芝マイル重賞で好成績を残す種牡馬・騎手は?

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【 2017/11/19 京都11R マイルチャンピオンシップ(G1) 1着18番 ペルシアンナイト(4番人気)】

中央競馬の重賞で多数のレースが組まれている距離といえば芝1600mと芝2000m。今週はダービー卿チャレンジT、大阪杯とその両方の距離で重賞が行われるが、4月はその後も阪神牝馬S、ニュージーランドT、桜花賞、アーリントンC、そしてマイラーズCと、芝1600mの重賞が集中している。今回は、そんな芝1600mの重賞における種牡馬や騎手の成績を調べてみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、集計期間は2017年以降本年3月21日までとした。

芝1600m重賞における種牡馬成績(勝ち鞍順ベスト10)

■表1 【芝1600m重賞における種牡馬成績(勝ち鞍順ベスト10)】

まず表1は、2017年以降の芝1600m重賞における種牡馬成績である(勝ち鞍順)。ディープインパクトが42勝を挙げ断トツで、2位にダイワメジャー、3位にはロードカナロア。以下、勝ち鞍ベスト10に入った種牡馬はほとんどが勝率10%前後で横並びだ。

そんな中で1頭だけ勝率15%台を記録しているのが、8勝で5位に入ったハービンジャーだ。マイルの代表産駒として表ではペルシアンナイト(マイルCS)の名前を挙げたが、同馬は2000mの皐月賞や大阪杯でも2着に食い込んでいる。ほかにディアドラ(秋華賞)、モズカッチャン(エリザベス女王杯)、ブラストワンピース(有馬記念)、ノームコア(香港C、ヴィクトリアM)とG1馬の名前を並べると中距離型が多く、純粋なマイラーや、マイル戦もこなしたスプリンターというタイプは皆無だ。

ハービンジャー産駒の芝1600m重賞優勝馬

■表2 【ハービンジャー産駒の芝1600m重賞優勝馬】

そのハービンジャー産駒でJRAの芝1600m重賞を制したのは表の6頭である。このうちG1を制したノームコアは、JRA重賞全体では【4.1.3.5】勝率30.8%・複勝率61.5%で、うち芝1600mでは【2.0.1.1】勝率50.0%・複勝率75.0%。ペルシアンナイトもJRA重賞全体で【2.4.4.21】勝率6.5%・複勝率32.3%に対し、JRAのマイル重賞では【2.1.2.7】勝率16.7%、複勝率41.7%と、両馬ともマイル重賞の好走確率が高かった。

そして表2の残る4頭のうち、ナミュールとプレサージュリフトの2頭は現3歳世代。どちらも桜花賞では注目の存在だ。この世代はほかにアライバル(新潟2歳S2着、スプリングS2着)やロジハービン(京成杯2着)、リューベック(若駒S1着)などが既にオープンで結果を出しているが、これらの馬がもしクラシック路線を歩んだあとにマイル戦に出走する機会があれば注目してみたい。

芝1600m重賞における騎手成績(勝ち鞍順ベスト10)

■表3 【芝1600m重賞における騎手成績(勝ち鞍順ベスト10)】

続いて表3は、同じく2017年以降の芝1600m重賞における騎手成績だ(勝ち鞍順)。トップ3はルメール、川田、M.デムーロの3騎手。同期間の全重賞で集計してもこの3騎手が上位を占めており、顔ぶれとしては芝1600m重賞にかぎったからといって特に目新しいところはない。

ただ、このうち川田騎手は表にも記したように、同期間全重賞に比べ芝マイル重賞では勝率を5ポイント近く上げている。単勝回収率も177%と非常に高く、この条件を得意とするジョッキーと言っても差し支えないだろう。

川田将雅騎手の芝1600m重賞勝ち鞍

■表4 【川田将雅騎手の芝1600m重賞勝ち鞍】

集計対象期間における川田騎手の芝1600m重賞勝ち鞍は表4の15レース。2019年に6勝、21年に5勝を挙げる一方で、18年は勝利なし、20年は暮れの朝日杯FS1勝に終わっている。年間の重賞勝利数が2桁だった2018年以降をみると10勝前後をベースにして、そこにマイル重賞の勝ち鞍が加算されるような成績になっていることがわかる。

また、この期間に同じ馬で複数の芝マイル重賞を制したのはダノンプレミアム(3勝)のみと、1頭の馬に頼った成績ではなく多くの馬で勝利を重ねている。本年はまだレース数が少ないため芝1600mでの重賞勝ちはないが、多くのレースが行われるこの4月に立て続けに勝利を挙げる可能性もありそうだ。ただ1年おきに好不調がはっきりしていると考えれば、仮に4月に勝てないようであれば年間を通してマイル重賞ではなかなか勝利に手が届かない、ということもあり得る。いずれにせよ、4月のマイル重賞での成績は要チェックだ。

以上、芝1600mで行われる重賞について、種牡馬と騎手成績を調べてみた。種牡馬はハービンジャー、騎手は川田騎手にスポットを当ててみたが、もちろん勝ち鞍トップのディープインパクトやルメール騎手の存在も見逃せない。レースごとの傾向に加え、こういった芝マイル重賞全体での成績も参考にしつつ、4月の重賞を楽しんでいきたいところだ。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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著者プロフィール

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