【鳩スタ殿の13人】#022 野口必勝(リタジャパン株式会社 代表取締役ファウンダー)ー『鳩スタ』はサッカー界全体の注目を集める存在に

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 神奈川県リーグに所属する鎌倉インテルが、民間の力だけでつくり上げた自前のホームグラウンド「みんなの鳩サブレースタジアム」(通称「鳩スタ」)。雑草の生い茂っていた古都・鎌倉の広大な空き地に誕生した「鳩スタ」は、その名の通りに「みんなの思い」が形になった場所だ。

 ここでは「鳩スタ殿の13人」と題して、「鳩スタ」に関わる人々のそれぞれの思いに迫る。今回は、FC琉球の初代社長であり、「鳩スタ」のプロジェクトを多角的にサポートした野口必勝。

(文・本多辰成/スポーツライター)

クラブがまず投資すべきは「自分の家」を持つこと

FC琉球の初代社長を務めた野口必勝 【鎌倉インターナショナルFC】

 FC琉球の創設に尽力し、初代社長を務めた野口必勝。ゼロからクラブを立ち上げ、県リーグから駆け上がってJリーグ加盟へとつながる歴史の基盤を築いた経験は、ちょうど今の鎌倉インテルに重なる。

「FC琉球を設立した当時、僕は23歳で社長としてスタートしましたが、まさに今の鎌倉インテルのような状況でしたから気持ちがよく分かるんです。0から1をつくる大変さというのは体感していますし、その後、1から2になるとけっこう人が集まってくる。鎌倉インテルも今、そういうところに来ていると感じます」

 FC琉球は2003年に創設されると、沖縄県リーグ、九州リーグと最短での昇格を続けて3シーズンでJFLまで到達。「企業で言えばまずは最短で上場してしまった、という感じ」と野口は当時を振り返るが、今思えば「こうするべきだった」と反省する点もあるという。

「創設当初のことで今だったらこうする、と思う点がいくつかあるんですが、そのひとつが自前のグラウンドをつくることです。これはJリーグのチームも抱えている問題だと思いますが、自前のグラウンドがなくて行政の支援を受けなればいけないクラブが多い。でも、海外に目を向けると、まず投資すべきはやっぱり『自分の家』を持つことなんです」

 鎌倉インテルと同じく県リーグ3部からの挑戦を経験した野口だからこそ、「鳩スタ」の価値を痛感している。

「鳩スタ」はスポーツの価値を高めることへの挑戦

「鳩スタ」に導入された「鎌倉インテル応援自販機」 【鎌倉インターナショナルFC】

 野口が鎌倉インテルと関わるようになったきっかけは、クラブ創設1年目にあたる2018年のこと。現在、鎌倉インテルのCOOを務める杉之尾剛太を通じて、鎌倉にできた新たなクラブの存在を知った。

「杉之尾さんから鎌倉インテルの話を聞いたんですが、オーナーの四方(健太郎)さんがシンガポールにいるということで。たまたま僕もシンガポールでフィットネスクラブの運営をしていたので毎月シンガポールに行っていて、そこで四方さんとお会いしたのが最初でした。その時はまだ将来的にスタジアムをつくりたいね、というくらいの段階だったと思いますが、そこからいろいろと関わらせてもらうことになりました」

 野口は現在、スポーツ事業を展開するリタジャパン株式会社の代表を務める。同社は事業のひとつとして自動販売機を設置することでクラブの収益とするストック型のビジネスモデル「飲む応援」を展開しており、その事業のスタートメンバーのひとりが杉之尾だった。

その出会いをきっかけに鎌倉インテルも「飲む応援」を導入し、野口は「鳩スタ」のプロジェクトにもさまざまな形で関わるようになっていく。資金調達やクラウドファンディングのリターンなどに関するアドバイス。さらに、「鳩スタ」のピッチには野口が代表を務めるリタジャパンが開発した人工芝が使用されている。

 リタジャパンのホームページには、事業の原点として「スポーツで日本を元気に」、「夢づくり・人づくり・まちづくり」という言葉が掲げられている。「鳩スタ」のプロジェクトは、野口にとってもスポーツの価値を高めるという大きなビジョンへの挑戦だった。

鎌倉インテルはJクラブでも難しいことを成し遂げている

2021年9月、鎌倉インテルCOOの杉之尾と「鳩スタ」の人工芝敷設作業に取り組む 【鎌倉インターナショナルFC】

 野口が関わるようになった頃、クラブはまだほとんどスポンサーを獲得することもできない状況にあった。だが、多くのJリーグクラブと付き合いのある野口は、「鎌倉インテルにはJクラブにもない特別な価値がある」と強く背中を押した。

「当時、鎌倉インテルのセールスシートを見ると、Jクラブのセールス資料を参考に作られていたんです。でも、それはあくまでJ1のカテゴリーでの価値なので、県リーグのチームにそのまま落とし込んでも意味がない。逆に僕から見ると、インターナショナルな視野を持った鎌倉インテルには、ある意味ではJクラブ以上の価値があると感じていました」

 当時、クラブは数十万円という金額でもスポンサーを見つけられずにいる状況だったが、野口はむしろ「金額を一桁上げるべき」とアドバイスをしたという。実際にその後、鎌倉インテルには多くの支援者やスポンサーが集まり、クラウドファンディングでは3000万円の資金を集めることにも成功した。

「いろいろなクラブから経営面のご相談を受けることがあるんですが、鎌倉インテルが素晴らしいのはスケジュールをきっちりと管理してプロジェクトを進めていくところです。僕が10の話をしたら、感覚値としては30や40の形で実現させてしまう。クラウドファンディングにしてもトークンの取り組みにしても、Jクラブが達成できないようなことを形にしてしまっています。何が違うのかと考えると、やっぱり鎌倉インテルは地道にコツコツとやっている。やることをやればカテゴリーに関係なく達成できる、ということをすごく感じた数年間でした」

「鳩スタ」はサッカー界全体の注目を集める存在に

2021年10月17日、鎌倉インテルのスタッフと共に「鳩スタ」のグランドオープンを迎える 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 県リーグのクラブが民間の力だけで自前のホームを完成させたという事実は、今後、日本のサッカー界にも好影響を与える可能性があると野口は考えている。

「最近はサッカー業界の方やJリーグ関係者の方と話していても、『とにかく鎌倉を見ろ』という流れになりつつあります。『鳩スタ』は単に自前でグラウンドをつくりました、というだけの話ではありません。あの場所に来れば、いろんな面で『自分のクラブならここは使えるな』と参考になる点があるはずです。おそらくこれから、『鳩スタ』は鎌倉だけでなく神奈川県、そしてサッカー界全体からも注目される存在になっていくんじゃないかと思っています」

 将来的には本格的なスタジアム建設も見据えるプロジェクトの第一歩として誕生した「鳩スタ」。スポーツの価値を高めるという共通のビジョンを持つ野口も、ともにチャレンジしていく覚悟だ。

「今の段階で100点だとはもちろん思っていませんが、前例がないことに対してチャレンジしているわけなので、いろんな課題は出てきます。四方さんも杉之尾さんも、そこに対してポジティブに解決していこうというマインドなのですごく心地がいいです。僕らとしても、一緒になってスポーツの価値を上げていくためのロールモデルを作れればと思っています」

 FC琉球創設時の社長であった野口は、「鳩スタ」のプロジェクトについて「僕が20年前にできなかったこと」とも話す。鎌倉インテルと「鳩スタ」には、単にJリーグへと駆け上がっていくだけではないサッカークラブの大きな可能性が秘められている。

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著者プロフィール

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鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、人種や宗教、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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