早大ラグビー部 新人早明戦16年ぶり勝利 53-35、CTB野中も躍動2トライ

チーム・協会

【早稲田スポーツ新聞会】

【早稲田スポーツ新聞会】記事 永留琴子、写真 谷口花

厚い雲に覆われた雨上がり、早大上井草グラウンドで新人早明戦が行われた。観客と多くの部員が見守る中、将来の赤黒戦士が伝統の一戦に挑んだ。前半は緊迫した接戦をディフェンスで制し、後半の得点力につなげた早大。スクラムでの反則を極力減らしチャンスを確実なものにするというように、終始早大らしい素早い試合展開が際立った。前後半で計9トライを記録し、新人早明戦16年ぶりの勝利をあげた。

前半1分、明大に先制トライを奪われることとなった早大。しかし5分、マイボールラインアウトから素早いパス回しを披露した。CTB野中健吾(スポ1=東海大大阪仰星)からのパスを受け、隙を走りこんだWTB山下一吹(教1=東京・早実)が右隅にグラウンディング。続く12分には、山下が華麗なステップでゲインラインを突破。最後はパスをつないだ野中がインゴールに駆け込むと観客席から大きな拍手が湧き上がった。その後も明大の反則を引き出すプレーやラインアウトからの素早い展開で試合の舵をとり、立て続けに得点を重ねる。さらに43分、自陣22メートルライン付近のマイボールスクラムから出たボールをSH糸瀬真周(スポ1=福岡・修猷館)がそのまま持ち出し、すぐさまボールを受け取ったWTB小澤ジョージィ(スポ1=千葉・流経大柏)が相手の防御を振り切り左隅にトライ。両者譲らぬ拮抗(きっこう)した試合を繰り広げ、早大1点リードの22ー21で前半を終えた。

ゲインするCTB野中。今試合2トライを挙げた 【早稲田スポーツ新聞会】

後半の流れをつくったのは早大。5分、9分と安定したパスワークから点を重ねる。それからしばらくは明大の反則が続いたものの、対峙するスクラムで圧を受け、試合をコントロールできない状況が続く。しかし、自陣インゴール前でのスクラムはFW陣が粘り強い守りを見せ、明大の得点を阻止した。その後試合が大きく動いたのは27分。SO黒川和音(人1=茨城・茗溪学園)からオフロードパスを受けたFB仲山倫平(法1=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)がインゴール左隅へ。「気持ちよかった。人生で一度しかない新人早明戦という舞台で2トライを決めることができて嬉しかった」(仲山)。20点差と大きくリードを見せた早大は、その後も順調に試合を進める。試合終盤42分には、明大にトライを許したものの、早大がさらに5点を返すかたちで試合は終了。笛の合図と共に、早大メンバーには笑顔が溢れた。最終スコアは53ー35で、新人にとって初めての早明戦を制した。

カギとなったスクラム 【早稲田スポーツ新聞会】

今試合では、明大のペナルティーを契機にスクラムからトライにつなげる場面が多くみられた。「自分たちの役割を一人一人が果たそう」とゲームキャプテンを務めたフランカー中島潤一郎(教1=神奈川・桐蔭学園)が試合前にかけた言葉の通りに、一人一人の強みが現れた試合となった。中でも、糸瀬は冷静な判断と積極的なプレーでチームをけん引。山下はステップと鋭いタックル、攻守ともに存在感を示した。その一方で、ミスが相次いだラインアウトの精度には課題を残す。それでもチームの勝利へと前進するルーキーの姿は、すでに早稲田ラグビーの真髄を受け継いでいる。『Tough Choice』というスローガンの下、ルーキーの更なる成長、飛躍に注目だ。

コメント

フランカー中島潤一郎(教1=神奈川・桐蔭学園)

――何年ぶりかの新人早明戦勝利です。率直な今の気持ちを聞かせてください

 新人というかたちでの試合は今日が初めてだったのですが、自分たちの格上の相手に走って、そして体を張り続けて勝つことができたということは、早稲田ラグビーで勝てたということなのでそこは自分たちの強みになりますね。

――試合前の円陣、何を声かけされていたのですか

 勝つという最終目標はみんな同じだと思うのですが、自分たちの役割を一人一人が果たそうということを伝えました。

――今日の試合テーマは

 泥臭く最後まで体を張り続けるというところです。最近はチームとしても『コリジョン』、1対1の接点の部分を意識しているので、そこで絶対に引かないというところを意識しました。

――スクラムの感触はいかがでしたか

 先週東海大学さんと試合をしたときよりも、自分たちの感触としては良かったと思っています。最後は明治大学さんの方が良かったと思うのですが、しっかりと前3人とFWでファイトできたかなと思います。

――ラインアウトは

 ラインアウトは特に課題が多かったです。前半も4回ミスをしてしまって敵陣で自分たちでチャンスを潰してしまったので、そこがもう少し取れていたら前半楽に進められたかなと思いますね。そこはまだ課題だと感じています。

――それでは次戦に向けてどのようにチームを組み立てていきたいですか

 もう一度コリジョン、接点のところを意識して一から取り組んでいきたいと思います。

――最後に今後の意気込みをお願いします!

 個人としてもチームとしても勝つというところが目標になると思うので、そのために自分は少しでも早く上のチームに上がれるように、頑張っていきたいと思います。


SH糸瀬真周(スポ1=福岡・修猷館)

――今の率直な気持ちを教えてください

 本当に嬉しいです。

――改めて試合を振り返っていかがですか

 試合前から相手チームが格上なのは分かっていたのですが、それに引くことなく、自分たちが常に勝つというマインドをもって戦えたことが結果につながったと思います。

――自身の強みを教えてください

 スペースを見つけてボールをさばくだけでなく、自分が走り込んでゲインをとることが他のハーフよりも得意な部分だと思います。

――今日の試合ではその強みを生かすことが出来ましたか

 最後のゴールライン付近で自分が持ち出したことや、裏のフォロー、抜け出した後のサポートはよかったと思います。

――反対に課題は見つかりましたか

 明治の早いアタックラインにディフェンスが追い込まれて、それに対してハーフとしてもっと指示を出すべきところを出せていなかったと思います。ディフェンスの面が課題でした。

――どのような春シーズンにしていきたいですか

 この試合で学んだように、格上の相手に対しても自分たちが常に勝つというマインドで向上心をもって練習していきたいです。

CTB野中健吾(スポ1=東海大大阪仰星)

――率直な今の気持ちを聞かせてください

 とても嬉しいです。

――改めて今日の試合を振り返っていかがでしょうか

 前半苦しい場面で耐えられたというところが、後半の点差につながってきたと思っています。

――2トライを挙げましたね

 僕のトライではありますが、チームがつなげてきたボールを最後に僕がトライをしたという感じだったので、満足というわけではないですがチームに感謝したいなと思います。

――野中選手の声かけが目立ちました。何か意識したことはありますか

 早稲田ラグビーを遂行しようというところを全員が意志を一つ持っていくことができたということはありますね。

――今後に向けて何を課題として取り組んでいきたいですか

 勝利したというなかでも課題点が見つかったので、その課題点を全員で修正していきたいと思います。

――具体的に課題点とは

 良い点ももちろんあったのですが、もう少し具体的な話し合いというものを全員15人同士でできたらいいなと思います。

――最後に次戦への意気込みをお願いします!

 一つ一つの勝利に貢献できるように、そして早稲田ラグビー蹴球部に貢献していけるように頑張っていきたいと思います。


FB仲山倫平(法1=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)

――試合を振り返っていかがですか

 今日はチームとして勝てた試合だと思います。個人的にも満足のできるパフォーマンスが出来ました。

――初めての試合でしたが、どのような気持ちで早明戦に臨みましたか

 一番は楽しむということです。このチームで練習できる時間は限られているので、一人一人が100%でやろうと確認して試合に臨みました。

――トライを決められた時の気持ちを教えてください

気持ち良かったです。なかなか高校時代ではトライを取っていなかったので。新人早明戦という人生で1回の舞台で2トライを取れたことはとても良かったです。

――ご自身のアピールポイントは何ですか

 僕は特別体が強いわけでも足が速いわけでもないので、しっかり周りを見て、フォローやサポートをしていくことを心がけています。

――今日の試合を振り返って、収穫と課題を教えてください

 収穫は、タレントの揃う明治相手に通用することが分かり自信となったことです。課題は、コンタクトで負けている部分や体の大きさ、セットプレーのミスなどです。

――どのようなシーズンにしていきたいですか

 慢心することなく、向上心を持って一つ一つのステップを上がっていけたらなと思います。

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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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