【カーリング】日本選手権2022女子:続・群雄割拠...ロコ・ソラーレ、中部電力ら4強に新勢力も台頭か

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【(C)Getty Images】

新たなサイクルの中で迎える大一番「第39回全農日本カーリング選手権大会」が5月21日に開幕する。舞台は北海道の北見市アドヴィックス常呂カーリングホール。北京2022オリンピック以降では初となる国内でのビッグトーナメントだ。群雄割拠の女子カーリング界。今回はここ数年しのぎを削ってきた"4強"に変化があり、新たな勢力の台頭も期待されている。

■凱旋試合で力を示したいロコ・ソラーレ

中心になるのは言わずもがなロコ・ソラーレだ。

日本代表として出場した北京2022では銀メダルを獲得。ラウンドロビンでは前半戦4勝1敗と好スタートを切りながら後半戦4試合で3敗を喫するなど、必ずしも思い描いたカーリングができたわけではなかった。予選最終戦のスイス戦に敗れた際は敗退を確信し、悔し涙を流していたほどだ。

それでもLSD(ドローショットチャレンジ)の結果、「今世紀最大のサプライズ」(鈴木夕湖)となる準決勝進出が決定。気持ちを切り替えて臨んだセミファイナルのスイス代表戦では、リードの吉田夕梨花、セカンドの鈴木、サードの吉田知那美、そしてスキップ藤澤五月の息がピタリと噛み合い、会心のゲームで決勝進出を果たした。

金メダルをかけた一戦ではイギリス代表に敗れてしまったものの、日本カーリング史上初となるオリンピックでの銀メダルを獲得。Team Fujisawaが世界トップクラスの実力を持っていることを改めて証明した。

オリンピック後にはカナダで行われたグランドスラムにも出場し、ベスト8へ進出。今回が凱旋試合となる。

メンバーは変わらず。北京で一区切りをつけるどころか、五輪のファイナルで敗れたことで、改めてカーリングに対するモチベーションを得た。同大会後の会見で、吉田知と藤澤はこう語っている。

吉田知那美

「このカーリングという競技は素晴らしいなって。本当に大好きだなって再確認するオリンピックになりました。誰一人として、満足はしていないので、私たちはまた、ここから、始まるのではないかなと思っています」

藤澤五月

「もし私が今、自分に声をかけるとしたら、『絶対、いつか、この舞台にまた戻って来い』って言うと思います」

前人未到の快挙を達成し、新たに目標を得た彼女たちがオリンピック後初となる日本選手権でどのようなプレーを見せるのか、注目だ。

■試行錯誤を繰り返し成長続ける中部電力

ロコ・ソラーレを追う筆頭格が中部電力だ。

両角友佑コーチのもとで様々な試作を行いながらチームの強化を実施してきた。たとえば、これまで基本的には固定されていた役割をシャッフル。リード、セカンド、サードは試合によってメンバーが入れ替わり、中嶋星奈が務めてきたスキップの役割を北澤育恵が担う体制に転換を図った。

昨年12月の日本代表選考会ではTeam Yoshimura(現フォルティウス)に競り勝ち、世界選手権への出場権を獲得。チームの精神的支柱である松村千秋を欠いた中での勝利は、チームの自信を深めることとなった。

3月の世界選手権ではチーム内に新型コロナウイルスの感染者が出てしまうなどして7位に終わったが、世界での経験も糧にして改めてロコ・ソラーレに挑むことになる。

■新たな環境で臨むフォルティウスの挑戦

4強の中で最も変化が大きかったのがフォルティウスだ。

昨年10月、北海道銀行がフォルティウスへのスポンサー契約終了を発表。昨年の日本選手権の覇者であり、ロコ・ソラーレらと名勝負を繰り広げてきたチームだっただけに、カーリング界に衝撃が走った。

今後の展開が注目される中、船山弓枝、近江谷杏菜、小野寺佳歩、吉村紗也香の4人は「フォルティウス」としての活動継続を決断。日本ジュニアカーリング選手権優勝の実績を持つ小林未奈を5人目のメンバーに加え、新たな環境の中で日本選手権に臨むことになる。

もっとも、実力も経験も持ったメンバーが揃っていることに変わりはない。新たな船出となる日本選手権への思いはどのチームよりも強いはず。優勝候補の一角として、活躍が期待される。

■富士急、小穴桃里にとって特別な大会に

4強最後の一角は富士急。日本選手権を前に、大きな発表があった。

5月19日、小穴桃里が妊娠中であることを公表。現在5カ月で「主治医の先生と相談しながらお腹の子を第一に考えて、無理のない範囲で活動しております」という。

小穴は長年スキップとして富士急をけん引してきたが、今回はリザーブとしてチームを支える役回りを担う見込み。代わりに小谷優奈がフォースを担い、スキップはサードの小谷有理沙が務める。小穴本人にとってはもちろん、チームとしても大きな変更があった中で迎える大会となる。

■北海道銀行、SC軽井沢クラブらが4強に食い込むか?

ここ数年は4強で回ってきた女子カーリング界の勢力図だが、今回はその牙城を崩すチームが現れるかもしれない。

フォルティウスとのスポンサー契約を終了した北海道銀行は新たにカーリング部を設立した。フォルティウスから移籍した伊藤彩未、田畑百葉に、仁平美来と中島未琴が加入。新生北海道銀行として今大会に臨む。

また昨年の日本選手権で5位となったSC軽井沢クラブもその座を虎視眈々と狙う。

思い返せば平昌2018でロコ・ソラーレが銅メダルを獲得してからというもの、目まぐるしい競争が続いている。日本選手権の優勝チームを見ても富士急(2018年)、中部電力(2019年)、ロコ・ソラーレ(2020年)、北海道銀行フォルティウス(2021年)と毎回勝利チームが変わっているのだ。

今回はどんな戦いが繰り広げられるのか。ミラノ・コルティナ 2026へ向け、新たなサイクルのスタートとして、楽しみな大会が始まる。
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