開幕ダッシュよりも、シーズン終盤にいかなる立ち位置に置かれているかを重視しながらチーム作りを進めている片野坂監督。新たなスタイルへの模索と、新戦力のフィットを目指す片野坂ガンバだが、3月は公式戦で勝利を手にすることが出来なかった。
「シーズンが始まってから望むような結果がなかなか得られていない中でも、沢山のサポーターの方が足を運んで応援してくれている。その想いに応えるためにも、まずは連戦の初戦に勝って勢いに乗りたい」とガンバの誰もが抱く思いを力強く語るのはルヴァンカップの鹿島戦でピッチに立った一森である。
名古屋戦を皮切りに、ルヴァンカップとの並行日程が待つガンバだが、やはりチームを勢い付けるのは勝点3。とりわけパナソニックスタジアム吹田での片野坂体制初勝利を待ち侘びるサポーターの前で勝点3を手にすれば、自ずと弾みがつくはずだ。

今季、ここまでの公式戦全てでゴールを奪えているのは収穫の一つだが、一方で福岡戦とルヴァンカップ鹿島戦の敗戦から課題として浮かび上がったのは、激しく来る相手に対しての局地戦である。
「どういうシステムだろうと戦い方だろうと選手が躍動しないと良い成果につながらない。そのためには迷いを消して選手のパワーが出るようなことを選手に提示したい」と片野坂監督も、名古屋に勝ち切るためのシステムと選手をピッチに送り出すことになる。
失点の減少は課題であるが、ホームで未だ手にしていない勝利に向けて不可欠なのがゴール。そして名古屋戦はガンバを知り尽くす指揮官が構築している固い守りをこじ開けるミッションが待っている。
リーグ戦4試合を終え、1勝2分け1敗の名古屋だが、失点数はわずかに3。フィッカデンティ監督時代のスタイルを継続しつつも「健太さん（長谷川監督）のやりたいサッカーは名古屋のフィッカデンティさんが積み上げてきたものと似ているし、よりパワーがはっきりと明確になっている」と片野坂監督も話す。
福岡戦と鹿島戦でFW陣にゴールが生まれているのは好材料の一つだが、名古屋攻略の鍵を握るのはスピードスター・山見のパフォーマンスである。名古屋に今季加わったチアゴとは、昨年のルヴァンカップの大阪ダービーで山見も対戦し、アウェイの地で見事なゴールを奪っている。
「前回の対戦時もチアゴ選手は速さがウイークと聞いていた。明日、対峙できれば、そういう部分は出していきたい」とプロ初ゴールに向けて気合十分だ。

開幕戦以来、勝利から遠ざかっている名古屋も、勝点3を目指してパナソニックスタジアム吹田に乗り込んでくるはずだ。片野坂監督とはガンバで同じ時を過ごした長谷川監督だが、前線の個を生かす上手さは健在。相馬やマテウス、そして柿谷や元ガンバの阿部ら一発を持つアタッカー陣には注意が必要だ。
「4月最初の試合で、これから上位に食い込むためには連勝が必要になる。自分がチームを勝利に導くゴールを取りたい」（山見）。4月反攻に向けて、ホームのサポーターの前で好スタートを切るのみだ。