでしょうか。もし連携しているのであればどのような話があったのでしょうか。

A:黒田本部長
NPBとは情報を共有させていただいています。ただ、声出しをいつからどのように行うかについては、これまでのやりかた、準備、考え方がそれぞれにあると思いますので、両者であわせてやっていくというよりは、それぞれの競技や観戦スタイルの特性などをふまえて、Jリーグとしてはサッカーという作品を作るうえで声出しは重要だと考えており、今回の計画となっています。タイミングややり方などは、NPBと随時情報を共有させていただきながら進めています。

Q:この件を管轄するのは、内閣府直轄の新型コロナウイルス対策の政府の判断なのか、厚労省、スポーツ庁の判断になるのか、政府としてはどこの判断に当たるのでしょうか。

A:黒田本部長
本件につきましては、スポーツ庁を窓口に、内閣官房コロナ室と協議をしながら進めてまいりました。Jリーグとしては、本件のみならず、スポーツ庁を窓口に随時ご相談させていただいていますので、このような枠組みとなっています。

Q:この後の段階的なステップの進み方はあると思いますが、クラブが要望する試合会場で取り入れていくところが増えていくのか、それ以外の声出しができる観客席のエリアが拡大していくのか、マスクがいらないという段階になっていくのか、どのような段階を想定されていますでしょうか。

A:黒田本部長
先ほどご説明した通り、声出し応援席はステップ1では3,000人まで、ステップ2は7,000人までという中で、少しずつ数を増やしながらステップ3はどこまでということは、ステップ2が終わってみないとわからないですが、徐々にできる範囲を広げながら、と考えています。
マスクの着脱については、この段階的導入とは別に、基本的な感染対策として必要であれば続いていくと思います。

Q:野々村チェアマンに質問です。この問題は観客数が戻ってこないということが非常にシビアに、ダイレクトにリーグ含めクラブに響いている問題で、どう戻すのがゴール、目的だと考えていますか。段階的に声出しを認めるには、収容人数は収容率の50%までということを受け入れなくてはいけないということが前提にあると思います。この辺りのジレンマがあれば伺いたいのと、もう少しサポーターに我慢してもらって収入を増やすことが必要だ、というクラブも出てくると思いますが、この2点についてはどのようにお考えでしょうか。

A:野々村チェアマン
本当にそう思っています。だからこそ、昨年の時点からどちらかを選べるようにしてほしいと私としてはチェアマン就任前よりリーグには伝えていました。やはり経営していくには、収入は避けて通れないところですが、一方で本来のフットボールをどのように取り戻していくかが中長期的に重要だという考え方もあると思います。どちらが重要かではなく、現状のルールの中でクラブの選択ができる条件をリーグがいかにそろえていけるかが、リーグとして重要だと思います。クラブの経営者は非常に悩むところだと思いますが、今回政府のコロナ担当、スポーツ庁含めて話ができて前に進めることができたのは良かったことだと思います。

Q:確認ですが、どちらの手段を取るかクラブの判断が重要ということでしょうか。

A:野々村チェアマン
そうですね。Jリーグには58クラブあり、スタジアムのサイズやお客様の数は本当に様々です。J2、J3も当然ながらJリーグの一員で、そこにはファン・サポーターがいるわけです。私は毎週各スタジアムを訪問していますが、そこでの感染リスクと、満員の、多くの人がイメージするJ1のトップレベルの試合の状況とは全く違います。地域ごとの感染状況も様々ですし、いつまでも同じような状況であることはおかしいと思っています。実際、最近各地でサポーターから言われるのは、この話(声出し)ばかりです。サッカーのために貢献したい、クラブのために貢献したいというのがファン・サポーターの想いなので、その想いは早く実現していかなくてはいけないということは、各地のクラブを回っていてつくづく感じているところです。

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