「忙しいラグビー観戦にうっとりタイムを」NTTリーグワン2022第5節試合前コラム

チーム・協会

【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(ラグビー)】

ラグビー観戦は感動!興奮!忙しい!

ボールを持つや、パス・キック・ぶち当たると他競技にはないほど選択肢に富んでいるアタック。

まるで狩りのように組織で仕留めるディフェンス。そして、一撃で仕留めるタックル。

ヘビー級の選手たちの重力が、一点に集中するラックやモール。

いつかはそれ単体で競技が成り立ちそうなほど「分かる人にしか分からない」スクラム。

ラグビーという競技はダイナミックで奥が深い。そして、やる方も見る方も忙しい。
キックオフ直前はで、不安と期待で心臓の鼓動が早くなるし、プレーが始まれば動きの激しいプレーで一喜一憂する。

トライで歓喜し、ゴール前のディフェンスで歯を食いしばり、レフリーの笛の一つ一つに喜んだり、怒ったり。

痛そうなプレーで顔をしかめ、応援チームの勝利を祈って組む手は、自然と力がこもる。

やっかいなのは良い試合であればあるほど、その忙しさは試合終了ギリギリまで続く。

そうして訪れたノーサイド。その瞬間、これまで張りつめていた心の緊張が緩み、「やっと終わった」と安堵感が湧いてくる。
ここで注意しなくてはいけないのは、その安堵感と共に押し寄せる感動だ。

試合中、取って取られて動くスコアボード。
痛くても苦しくても、すぐに立ち上がる選手の姿。
準備してきたプランが決まったあのプレー。
今週の試合はできるの?できないの?と期待と不安で過ごした週の途中。

そうした様々なシークエンスを回収しながら、安堵感で緩んだ心に総攻撃を仕掛けてくる。
感動という感情は、ラグビー観戦というひとつの物語を締めくくるのに、あまりに劇的だ。

試合を通して、押し寄せてくる喜怒哀楽。
日常生活では味わうことのない感情の波。
そう、ラグビー観戦は忙しい。
心の躍動感が非日常。
ラグビーというスポーツは感情に訴えかけてくるものがある。
それに魅せられて、寒くても暑くても、スタジアムに足が向く。

【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(ラグビー)】

けれど本当はホッとしたい!?うっとりタイムに注目を!

と、そんなラグビー観戦の魅力のひとつでもある「心の躍動」ではあるが、あえてここで言わせてほしい。

「ラグビーって見る側も疲れませんか」

いくら面白いスポーツといえど一試合見るとなかなかのエネルギーを消耗する。
ハーフタイムを挟んだとしても、1ハーフ40分通して心が穏やかではいられない。
この間、すっと集中し続けるのってちょっと疲れる。
しかもラグビーは冬のスポーツ。
寒さ相まって体はこわばり、肩は凝る。

そんなラグビー観戦におすすめしたいのが、試合中のどこかに心のオアシスを見つけること。
ちょっと一息つける時間を見つけて、呼吸を整え、肩の力を抜き、集中力を充電する。
そんな時間があってもきっといい。

それは人によっては様々だが、例えば
「ラインアウトのサインを伝えに、フッカーとプロップがコソコソ話をするあの瞬間」とか
「ラックから起き上がるときに、両チームの選手同士が互いに起こし合うあの瞬間」など様々あるが、なかでもお勧めしたいプレーがゴールキックだ。
より具体的に言うと「ゴールキックを蹴る直前」。

ゴールキックといえば、ラグビーの中でも特別なプレーのひとつ。

試合中は選手の声や観客席のざわめきで、コロナ禍といえど、なにかと音が絶えないスタジアム。
しかし、ゴールキックを蹴る直前はいつだって特別だ。

観客はもちろん、敵も味方もこの瞬間は大きな声を出さない。
グラウンドにはキックティーに置かれたボールと、ゴールを一点に見つめるキッカーだけ。

動きの多いラグビーというプレーの中、唯一といってもいい「静」のプレー、それがゴールキックだ。



このゴールキックは、蹴ってしまえば一瞬だが蹴る前の準備段階も見所のひとつ。
キッカーと呼ばれるゴールキックを蹴る選手たちが、毎日遅くまでグラウンドに残って磨き続けた技術。
そして、その技術を発揮するために行うルーティーンと呼ばれる行為は、その所作ひとつひとつが個性的で美しい。
ボールを置き、ゴールを見つめ、蹴るまでの助走距離を数える。
そして、覚悟を決め、蹴りだすまでの瞬間。

この数十秒は見ている側も、キッカーの心理状態を投影したかのように張りつめた緊張を感じるかもしれない。

だが、試合中は常に忙しいラグビー観戦だからこそ、この瞬間は貴重なうっとりタイムであることを提案したい。

キッカーに思いを馳せ、ただただその所作を見つめ、蹴り終えるのを見守る。

そうしたうっとりとした時間も、スタジアムでしか味わえない心のオアシスだ。

明日の試合は、スピアーズのゴールキックにうっとりしよう。





文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ広報 岩爪航
写真:チームフォトグラファー 福島宏治

第5節では15番で先発予定のゲラード・ファンデンヒーファー選手はキック力が魅力の選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(ラグビー)】

「アイスマン」の異名を持つバーナード・フォーリー選手は、今季2試合の出場でゴールキックだけで23点を獲得している 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(ラグビー)】

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著者プロフィール

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。船橋市及び周辺エリアを拠点にチーム強化を図ってきた。以降、着実に上位リーグへの昇格を重ね、2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からチーム名を「クボタスピアーズ」とし、トップリーグの常連として戦って来た。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。2021年2月~5月に開催されたトップリーグ2021では、過去最高順位である3位でシーズンを終えた。 2022年1月開幕予定のラグビー新リーグ「Japan Rugby League One」では、新チーム名「クボタスピアーズ船橋・東京ベイ」として参入する。

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