「これまでのパフォーマンスは悪くない。残り5試合でもチームのために全力を尽くす」アタアタ・モエアキオラ

チーム・協会

【コベルコ神戸スティーラーズ】

スタッツを気にしなくなったらパフォーマンスが上がった

 第5節グリーンロケッツ東葛戦で2016年のU20世界選手権南アフリカ代表戦以来となるハットトリックを決め、プレイヤーオブザマッチに輝いた。以降、4試合連続でトライをマークし、第11節終了時点で「トライ6」、「クリーンブレイク7」、「ディフェンス突破41」と、コベルコ神戸スティーラーズの攻撃の中心選手として活躍する。
「シーズン当初は、スタッツを気にしていたんですが、パフォーマンスが上がらなくて。それで、第4節埼玉ワイルドナイツ戦からスタッツを気にしないようにしたんです。チームのために自分の仕事を全うしようと思ってプレーしていたら、自然とパフォーマンスが上がってきました」と振り返る。
好調の要因はほかにもある。2021年シーズン、活動を再開した日本代表メンバーから外れ、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチからはフィットネス不足を指摘された。メンバー落ちした悔しさから、オフシーズンは毎日のように灘浜グラウンドで走り込みを行い、体力面の強化に取り組んだ。チームが実施しているブロンコテスト(合計1200mを走る体力測定)では、5分40秒ほどだったのが、5分を切るほどになったという。
「昨シーズンまではフル出場した試合は、必ずといっていいほど、途中で足がつっていたんですが、今シーズンは1度だけ。開幕戦だけなんです」と成長を感じている。
さらに、今シーズンは、ディフェンスでの貢献も光る。
「周りとしっかりコミュニケーションを取れていることが大きいと思います。これまでと比べると、自分がどこにいけばいいのか明確になっています。あとは、タックルの精度をより高めたいですね」

開幕戦のSA浦安戦で、子どもの頃から憧れだったというイズラエル・フォラウのプレーを間近いに見て「すごい!」と感激したとか。「フォラウみたいな選手になりたいですが、無理なので、僕は僕のプレーを磨きます!」 【コベルコ神戸スティーラーズ】

タフな1週間を乗り越えられたのは、日本の皆さんのお陰

 チームは4勝7敗と厳しい戦いが続く中で、攻守で存在感を発揮するモエアキオラが、人生でもっともタフだったと話すのが、2022年1月15日に発生したトンガでの海底火山の発生により、母国で暮らす家族と連絡が取れなかったこと。
この日、日産スタジアムで第2節横浜キヤノンイーグルス戦が行われ、21対55のスコアで敗戦し開幕2連敗を喫した。
試合を終えた後、ロッカールームでスマートフォンを見てみるとニュージーランドに住む兄から火山の噴火と津波の発生を知らせる1本のメールが。
「びっくりしました。兄も家族と連絡が取れなくて、めちゃくちゃ心配でした」
家族と話ができたのは、事態発生から5日後。兄が間に入り、トンガの家族とモエアキオラを電話でつないだ。
「声を聞いて、ほっとしました」
最後にトンガを訪れたのは、ラグビーワールドカップ2019日本大会の後。高校時代は一度も帰らなかったそうだが、大学に進んでからは1年に2度は帰国し、大好きな家族と会っていた。しかしコロナ禍で海外への渡航がままならない状況となり、そんな中で起きた海底火山の噴火だった。
「家族と連絡がつかず精神的にタフな時間でしたが、乗り越えることができたのは、日本の皆さんからのあたたかい心遣いがあったから。感謝しています」
神戸で行われた第3節クボタスピアーズ船場・東京ベイ戦は、試合前にグラウンドでトンガ国旗が広げられ、被災地に向けて黙祷を捧げた。
「仲間やファンの皆さんの気持ちがうれしかったですし、トンガ国旗を見て感動しました。今シーズン初めて試合にも勝つこともできて、最高の1日になりました」

残り5試合では、全勝と個人的にはトライ王を狙う!

 今ではインターネットも国際電話もつながるようになり、以前のように家族と連絡が取れるようになっている。オフシーズンに入ったら、3年ぶりにトンガに帰って家族と会いたいという気持ちもあるが、日本代表への復帰も譲れない。来年には、前回大会ではメンバーに入りながらも一度もグラウンドに立つ機会がなかったラグビーワールドカップがフランスで開催される。
「みんなに期待していると言われますし、僕ももちろん出たいです!」
日本代表復帰に向けて自信のほどは?と問いかけると
「うーん、どうだろう、わかんないですね。だけど、今シーズンのパフォーマンスは悪くないです。今はチームに貢献することに集中しています」と返ってきた。
リーグワンの戦いもいよいよ大詰め。同じカンファレンスのチームとの2度目の対戦が待っている。
「残り5試合、チームの勝利のために良いパフォーマンスをして、全勝したい!個人的にはもう一度ハットトリックもしたいですね。トライ王を狙います!」
3月10日にチームに加入した南アフリカ代表のCTBルカニョ・アムが内側にいるのも心強い。「ルーク(アムのニックネーム)は強くて、うまくて、速い。コミュニケーションも取りやすいので、一緒にプレーしていて楽しいですね」と絶賛する。アムの日本デビューとなった第11節東芝ブレイブルーパス東京戦でも、アムとモエアキオラの絶妙なコンビネーションでトライを演出した。
1つでも上の順位を、そして、トライ王を目指して。モエアキオラは、最後まで全力で戦い続ける。

文/山本暁子(チームライター)

「WTBでもCTBでも試合に出られるなら、どちらでも構わない」と話す。ちなみに日本代表のCTBシオサイア・フィフィタはトンガカレッジの後輩。「一緒にワールドカップに出たいですね」と意気込む。 【コベルコ神戸スティーラーズ】

  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

コベルコ神戸スティーラーズ

1928年創部。1988年にチームの愛称である「Steelers」の文字をジャージに採用し、人とボールがよく動く「クリエイティブラグビー」を信条に、1989年の日本選手権で初優勝を収める。以降、1995年まで連続で日本一を勝ち取り、歴代最多タイ記録となる7連覇を達成。2003年度より開幕したジャパンラグビートップリーグでは初代王者に輝き、2018年にはシーズン無敗で日本一に輝いた。 2022年から開幕する「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」では、チーム名を「コベルコ神戸スティーラーズ」とし参戦する。

関連リンク

※リンク先はすべて外部サイトになります

新着公式情報

公式情報一覧を見る

編集部ピックアップ

おすすめ記事(スポーツナビDo)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント