高橋彩華「チンプンカンプン」から一変

チーム・協会

【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

 JLPGAツアー2022シーズン第8戦『40th フジサンケイレディスクラシック』(賞金総8,000万円、優勝賞金1,440万円)が4月22日、静岡県伊東市・川奈ホテルゴルフコース 富士コース(6,447 Yards/Par 71)で開幕。絶好のコンディションに恵まれ、スーパープレーが続出した。トーナメントコースレコードタイの8アンダーで高橋彩華が首位。4打差の4アンダー、2位タイに17番でホールインワンを達成した藤田さいき、松森彩夏、濱田茉優、竹山佳林が続く。2週連続Vを狙う植竹希望は3アンダー、6位タイ。大会連覇がかかる稲見萌寧はイーブンパー、35位タイから上位をうかがう。
(天候:晴れ 気温:22.6℃ 風速:1.4m/s)
《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:22mm》

 華麗で、しかも鮮やかな決断だった。弘法は筆を選んだ。トーナメントコースレコードタイの63をマークした高橋彩華の首位には、大きなドラマが隠れていた。「今年一番」のショットが飛び出したのは、パー3の11番。

 8Iの第1打がピンの根元へ飛んでいく。惜しくも跳ねて5メートルの誤差が生じたものの、両手にはしびれるような快感が残った。プロ冥利ともいえる会心の出来事。ショットメーカーを自任するだけに、まさにこの時を待っていたーといわんばかりである。

 「久しぶりにこの感覚だ、と思った」という。結果はパーに終わったが、新たなステップへ移ったことは間違いない。その後も3バーディーを上積みし、2位へ4打差をつけている。これまでとは状況が違う首位発進へ、胸が高鳴った。

 結果を運んできたのは、自身の思い切った決断。「開幕戦から、私の持ち味のアイアンショットが全くうまくいかない。意図した方向ではなく、横ブレや距離がチンプンカンプンになった。もう、大変です。気持ちが悪いし、ずっとロングパットばかり…」と混乱を伝える。懸命に練習を重ね、シャフトの変更をするなど応急処置をしたものの、なかなか好転はしない。

 そこでアイアンをすべて変更したのだ。「アマチュアの時から、ずっと同じメーカーのものを使ってきた。でも今回は別のメーカーで、シャフトをカーボンへ。きのうのプロアマトーナメントで使って、これならーという手応えがあった。届いたのはその前日です。こんなことは初めての経験です」と明かしている。窮余の一策といっていい。迷いと不安が解消された。

 2020-21年シーズン。今季ブレークした西郷真央同様に、優勝争いをしても惜敗続き。2位2回、3位5回、トップ10が21回という安定感を誇った。今オフはスイング改造へ着手し、「手打ちになりがち」なクセを解消につとめている。ところが、シーズンへ入ると最後のワンピースが足りない。それが、この日、ようやく収まるところへはまったのである。

 「結局、カーボンシャフトに合うスイングをつくっていたのですね。結果がそうなりました」と、思考もプラスへ転化させた。これまで会見、囲み取材では精神面の不安を口にしたが、この日は別人のように言葉にパワーがこもっている。

 「残りの2日間、いろいろ試すことができます。楽しみで仕方がない」。この人も黄金世代だ。前週の植竹希望同様に、遅れてきた逸材が輝きを増している。

(JLPGAオフィシャルライター=宮脇 廣久)
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