クロスカントリースキーで金メダルの川除大輝、レジェンドから引き継いだ未来へのバトン
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チーム力が導いた金メダル
ストックを持たず、両手を大きく振って滑る 【photo by AFLO SPORT】
長い下りは空気抵抗を抑えて滑る 【photo by REUTERS/AFLO】
遡ること12年前。小学1年生のとき、新田がバンクーバー大会で獲得した2つの金メダルを首にかけてもらったことがパラリンピックの舞台を目指すきっかけになった。そして、4年前の平昌大会、新田が表彰台の中央に立つ姿をチームメートとして見た。翌年、川除は世界選手権のクラシカル(ロング)で優勝。新田の存在は、憧れ、師匠、先輩、ライバル……少しずつ形を変えた。それでも、前をいく新田の背中が道しるべだということに変わりはなかった。
1位でゴールし、笑顔で日の丸を掲げた 【photo by AFLO SPORT】
そして、この日、新田に約5分もの差をつけてゴールした川除。新田に勝たなければならなかったし、新田と同じ金メダルを獲ることが日本チームをけん引してきたレジェンドへのはなむけになる。そんな気持ちを抱いてレースに臨んでいたに違いない。
「ずっとトップを走ってきた新田さんに、『次は自分がチームを引っ張っていく力がついた』と証明できたと思う。これからはさらに上を目指し、速くなれるように頑張っていきたいです」
4年前は遠くから名眺めたメダルセレモニー。川除は表彰台の中央に上がった 【Photo by AFLO SPORT】
レジェンドの意地
長きにわたって日本チームをけん引してきた新田佳浩 【photo by AFLO SPORT】
レースでは、前半は抑え気味に滑り、後半に追い上げる狙いだった。だが、身体には以前のキレはない。美しいフォームでの滑りを見せるも、川除や2、3位の中国選手に追いつくことはできなかった。
「よく頑張ったなと思うし、川除選手も優勝できてよかったなと思う。スッキリしました」
涙をこぼしながら、自身や川除を称えた新田。
「これがゴールではない。彼自身、もっと成長して、今回出場できなかった選手たちもいますし、もっと高みを目指して頑張ってくれれば」
メイン種目を終えたレジェンドは、長く携えてきたバトンを川除に託した。
川除は大きく輝く金メダルを手にした 【photo by AFLO SPORT】
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※本記事はパラサポWEBに2022年3月に掲載されたものです。
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