G1/Jpn1につながるアンタレスSを分析!

JRA-VAN
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【2021/4/18 阪神11R アンタレスステークス(G3) 1着 4番 テーオーケインズ】

今週は日曜日に阪神ダート1800mでアンタレスSが行われる。この日は中山の皐月賞に大きな注目が集まるが、アンタレスSも見逃せない楽しみなレースだ。いつものように過去10年の結果を分析し、同レースの傾向を探っていくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

過去10年のアンタレスSの好走馬

■表1 【過去10年のアンタレスSの好走馬】

表1は過去10年(以下、同様)のアンタレスSで好走した馬たち。勝ち馬を中心に顔ぶれはなかなか豪華だ。2012年1着のゴルトブリッツは、次走帝王賞を優勝。13年1着ホッコータルマエは次走かしわ記念でG1/Jpn1初制覇を果たし、その後も大活躍を果たした。14年1着ナムラビクターは、同年のチャンピオンズCで2着(8番人気)と好走。

これ以降もアウォーディー(16年JBCクラシック1着)やミツバ(19年川崎記念1着)が後にG1/Jpn1を優勝。20年は1着ウェスタールンド(18年のチャンピオンズCで2着)、2着アナザートゥルース(21年チャンピオンズC3着)、3着クリンチャー(21年東京大賞典2着)とG1/Jpn1級の実力を持った馬が上位を占めた。

そして、昨年はアンタレスSで重賞初制覇を飾ったテーオーケインズが、同年の帝王賞やチャンピオンズCを制し、JRA賞最優秀ダートホースに輝いた。このように後のダートG1/Jpn1で活躍する馬が続々と出ており、アンタレスSは出世レースになっている。

アンタレスSの脚質別成績(過去10年)

■表2 【アンタレスSの脚質別成績(過去10年)】

表2はアンタレスSの脚質別成績。先行6勝、中団3勝、後方1勝と、勝ち馬の過半数は先行だった。先行は勝率16.7%、単勝回収率も103%と優秀で、連対率(30.6%)や複勝率(36.1%)も高い。先行がかなり有利なレースといっていいだろう。また、上がり3ハロンが1位だった馬の成績が【6.0.3.4】と、最後に鋭い脚を使った馬がよく勝っている。ちなみに18〜21年の勝ち馬はすべて、上がり3ハロン1位をマークしていた。18年は不良馬場、19年と20年は稍重馬場、21年は重馬場と、近4年は良馬場以外の馬場状態になっている。速い上がりを使った馬が連勝しているのは、脚抜きがいい馬場状態が続いているからかもしれない。

アンタレスSの斤量別成績(過去10年)

■表3 【アンタレスSの斤量別成績(過去10年)】

※表3はアンタレスSの斤量別成績(牝馬も含むが、出走は2頭だけ)。57キロと56キロが5勝ずつをあげている。勝利数は互角だが、好走率は57キロの方が明らかに高い。一方、58キロや59キロは未勝利。アンタレスSはすでにG1/Jpn1やG2/Jpn2を勝っている実績馬(58kg以上を背負うことになる)よりも、そうでない馬の方が勝ちやすい傾向だ。

アンタレスSの前走クラス別成績(過去10年)

■表4 【アンタレスSの前走クラス別成績(過去10年)】

表4はアンタレスSの前走クラス別成績。前走3勝クラスは好走例がなく、上がり馬でも前走条件クラスは厳しい傾向。前走オープン特別組はL(リステッド)と非L組で差はあるが、3頭の勝ち馬が出ている。前走JRA組の中ではG1組が【1.2.0.5】と好成績。G3組は【1.3.4.54】と頭数はかなり多いが、好走率は低い印象だ。一方、前走地方組(主にダートの交流重賞)が【5.5.2.24】と連対馬10頭を含み、好走馬12頭を出している。好走率もJRAの前走G1組と遜色ない。

アンタレスSの前走レース別成績(過去10年)

■表5 【アンタレスSの前走レース別成績(過去10年)】

最後に表5はアンタレスSの前走レース別成績。前走地方組の中では前走名古屋大賞典(名古屋)と、前走ダイオライト記念(船橋)組の好走馬が多かった。前走JRAのG1組はフェブラリーS組だけでなく、チャンピオンズC(旧ジャパンカップダート)組の好走もあった。15年はクリノスターオーが、前走チャンピオンズ8着以来の休み明けで勝利を飾った。

そして前走仁川S組も実は出走頭数が多い。Lか非L、ハンデ戦か別定戦の違いにより、表では3つに分かれているが、いずれも阪神ダート2000mで行われたレースで、合計15回の出走があった。仁川Sが別定戦だった時代は、ゴルトブリッツ、ナムラビクターと2頭の勝ち馬を出していたが、ハンデ戦になってからは好走馬が1頭も出ていない。リステッド競走になってもこの傾向は変わらなかった。また、中山ダート1800mのハンデG3・マーチS組が【0.3.4.53】と未勝利である点も気になるところ。前走がハンデ戦という点は、本競走においてはマイナス材料と考えるべきかもしれない。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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