皐月賞へ向けたトライアル競走第1弾・弥生賞を分析する

JRA-VAN
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【2021/3/7 中山11R 弥生賞(G2) 1着 4番 タイトルホルダー(4番人気)】

皐月賞へ向け最初の「トライアル」競走となる弥生賞ディープインパクト記念(以下弥生賞)。そのディープインパクトやシンボリルドルフといった後の三冠馬を筆頭に、多くの皐月賞馬を出してきた一戦だ。今回はその弥生賞の過去10年の傾向を、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

過去10年、1〜2番人気は計【6.4.3.7】で連対率50.0%、複勝率65.0%と上々の成績。ただ、それ以外の好走馬は10番人気まで幅広く分布している。過去10年のうち8回は12頭立て以下と落ち着いた頭数になることが多い割に、穴馬の出番も少なくない印象だ。昨年優勝したタイトルホルダーは、単勝4番人気ながらその配当は1790円だった。

馬番別成績

■表2 【馬番別成績】

馬番別で連対率が高いのは4、5番と、8、10、11番。4〜5番は計【3.3.3.11】で連対率30.0%、そして8〜11番は不振の9番を含めても【6.6.2.23】連対率32.4%。特に1番人気馬は8〜11番なら【3.2.0.0】連対率100%、それ以外は【0.0.1.4】と明暗が分かれているため、レース当日はこの点も忘れずに確認したい。

前走クラス・前走レース別成績

■表3 【前走クラス・前走レース別成績】

※背景灰は本年の登録馬に該当なし、レースは本年の登録馬の前走のみ

前走クラス別で好走馬が多いのはG1組とG3組。G1組はやや勝ち切れない感もある一方で、複勝率は70.6%と非常に高い。G3組も同31.3%と上々だが、本競走と同コースで行われている京成杯組は【0.0.2.8】と連対がない。また、オープン特別組の好走馬3頭の前走はすべて若駒Sで、この組は【2.1.0.2】連対率60.0%をマークしている。なお、前走でジュニアCに出走していた馬は過去10年では該当がなかった。

前走G1組の各種条件別成績

■表4 【前走G1組の各種条件別成績】

※キャリアは除外・取消レースを除き、実際に出走したレースのみ

表3にあったように前走G1組は複勝率が優秀な上、単複の回収率も100%を超えている。該当馬はすべて買ってもいいくらいだが、さらに好走確率が高そうな馬に絞るなら前走のG1連対馬(特に優勝馬)、新馬戦で1着だった馬、そしてキャリア2〜3戦馬。ただし、これに該当しなくても複勝率は決して「低い」というほどではない点には注意したい。

前走G3からの3着以内好走馬

■表5 【前走G3からの3着以内好走馬】

前走G3からの3着以内好走馬は表5の10頭で、前走はすべて芝1800m以上かつ5着以内だった。この前走「芝1800m以上のG3で5着以内」を満たす馬は【4.3.3.13】複勝率43.5%、単複の回収率338%、131%となる。

また表5の10頭のうち、コスモオオゾラを除く9頭は前走時に3コーナーを5番手以下で通過していた。前走3コーナー4番手以内だった馬は【1.0.0.10】複勝率9.1%、5番手以下は【3.3.3.12】複勝率42.9%となるため、G3組なら好位以降から差す競馬をしていた馬に注目したい。なお前走G1組は、そのG1で3コーナー4番手以内だったとしても【2.0.2.1】とまったく問題ない。

前走オープン特別・1勝クラスからの3着以内好走馬

■表6 【前走オープン特別・1勝クラスからの3着以内好走馬】

最後に表6は前走オープン特別・1勝クラスからの好走馬7頭で、うち6頭は前走1着馬、5頭は前走1番人気馬だった。その双方を満たす「前走1番人気1着馬」は【4.1.0.6】複勝率45.5%と優秀だ。

また、前走の通過順は好走した7頭すべて3コーナー3番手以下だった。前走の3コーナーを2番手以内で通過していた馬は2012年のフェノーメノが2番人気で6着、そして2017年にはダイワキャグニーがやはり2番人気で9着に終わるなど【0.0.0.9】。表3では好成績を示していた若駒S組でも、ここ2年は同レース3コーナー先頭だった一昨年のパンサラッサが9着に、2番手だった昨年のタイセイドリーマーが10着に敗退した。

【結論】

前走G1組が高複勝率を残す弥生賞(表3)。中でも前走連対馬や新馬戦1着馬、キャリア2〜3戦馬が安定している(表4)。今年のG1組でこの3条件をすべて満たすのは朝日杯FSの覇者・ドウデュースだ。今回は2ハロンの距離延長になるが、この組は2016年にマイル戦しか経験がなかったエアスピネルが3着に入るなど2000m未経験馬が大半という中で好成績を残しており、1800mで2勝を挙げている本馬なら不安はない。

また表4本文でも触れたように、前走G1組は上記3条件を満たせない馬でも複勝率は低くないため軽視は禁物だ。前走ホープフルSで連対を外していた馬がここ3年連続して馬券に絡んでいることもあり、同レース3着のラーグルフや、5着だったボーンディスウェイも候補に挙げたい。

前走G3組は表3にあったように京成杯組が連対なし。その他の組で「前走芝1800m以上5着以内」「前走3コーナー5番手以下」(表5)を満たすのは、京都2歳Sを制したジャスティンロックと、きさらぎ賞を勝ったマテンロウレオの2頭だ。前走オープン特別・1勝クラス組で表6の条件を満たす登録馬はおらず、上記5頭を中心に組み立てたい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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著者プロフィール

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