【競泳】日本選手権「ジャパンスイム」女子:池江璃花子が3冠、大橋悠依が復活をアピール

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【Getty Images】

第19回アジア競技大会(9月、中華人民共和国浙江省杭州)の日本代表選考会を兼ねた、第98回日本選手権水泳競技大会「ジャパンスイム2022」が、4月28日から5月1日にかけて神奈川県・横浜国際プールで開催された。女子は、5種目にエントリーした池江璃花子が、白血病から復帰後の自己ベストを3種目で更新して優勝。また、Tokyo2020オリンピック金メダリストの大橋悠依が200m個人メドレーを制して復活をアピールした。

アジア大会日本代表として発表された選手は以下の通り。

・ 自由形:難波実夢、小堀倭加、池江璃花子、白井璃緒、五十嵐千尋、神野ゆめ
・ 背泳ぎ:白井璃緒、高橋美紀、成田実生
・ 平泳ぎ:青木玲緒樹、渡部香生子、今井月、緒方温菜
・ バタフライ:林希菜、水口知保、池江璃花子、牧野紘子
・ 個人メドレー :大本里佳、谷川亜華葉、大橋悠依、成田実生

■池江璃花子が4日間10レースを完走、3種目で復帰後の自己ベスト更新

今大会では5種目にエントリーをしていた池江璃花子。4日間で予選と決勝合わせて10レースを完走した。これは白血病から競技復帰して初めてのこと。そのうち、50mバタフライ、100m自由形、50m自由形の3種目を制覇して、50mバタフライと100m自由形では派遣標準記録を突破した。タフなスケジュールをこなしたことで、体力的には白血病を患う以前に戻ったと言っても過言ではない。

初日に出場した50mバタフライは、3月の国際大会日本代表選考会で54秒を切れず、派遣標準記録を突破できなかった。「選考会で失敗したので、それを繰り返さないように、とにかく自分の泳ぎをするように心がけた」と池江は万全の態勢でこの種目に挑んでいた。「特にこの種目は優勝を目指していて、復帰後のベストを更新できて良かった」とほっと胸をなでおろす。

3日目に出場した100m自由形では「レース前には泣きそうになるくらい」と池江は緊張をしていた。「自分への期待が高まった緊張」と池江は切り替えて、前半から勝負を挑んでいくと、伸びのある泳ぎで後続を体半分離してゴール。53秒83は日本学生新記録で派遣標準記録も突破した。

50m自由形とあわせて3冠を達成した池江は、アジア大会日本代表に選出され、4年ぶりにアジアの舞台へ挑むことになった。前回の2018年大会では、リレーもあわせて日本人初の6冠を達成し、MVPにも選出。果たして池江は完全復活をアジアの舞台でアピールできるのかに注目だ。

■大橋悠依が勝負にこだわり200m個人メドレー制覇

Tokyo2020では個人メドレー2種目で金メダルに輝いた大橋悠依。すでに世界選手権とアジア大会の日本代表に内定していたものの、3月の選考会では200m、400mともに優勝できなかった。

大橋は今大会の個人メドレーを200mに絞って出場。最初のバタフライでは3番手だったが、背泳ぎで2位に浮上し、最後の自由形でトップに立ってそのままフィニッシュ。タイムは2分10秒70だった。「勝負にこだわろうと思って泳ぎました。3月の選考会では平泳ぎが良くなかったが、今日は4種目を良い感じでまとめられた」と決勝のレースを振り返った。

同じ種目に出場していた選手の中には、大橋よりも年齢がひと回り下の選手もいた。「200mは今後メインにしていきたい種目なので、まだまだ負けるつもりはない。自分がこの種目を引っ張っていきたい」と大橋は意欲を示す。世界選手権とアジア大会では、国際大会の経験値で結果を示していきたい。

大橋が欠場した400mは3月の選考会に続き、谷川亜華葉が優勝。「最低でも自己ベストプラス2秒以内で泳ぎたい」と考えていた谷川は、設定通り4分38秒台で泳ぎ切った。「練習がしっかりできている」と好タイムは練習の成果を強調。

Tokyo2020には400m個人メドレーに出場して予選落ち。この日は背泳ぎで後続を引き離し、平泳ぎで成田実生、自由形では小堀倭加に迫られたが、安定した泳ぎを継続して逃げ切った。レース後は「世界選手権で結果を残したい」と活躍を誓った。

■青木玲緒樹と林希菜はレースを制したものの、タイムには納得できず

日本選手権を制覇したものの、自分の泳ぎに納得できていない選手もいた。まずは平泳ぎの青木玲緒樹。3月の選考会では50mと100mで日本新記録を樹立した。「タイムで言えば最低でも6秒前半、目標は5秒台」と青木はレースにおける目標設定をしていたが、記録は1分6秒60。「前半から1秒遅いと思った。少ししんどいこともあって、それでも5秒台を目指した上での6秒台でした」と優勝したにも関わらず、タイムには納得していなかった。

もう1人は、200mバタフライを制した林希菜。派遣標準記録を突破したものの、3月の選考会に比べて2秒近く遅れた。「決勝も予選同様に思う様な泳ぎができなかった。優勝しないといけないというのがあって、いつもとは違う感じになった」と林はプレッシャーを感じながら、決勝のレースに挑んでいた。世界選手権では「もう少し余裕を持った泳ぎをしたい」と話す。

2人とも、選考会の結果からプレッシャーを受けながらもレースを制覇した。タイムには満足できなかったかもしれないが、国際大会では今回の経験を生かしてもらいたい。

文: マンティー・チダ
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