前半と後半で「別人」に? 宮西尚生の2021年を振り返る
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パ・リーグ史上最長14年連続50試合登板の快挙
ただ、2021年シーズン序盤の宮西投手は著しく安定感を欠いていた。4月の防御率が14.29と絶不調で、長年務めた左のセットアッパーの座を堀瑞輝投手に譲る時期も。しかし8月以降は大きく調子を上げ、結果的にさすがの成績にまとめている。
今回は、例年に比べてアップダウンの激しかった宮西投手の2021年シーズンについて、「各種の指標」「月別成績」「結果球割合」「投球コース」という4つの観点から分析。後半戦で巻き返しに成功した理由について、実際の数字をもとに迫っていきたい。
やや苦戦した印象の2021年だが、指標の面では?
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制球面では、2010年は61試合で9四球、2019年は55試合で6四球と、年間を通じて与えた四球を1桁に抑えたシーズンが2度存在した。その一方で、与四球率が4を上回ったシーズンも4度ある。重要な局面でマウンドに上がるケースも多いだけに、三振か四球かというギリギリの勝負を繰り広げていることが、数字にも表れているだろうか。
被打率に関しても、年ごとの変動こそあれ、被打率.200未満に抑えた年が6度。キャリア平均のWHIPは1.11と、走者を背負うケースは少なくないものの、被打率やWHIPが例年に比べて悪くても、防御率に関しては水準以上にまとめている年も多い。走者を出しながらも容易に得点を許さない粘り強さが、宮西投手の安定感を作っている。
以上を踏まえて2021年の数字に目を向けると、奪三振率は10.00に迫る素晴らしい数字だった。また与四球率は3.05とキャリア平均に近い数字だ。被打率とWHIPがキャリア平均より悪かったことが防御率に影響した面は否めないが、制球力を示す「K/BB」もキャリア平均を上回っており、指標の面ではそこまで悪い数字ではなかったと総括できる。
前半戦はなかなか調子が安定しなかったが……
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しかし、中断期間を挟んで後半戦に入って以降は投球内容が変化。8月は6試合で防御率3.38だったが、9月は月別で最多となる12試合に登板し、防御率1.74と抜群の安定感を発揮した。続く10月は8試合に登板して無失点と、さらに成績を良化させ、8月終了時点で5.33だった防御率は3.65まで改善。まさに、文字通りのV字回復を見せていた。
2021年の宮西投手は、“運”に恵まれなかった?
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そんな中で、「BABIP」には非常に興味深い傾向が表れている。BABIPは本塁打を除くフィールド内に飛んだ打球がヒットになる確率を示す指標であり、一般的には選手個々の能力以上に、運に左右されやすい数値とされている。投手の平均値は.300とされる中で、2021年の宮西投手の前半戦のBABIPは.391と、極端に悪い数字となっていた。
ただ、BABIPはシーズン前半と後半、あるいは前年と翌年で数字が大きく変動することにより、キャリアを通じて.300前後の数字に収束する傾向にある。宮西投手の場合も、2021年の後半戦におけるBABIPは.259と良化しており、この変化が成績にも影響していたと考えられる。
それでも、通年のBABIPは.331と平均値を大きく上回る数字であり、2021年は総じて運に恵まれなかったといえる。ただBABIPが運の揺り戻しによって改善される可能性も高く、2021年前半戦の苦戦は一過性のもので終わる、という見通しも立てられそうだ。
ここからは2021年前半戦と後半戦の結果球や投球コース割合を比較していく。続きは「パ・リーグ.com」で。
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