【鳩スタ殿の13人】#020 石井久和(鎌倉インターナショナルスポーツクラブ代表理事/セカンドチーム監督)ー地域の人たちに応援されるような活動をしていくことが大事

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【鎌倉インターナショナルFC】

 神奈川県リーグに所属する鎌倉インテルが、民間の力だけでつくり上げた自前のホームグラウンド「みんなの鳩サブレースタジアム」(通称「鳩スタ」)。雑草の生い茂っていた古都・鎌倉の広大な空き地に誕生した「鳩スタ」は、その名の通りに「みんなの思い」が形になった場所だ。

 ここでは「鳩スタ殿の13人」と題して、「鳩スタ」に関わる人々のそれぞれの思いに迫る。今回は、セカンドチーム監督と鎌倉インターナショナルスポーツクラブ代表理事を兼務する石井久和。

(文・本多辰成/スポーツライター)

「鳩スタ」はこんな人も使える、と提案するのが自分の仕事

地域の子どもたちと交流する石井 【鎌倉インターナショナルFC】

 鎌倉インテルのセカンドチーム監督を務める石井久和には、「鎌倉インターナショナルスポーツクラブ代表理事」というもうひとつの肩書きがある。「鎌倉インターナショナルスポーツクラブ」とは、鎌倉インテルによる総合型地域スポーツクラブのことだ。

「『鳩スタ』という箱ができましたが、それを実際に地域の皆さんにどう使っていただくかという部分をやっていくのが『鎌倉インターナショナルスポーツクラブ』です。ただ、いきなりつくって『地域の皆さんのスポーツクラブです』と言ってもなかなか認知されないので1年間の準備期間を設けて、鎌倉市役所や鎌倉市体育協会、地域の方たちともお話をさせてもらってきました。それで、この3月にようやく設立に至りました」

 鎌倉インターナショナルスポーツクラブでは、「多世代多種目」を掲げて幅広い層の人々がスポーツを楽しめる環境づくりを促進していく。「鳩スタ」を舞台に、それを実現させるためのプロジェクトの先頭に立つのが石井だ。

「『鳩スタ』はサッカーでしか使えない、一部の層だけのためのものではいけないと思っています。おじいちゃん、おばあちゃんから小さい子どもまで、いろんな方がいろんなレベルで、いろんなスポーツをみんなで楽しめる場所。いろんな方に来ていただくことで『鳩スタ』が地域にあってよかったと思われることにもつながると思いますし、それによって鎌倉市のスポーツ促進を図れればと。『鳩スタ』はこんな人も使える、ということを提案するのが自分の仕事だと思っています」

茶園の園主が、鎌倉インテルのセカンドチーム監督に

先祖代々から受け継いできた歴史ある「いしい茶園」 【鎌倉インターナショナルFC】

 石井の本業は、神奈川県内で茶園を営む園主だ。そんな石井が鎌倉インテルに関わるようになったのは、偶然の出会いからだった。

「創設当初にクラブが事務所として使用していた大船のコワーキングスペース『ネクトン大船』で、たまたまGMの吉田(健次)さんとお会いしたのがきっかけでした。鎌倉インターナショナルFCというクラブができたのは耳にしていて、ホームページを見たこともあったんです。何か気になる、引っかかるものがあるクラブだなとは思っていたんですが、まさか自分がセカンドチームの監督をやることになるとは最初は思ってもいませんでした」

 石井は1977年、神奈川県大磯町の生まれ。真剣にサッカーをしていたのは小学校までで、高校以降は鎌倉の社会人チームでプレーしていた。しかし、好きなサッカーに生涯関わっていきたいという思いから30歳を過ぎて指導者のC級ライセンスを取得。B級ライセンスも40歳の頃に取得した。

「セカンドチームの監督がいないということで、たまたまB級ライセンスを持っていた僕にやってくれないかという話が来ました。社会人チームを指導したことはなかったので最初は断ったんですが、オーナーの四方(健太郎)さんからも『人がいないからぜひやってほしい』と。B級ライセンスを取得する時に指導してくださったのが鎌倉インテルのアドバイザーをされている神川明彦先生だったという縁もあって、最終的には引き受けさせてもらうことになりました」

「総合型地域スポーツクラブ」の設立に尽力した1年

監督としてセカンドチームの指揮を執る石井 【鎌倉インターナショナルFC】

 クラブ創設2年目の2019年シーズンからセカンドチームの監督として指揮を執ることになった石井。しかし、やはり本業との両立は簡単ではなかった。

「水曜日と木曜日に練習があって、日曜日には試合がある。1年間やらせていただいたんですが、やっぱり本業との兼ね合いが難しかったので辞めさせてほしいと申し出ました。実際、一度セカンドチームの監督は退任することになったんですが、そのタイミングで総合型地域スポーツクラブの代表という立場でクラブに残ってくれないかというお話をいただいたんです」

 当時、動き出そうとしていた「総合型地域スポーツクラブ」のプロジェクト。その代表という立場はセカンドチーム監督として貢献した石井に対しての名誉職的な意味合いもあったが、実際に動いてみると簡単な仕事ではないことがすぐにわかった。

「総合型地域スポーツクラブと言っても最初は何をやればいいのかもわからなかったんですが、実際に動いてみると、地域の方たちや鎌倉市役所のスポーツ課などいろんな方たちと密に連携をとって進めていかなければいけない。これは肩書きだけもらってふんぞり返っている場合じゃないぞ、となって。セカンドチームの監督を一度退任した一昨年の11月頃から本格的に動かして、1年間の準備期間を経て設立させることができました」

地域の人たちに応援されるような活動をしていくことが大事

大盛況となった「鳩スタ」でのグラウンドゴルフ大会 【鎌倉インターナショナルFC】

「鳩スタ」のプロジェクトについて石井は当初、「そんなに簡単にできるわけがないだろう」と感じていたという。だが、実際にオープンを迎えた今、「鳩スタ」の存在の大きさを実感している。

「選手たちが思い切りボールを蹴れる環境ができたというのももちろん素晴らしいことですが、やっぱり鎌倉インターナショナルスポーツクラブの活動で感じることが大きいです。幼稚園児や高齢の方たちを招いて健康教室などを行っているんですが、みんな『鳩スタ』の芝生で走り回ってすごく笑顔になってくれる。この地域には園児たちが芝生の上を走り回れるような場所はほとんどなかったので、それを実現できていることにはすごく感慨深いものがあります」

芝生の上を走り回る子どもたち 【鎌倉インターナショナルFC】

 一度はセカンドチームの監督を退いたものの、チームの成績不振を機に翌シーズン途中には監督に復帰。クラブ創設5年目を迎える今シーズンも引き続き指揮することとなり、石井はセカンドチーム監督と鎌倉インターナショナルスポーツクラブ代表理事という2つの大きな役割を担う。

「セカンドチームの監督としては、トップチームに負けず我々もできる限り上を目指したいと思っています。トップチームが昇格することがもちろん重要ですが、セカンドチームが強い方がクラブとしていい成績を残せるはずですから。総合型地域スポーツクラブの部分では、地域の方々にもっと鎌倉インテルというクラブや『鳩スタ』の存在を知っていただかなければいけない。『応援してよ』と言うのではなくて、僕たちが応援されるような活動をしていくことが大事だと思っています」

 縁あって関わることになった鎌倉インテルで、石井にとって4度目のシーズンが「鳩スタ」を舞台に始まる。

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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