【スケートボード】X Games Chiba:日本初開催、男子ストリートと女子パークで日本勢がメダル独占

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【(C)Brett Wilhelm / ESPN Images】

■男子ストリート:X Games初、日本勢がメダル独占

小雨に見舞われて滑りやすく難しい条件の中で、堀米雄斗が大きな新技を2つ決めた。ほかの選手たちの転倒やミスが相次ぎ、いつ中止になってもおかしくない状況だからこそ、Tokyo2020金メダリストは1つひとつのランに集中して臨んだ。

予選を1位で勝ち抜き、決勝最終走者として滑り出した1本目では、板前方を弾きつつ空中でボードごと身体を180度回転し、ハンドレールに飛び乗ると、後輪金具を滑らせながら前輪部分は下方キープするという「ノーリーバックサイド180スイッチフロントスミス」を公式戦初披露。決勝8人の中で、堂々トップに立った。

続く2本目でも、さらにスリッピーになったコンディションを恐れず、決して守りに入ることもなく、堀米は新しい技に挑んだ。それが「スイッチトレフリップリップスライド」。板後方を蹴り上げ、ボードのみを縦横360度に回転させると、そのままハンドレールの上でボード中央を滑らせた。

濡れたコースを整備し直し、3本目のランがスタートしたが、結局は1人目を終えた時点で打ち切り。こうして堀米が2019年ミネアポリス大会に続く、エックスゲームズの金メダルを手に入れた。

やはり1本目から攻めた15歳池田大暉が、エックスゲームズ初出場で銀メダルを獲得。Tokyo2020では予選敗退に泣いた白井空良も、千葉では3位銅メダルをつかみ取った。女子パークに続く、日本人による表彰台独占。しかも日本人「男子」が表彰台を独占するのは25年以上にも渡るエックスゲームズの歴史上、初めての出来事だ。

■女子パーク:Tokyo2020の再現となるメダルラッシュ

2018年世界選手権、Tokyo2020と、すでに世界の頂点に2度上り詰めてきた四十住さくらが、ついにエックスゲームズでも待望の金メダルをもぎ取った。スピードとキレと、無駄のない動き、さらには女王としての貫禄で、四十住は1本目のランで早くも首位に立った。2本目にはさらに難度を上げ、自らの代表技とも言える「540」を鮮やかに決めた。

Tokyo2020で、四十住と共にワンツーフィニッシュを成し遂げた開心那は、この日もアグレッシブにトライし続けた。得意の「ノーズグラインド」はもちろん、3本目には派手な難トリック「キックフリップインディーグラブ」も飛んだ。最終4本目の制限時間40秒ギリギリまで攻め、2019年大会に続く銀メダルで戦いを終えた。

Tokyo2020では日本女子が金・銀を手にしたパークだが、日本初開催のエックスゲームズでは、金・銀・銅全てをさらい取った。パーク内を所狭しと猛スピードで駆け回り、小柄な身体で大きなエアを次々と披露した手塚まみが3位に入った。日本女子表彰台独占は、2020年アスペン大会のスノーボード女子ビッグエア以来2度目の快挙だった。

日本女子が表彰台を独占 【(C)Brett Wilhelm / ESPN Images】

■男子パーク:ジャガー・イートンが頂点に輝く

幼い頃は「バート期待の星」と呼ばれていたらしい。初めてのエックスゲームズ参戦は10年前のビッグエアだった。初めてのエックスゲームズメダルと、初めての金メダルはストリートだった。スケートボードのあらゆるスタイルを掛け合わせて、ストリートでTokyo2020銅メダルを手にしたジャガー・イートンが、2022年千葉大会でついに初めて、パークでの金メダルを獲得した。

全部で4ラン行われたうち、3本目でイートンは首位へと駆け上がった。スタート直後のギャップ部分でノーグラブのキックフリップを決めると、さらにスピードに乗ってリスク覚悟の大技を連発。2本目終了後に1位に立ったキリアン・ウーリーを、見事に追い抜いた。

そのウーリーは大胆なライン取りで、初出場でメダルを獲得し、ディフェンディングチャンピオンのリアム・ペイスは、1本目の転落で脚を痛めた様子を見せながらも、3本目をうまくまとめて銅メダルに輝いた。

■女子ストリート:表彰台は初々しい顔ぶれに

Tokyo2020でブラジル史上最年少メダリストになったライッサ・レアルが14歳で、生まれて初めてエックスゲームズ金メダルに輝いた。スピードと高さを活かしたパワフルなトリックメイクで、1本目であっさり首位に立つと、そのまま優勝をさらい取った。

ライバルたちは最後まで果敢なトライを繰り返した。特に予選1位通過の織田夢海とTokyo2020銅メダリスト中山楓奈、さらには母国オーストラリア以外の国際大会出場は初めてという12歳のクロエ・コヴェルの3人が、抜きつ抜かれつの好バトル。2本目を終えた段階で、織田2位、コヴェル3位、中山4位につけていた。

真っ先に3本目へと滑り出したコヴェルは、ハンドレール+バンクでの連続技を幾度も繰り出し、いったん2位にアップ。しかし中村がスピードを活かし45秒の制限時間ギリギリまで攻め、2位の座を奪い取った。

そして織田の最終ラン。難度の高いトリックを成功させ小さなガッツポーズが飛び出すも、直後の技で転倒。4位からの再度逆転はならなかった。中村が銀、コヴェルが銅を手にし、レアルとともにエックスゲームズ初表彰台の初々しい顔ぶれがそろった。

■男子バート:ジミー・ウィルキンスが4連覇達成

まるで重力など存在しないかのように軽々と、大胆な技を次々と繰り出して、ジミー・ウィルキンスが史上最多タイの4連覇を成し遂げた。しかもボードに手を添えないトリックも多用。幅の広い「ノーハンド540」を悠々と披露した。1本目からフルメイクでトップに立つと、最終5本目の終わりまで、首位の座は揺るがなかった。2014年大会の初優勝を含み、5つ目のエックスゲームズ金メダルを持ち帰った。

一方で芝田モトは見事なグラブさばきが光った。自身のオリジナル「カミカゼ」を華々しく決めると、会場のファンやライバルたちは大熱狂。5本のランは全てバリエーションに富み、最後の最後まで魅せた。2017年大会の金メダリストは、自身3度目の銀メダルを獲得した。

昨季バート・ベストトリックで史上初めて「1080(3回転)」という大技を決めた13歳のギー・クーリーは、バートでもやはり得意の回転技が冴えた。2本目では「900(2回転半)」「720(2回転)」、再度「720」と立て続けにくるくる飛んだ。昨季はベストトリックで史上最年少金メダリストとなったのに続き、今年はバートにおける史上最年少メダリスト(銅)となった。

■男子バート ベストトリック:ミッチー・ブルスコが初優勝、12個目のメダル

ミッチー・ブルスコが初勝利に歓喜した。全部で6本のランのうち、成功したのは4本目だけ。それでも4年前にビッグエアで金の経験を持つ25歳は、「ビッグフリップ・マックツイスト」で新しい栄光を手に入れた。11回目のエックスゲームズ参戦で、通算12個目のメダルでもあった。

大会初日のバートで銅メダルを獲得したギー・クーリーは、2日目のバート・ベストトリックは銀メダルで終えた。1本目に「900」で足慣らしを済ませると、2本目に自らのトレードマーク「1080」を軽々と飛んだ。同じトリックで金メダルを手にした昨季のような結果は得られなかったが、それでも今大会参加選手の中で唯一、堂々と2つのメダルを持ち帰った。

1本目から5本目まではことごとく失敗に終わったクレイ・クライナーは、30分の試合セッションが終わる10秒前に、大急ぎで6本目へと飛び出した。そして、とうとう、「ノーグラブ・ビッグ・フリップ」を決め、執念で銅メダルを引き寄せた。

文=宮本あさか
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