【セイコーゴールデングランプリ陸上 展望】トラック編〜世界王者コールマンに、日本のトップスプリンターの多田・小池が挑む!
【アフロスポーツ】
昨年夏に開催された東京オリンピック以降、国立競技場で開催する国際大会は、これが初めて。海外トップアスリートの招聘が実現しただけでなく、有観客での開催も決定。ワクワクに満ちた華やかな「GGP」が3年ぶりに戻ってくる。当日は、男子9、女子5の合計14種目が実施されるタイムテーブル。来日するメダリストたちとの勝負はもちろんのこと、オレゴン世界選手権出場を目指しての参加標準記録への挑戦や、代表入りを目指す国内選手間の戦いにも注目が集まる。ここではトラック編とフィールド編に分けて、注目の選手や見どころを、ご紹介していこう。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
男子100m
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男子100mには、9秒76の自己記録(2019年)を持ち、2019年ドーハ世界選手権金メダリストのクリスチャン・コールマン(アメリカ)が参戦。昨年の東京オリンピックには出場できなかったが、今年3月に行われた世界室内選手権60mでは、東京オリンピックを制したラマント・マルチェル・ヤコブス(イタリア)に続き、銀メダルを獲得。屋外でも200mで19秒92と上々の滑りだしで、母国開催の世界選手権イヤーを発進している。100mの屋外レースは、このGGPが初戦となるだけに、その走りは、世界の耳目を集めるはずだ。対する日本勢は、昨年の日本選手権チャンピオンで、東京オリンピックにも出場した多田修平と、同じく昨年の日本選手権200m覇者で、東京オリンピックは100mに出場した9秒台スプリンター(9秒98)・小池祐貴の“住友電工コンビ”がコールマンに挑む。オレゴン世界選手権参加標準記録は10秒05。国内代表権獲得の“激戦区”であるだけに、コールマンと競う中で、突破を目指していきたいところだろう。この種目には、ダイヤモンドアスリートの柳田大輝(東洋大)の参戦も決まった。ここ一番に強い柳田が、格上選手たちを相手に、どんな走りを見せるか。
男子400m
男子400mハードル
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100mハードル
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女子200m
男子3000m障害物 女子1500m
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日本記録更新を期待してしまうのが、男子3000m障害物と女子1500m。男子3000m障害物には東京オリンピック予選で8分09秒92の日本新記録をマークして決勝に進み、7位入賞を果たした三浦龍司(順天堂大学)がエントリー。また、女子1500mには東京オリンピックで予選・準決勝で日本新記録を連発、準決勝では日本人女子で初めて4分を切る3分59秒19をマークして決勝進出を果たし、決勝でも再び3分台をマークして8位に入賞した田中希実(豊田自動織機)が出場する。三浦は昨年、セイコーGGPに代わって、コンチネンタルツアーゴールドとして国立競技場で開催された東京オリンピックテストイベント(Ready Steady Tokyo)の3000m障害物で日本新記録を樹立しており、一方の田中も、2020年に、コロナ禍の競技活動自粛期間が明けた8月、国立競技場最初の陸上競技大会として行われたセイコーGGPの1500mで日本新記録をマーク。どちらも国立競技場との相性はピカイチだ。もしかしたら両種目で再びの日本新記録誕生のアナウンスを聞くことができるかもしれない。
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女子1500mでは、東京オリンピック代表の卜部蘭(積水化学)が出場する。1年1年着実な成長を見せ、昨年、4分07秒90まで記録を伸ばしてきた選手。東京オリンピックはWAワールドランキングによる出場だったが、オレゴン世界選手権に向けては、参加標準記録(4分04秒20)を突破して、アメリカ陸上界の聖地と呼ばれるヘイワード・フィールド(世界選手権開催会場)に立ちたいはずだ。
110mハードル
男子800m
近年になく好調な滑りだしを見せているのが、日本記録保持者の川元奨(スズキ)だ。1分45秒75の日本記録は、日本大学時代の2014年のこの大会でマークしたもの。木南記念では、1分45〜46秒台の自己記録を持つ若手を押さえて、1分47秒02の大会新記録で快勝しており、8年ぶりの日本記録更新と参加標準記録突破が狙える状況に仕上げている。
昨年、急成長を遂げて、川元とともに日本記録保持者に名を連ねた源裕貴(NTN)は、故障からの復帰途上ということで今季はスローな滑りだし。連戦を積むなかで調子を上げていこうとしている。源と同様に、昨シーズンに日本人3人目の1分45秒台ランナーとなった金子魅玖人(中央大学、1分45秒85)は今年も元気。オレゴン行きを目指して、標準記録の突破を虎視眈々と狙う。この種目では、5月3日に行われた静岡国際での好走が評価され、薄田健太郎(筑波大学、1分46秒17=日本歴代5位)と四方悠瑚(宝塚市陸協、1分46秒49=日本歴代8位)が追加でのエントリーを果たした。2選手が、このチャンスをどう生かせるかも見守りたい。
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