投げられる幸せを噛みしめながら。ロッテ種市が二軍で実戦復帰。一軍復帰を目指す日々

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【千葉ロッテマリーンズ種市篤暉投手】

 投げられる幸せを嚙みしめるようにマウンドに立った。4月13日、二軍本拠地である浦和球場でのイースタン・リーグ巨人戦。種市篤暉投手が実戦復帰した。20年9月14日に横浜市内の病院で右肘内側側副靭帯再建術の手術を行い、この日を迎えた。実戦復帰は20年8月1日のイーグルス戦(ZOZOマリンスタジアム)以来。夢にまで見た復帰だった。

 「マウンドに上がった時に、これまでのリハビリの日々が自然と思い出されました。正直、苦しかったです。当時、肘がパンパンに腫れ上がっていたことを考えるとよく投げるまでになったと自分でも思います」

 1回を打者3人 1奪三振の無失点。MAXは152キロを計測した。充実のマウンドから戻ってきた種市は嬉しそうに話をした。心の底から喜んでいるような笑顔だった。

 忘れられない思い出がある。手術をした日のことだ。時間にして2時間。術後4週間ギプス固定し、術後4ヵ月よりスローイングを開始という大手術だった。最後に記憶にあったのは手術台。その後、麻酔の効果で意識が朦朧となり、起きた時には右手にはギブスが固定されていた。ベッドで痛みと戦いながらも一軍の試合が気になった。だからスマートフォンで中継動画を見ていた。ふとスタンドのファンが映し出された。種市のタオルを手にしていたファンの姿が目に入った。

 「ボクは一軍の試合に出ていないのにタオルを持っている人がいました。本当に涙が出るほど嬉しかったです。今まで感じた事がない感情でした」
 
 病室で一人、涙した。マウンドで投げている時であれば、なにげない光景に感じたはずだが、その時は特別なものとして心に響いた。待ってくれているファンがいる。幸せに包まれた。勇気が湧いた。
 
「リハビリは単調でもあり、一進一退の連続で正直、辛かった。気持ち的にも上がったり、落ちたり・・・。でも、最後は待ってくれるファンの皆様の事を考えると前を向くことが出来ました。ここまで支えてくださった皆様に感謝です。ものすごく嬉しいです。これからしっかりと投げていけたらと思います」と種市。
 
 実戦3試合目の登板となった5月12日のイースタン・リーグジャイアンツ戦(ロッテ浦和)では1回を打者3人、1奪三振、無失点で抑えた。今後は二軍でさらに投げるイニングを伸ばしながら実戦を重ね、一軍復帰を模索していく。種市が一軍の舞台に帰ってくる日は近い。そしてファンはその日をずっと待っている。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

球団に関するニュース、球団広報によるコラム、オフィシャルライターによるチームのこぼれ話や球団情報をお届けします。お楽しみに!!

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント