松田瑞生らが出場!大阪国際女子マラソン、パリ目指すMGC出場権獲得とJMCランキングの行方は!?/記録と数字で楽しむJMCシリーズ(6)

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【JAAF】

・文中敬称略。
・所属は当時のもの。   

「MGC出場権獲得」の条件は?

24年パリ五輪の代表切符を得るための最重要レースとなる23年秋に開催が予定されている「MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)」への出場資格を獲得することも選手にとっての大きな目標となる。1月30日に行われる「第41回大阪国際女子マラソン」におけるその条件は、JMC第1期・シリーズI・グレード1レースなので、

・日本人1〜3位で2時間28分00秒以内

・同4〜6位で2時間27分00秒以内

・順位に関係なく2時間24分00秒以内

・「第1期」の2レースの平均で2時間28分00秒以内

そして、
・「シリーズI」終了時点(22年3月)のJMCランキングで8位以内

である。

招待選手12人のうち資格記録(19年以降の記録)では、10人が2時間27分00秒以内、11人が同28分00秒以内で走っている。招待選手で順位に関係ない条件の「2時間24分00秒以内」で走ったことがあるのは松田瑞生(2時間21分47秒/20年大阪・優勝)と佐藤(2時間23分27秒/20年名古屋・5位)の2人だ。

「凖招待」で出場する岩出玲亜(千葉陸協)と中野円花(岩谷産業)も19年には2時間23分台と27分台で走ったことがある。

「JMC」とは?

今回のレースが「JMC」の「シリーズI」の「第1期」の最初の国内レースであることは冒頭に述べた。
「JMC」についての詳細は、

https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/outline/

に詳しく説明されているが、女子のレースは今回が初めてなので以下に概略を説明しておこう。

「JMC」は、ひとつの年度を2つの「期」で区分し、2期分を「シリーズ」として、2期分の合計ポイントでシリーズ総合成績を争う。

シリーズ総合成績は、日本選手権の順位決定や日本代表の選考などにも直結し、安定して高いレベルのパフォーマンスを残した競技者が、日本選手権者や日本代表となる仕組みである。

そのスタートとなる今年度(シリーズI)は、変則的に、第0期(2020年12月〜21年10月)と第1期(21年11月〜22年3月)が対象となる。

日本陸連主催・共催のレースが「グレード1(G1)」、それ以外で「JMC」に加盟した大会を「グレード2(G2)」、現時点では存在しないが「グレード3(G3)」も今後加わる可能性がある。
世界陸連の「ラベルレース(エリートラベル以上で、第0期の東京五輪も含む/https://www.worldathletics.org/competitions/world-athletics-label-road-races/calendar-results)」が対象レースとなる。
それらのレースでの記録を世界陸連採点表(https://www.worldathletics.org/news/iaaf-news/scoring-tables-2017)から「記録ポイント」を算出。それに各大会のグレードに応じた「JMCポイント(順位によるポイント)」の合計「パフォーマンスポイント」を算出して順位を争うというものだ。

「シリーズI(2021年度)」については、各選手が「第0期」と「第1期」に出場したレースで「パフォーマンスポイント=記録ポイント+順位ポイント(JMCポイント)」の上位2レースの合計ポイントで総合順位を決める(「シリーズII」以降は3レースの総合ポイントによる)。ただし「第0期」については1レースのみがその対象、また海外レースも「0期」「1期」で1大会のみがその対象。
「0期」に出場していない選手は、「1期」の2レースに出場してポイントを獲得する必要がある。

女子の「第0期」と「第1期」の対象大会と大会グレードは下記の通り。

<G1>
ーーー 第0期 第1期

大阪女  ○  ○
東 京  ×  ○
名古屋女 ○  ○
<G2>
ーーー 第0期 第1期

大 阪  ×  ○
<海外>
https://www.worldathletics.org/competitions/world-athletics-label-road-races/calendar-results
を参照。

切りのいい記録に相当する「記録ポイント」と1100点以上の50点毎の記録は、

1300点 2.13.38.
1295点 2.14.04.=世界記録(男女混合レース。2.14.07.が1295点)
1285点 2.15.00.(2.15.04.が1285点)
1275点 2.16.00.(2.16.01.が1275点)
1264点 2.17.00.(2.17.04.が1264点)
1264点 2.17.01.=世界記録(女子のみのレース。2.17.04.が1264点)
1254点 2.18.00.(2.18.02.が1254点)
1250点 2.18.25.
1244点 2.19.00.
1242点 2.19.12.=日本記録(男女混合レース)
1233点 2.20.00.(2.20.04.が1233点)
1228点 2.20.29.=日本記録(女子のみのレース。2.20.33.が1228点)
1223点 2.21.00.(2.21.03.が1223点)
1221点 2.21.11.=大会記録(男女混合レース。2.21.14.が1221点)
1220点 2.21.18.=大会記録(女子のみのレース。2.21.20.が1220点)
1213点 2.22.00.(2.22.01.が1213点)
1203点 2.23.00.
1200点 2.23.18.
1193点 2.24.00.
1182点 2.25.00.(2.25.05.が1182点)
1172点 2.26.00.(2.26.05.が1172点)
1162点 2.27.00.(2.27.05.が1162点)
1152点 2.28.00.(2.28.05.が1152点)
1150点 2.28.17.
1142点 2.29.00.(2.29.06.が1142点)
1133点 2.30.00.
1123点 2.31.00.(2.31.01.が1123点)
1113点 2.32.00.(2.32.03.が1113点)
1103点 2.33.00.(2.33.04.が1103点)
1100点 2.33.23.

なお、五輪(&世界選手権)での記録ポイントは、完走した実際のタイムに関わらず「1200点(2時間23分18秒相当)」が基礎ポイントとして付与され、「2時間23分18秒」よりも記録がいい場合は、それに相当するポイントを獲得できる。が、東京五輪では3選手すべての「記録ポイント」は「1200点」だった。

大会のグレード別の女子の「JMCポイント(日本人選手内での順位が対象。海外&東京五輪は外国籍選手を含む順位が対象)」は、

ーー G1 G2 五輪 海外1 海外2
1位 70 20 135 70 45
2位 50 15 110 50 35
3位 45 10 100 45 30
4位 35 85 35 25
5位 30 75 30 22
6位 25 70 25 20
7位 20 65 20 17
8位 15 60 15 15
9位 40
10位 35
11位 30
12位 25


以上の通りで、「第0期」「第1期」の2レースの合計ポイントで最上位の選手が「2021年度(第105回)日本選手権優勝者」となる。

また、22年7月のオレゴン世界選手権の代表選考にも利用される。

大阪国際女子で「JMCランキング」はどう変わるか?

21年11月1日以降が「第1期」の有効期間となったが、「第1期」の国内での対象レースは、今回の大阪が初めてだ。

11月7日のニューヨークマラソンを走った山口遥(AC・KITA。2時間34分04秒でエリートの部12位=1093pt。「一般の部」とのトータル順位は13位)のみが「第1期」のポイントを獲得し「第0期」の21年3月・名古屋(2時間37分04秒で24位=1064pt)と合わせて「2157pt」でトップに立っている。

「第0期」のみを走った選手にとっては、上記の山口の「2157pt」を超えることが差し当たっての目標となる。

下表に示したように今回の招待選手12人は、「ポイントランキング」の1・3・5〜8・10・12・14・15・17・25位に位置している。2レースを走ってトップの山口以外の11人で最上位の松田瑞生が「1284pt」で、これに続く佐藤(1237pt)に47pt差をつけている。女子の「記録ポイント」は、「ほぼ1分で10pt」の差なので佐藤が記録のみで松田に追い付くには松田に5分あまりの差をつけなければならないことになる。仮に佐藤が優勝(順位ポイント70pt)して松田が2位(同50pt)でもタイムで約3分差をつけないと松田には追いつけない。自己ベストからしても、20年の大阪国際女子と21年の名古屋ウィメンズを共に2時間21分台で制した実績からしても松田の優位は確かなところだろう。

大阪国際女子後の女子のレースは、2月27日・大阪、3月6日・東京、同13日・名古屋ウィメンズと3週連続となる。今回のレースに出場しない有力選手は、その3つのいずれかに絞ってくることになろう。2時間40分台以降のいわゆる市民ランナーの中には、中2週間あるいは中1週間で連続出場する猛者がいるかもしれないが、ランキングポイントで上位を狙う選手では、その可能性は低いはずだ。

1レースで「1200pt以上」が11人。最終的には、2レーストータルでの8位以内は、2400pt以上で2500pt近くなるかもしれない。

いずれにしても今回の大阪で、「JMCランキング」が大きく変化することは確かで、大阪を走った選手を含めてその後のポイント争いの「次のレースのターゲットをどうするか」という点でも興味深い。

【JMC・第0期&第1期ポイントランキング暫定版(女子)/2022年1月18日現在】

・第0期は国内大会、オリンピック。第1期はニューヨークのみ含む。
・氏名の後ろの「★」は大阪国際女子マラソンの招待選手、「◆」はネクストヒロイン選手、「▲」は凖招待選手。「▼」は一般参加選手。

順位 名前 所属 都道府県 総合ポイント 第0期ポイント 第1期ポイント
1 山口遥★ AC・KITA 東京 2157 1064 1093

・以下、「第0期」のみのポイント。参考までに順位を付記した。

順位 名前 所属 都道府県 総合ポイント 第0期ポイント 第1期ポイント
2 一山 麻緒 ワコール 京都 1291 1291
3 松田 瑞生★ ダイハツ 大阪 1284 1284
4 前田 穂南 天満屋 岡山 1248 1248
5 佐藤早也伽★ 積水化学 千葉 1237 1237
6 阿部有香里★ しまむら 埼玉 1231 1231
7 上杉 真穂★ スターツ 千葉 1219 1219
8 松下 菜摘★ 天満屋 岡山 1213 1213
9 和久 夢来 ユニバーサル 千葉 1202 1202
10 萩原 歩美★ 豊田自動織機 愛知 1200 1200
10 鈴木亜由子 JP日本郵政G 東京 1200 1200
12 田中 華絵★ 資生堂 東京 1194 1194
13 赤坂よもぎ スターツ 千葉 1189 1189
14 加藤  岬★ 九電工 福岡 1174 1174
15 池満 綾乃★ 鹿児島銀行 鹿児島 1168 1168
16 池田 千晴 日 立 茨城 1156 1156
17 松田 杏奈★ 京セラ 鹿児島 1149 1149
18 福良 郁美 大塚製薬 徳島 1147 1147
19 大森 菜月 ダイハツ 大阪 1146 1146
19 竹本香奈子 ダイハツ 大阪 1146 1146
21 足立 由真 京セラ 鹿児島 1142 1142
22 大蔵 玲乃 ノーリツ 兵庫 1130 1130
23 福居 紗希 三井住友海上 東京 1128 1128
24 岩出 玲亜▲ 千葉陸協 千葉 1127 1127
25 谷本 観月★ 天満屋 岡山 1122 1122
26 川内 理江▲ 大塚製薬 徳島 1117 1117
27 兼重 志帆▲ GRlab関東 東京 1114 1114
28 小原  怜 天満屋 岡山 1113 1113
29 中野 円花▲ 岩谷産業 大阪 1104 1104
30 池内 彩乃▲ デンソー 三重 1099 1099
31 池本  愛 SWAC 東京 1088 1088
33 吉冨 博子 メモリード 佐賀 1084 1084
34 儀藤 優花 肥後銀行 熊本 1083 1083
35 下門 美春 埼玉陸協 埼玉 1077 1077
36 竹地 志帆 ヤマダHD 群馬 1075 1075
37 伊藤  舞▲ 大塚製薬 徳島 1054 1054
38 永尾  薫 三田飲料 東京 1049 1049
39 清田 真央 スズキ 静岡 1048 1048
40 宇都宮恵理 JP日本郵政G 東京 1039 1039
41 藤澤  舞▲ 札幌エクセルAC 北海道 1038 1038
42 澤畠 朋美▲ 埼玉陸協 埼玉 1033 1033
42 川内 侑子 AD損保 東京 1033 1033
44 西岡 真紀▲ モクレンRC 和歌山 1028 1028
45 堀岡 智子▲ 大阪陸協 大阪 1027 1027
46 小川 那月◆ 神戸学院大 兵庫 1025 1025
47 大井 千鶴▲ NARAーX 奈良 1023 1023
48 宮永 光唯◆ 大阪芸術大 大阪 1013 1013
49 坂本 喜子 teamF.O.R 三重 1009 1009
50 高野 美幸 埼玉医科大学G 埼玉 1004 1004
51 宮内 宏子 ホクレン 北海道 997 997
52 三池 瑠衣▲ 大阪大 大阪 994 994
53 太田美紀子▲ 京都炭山修行走 京都 991 991
54 木村 美王 大阪長居AC 大阪 987 987
55 西田 留衣 シスメックス 兵庫 980 980
56 戸田 朱音 大阪学院大 兵庫 975 975
57 仲田 光穂▼ 千葉陸協 千葉 971 971
58 中村 瑠花▲ 小島プレス 愛知 967 967
59 志水 麻紗▼ 尼崎市陸協 兵庫 964 964
60 兼松 藍子▼ TEAMR×L 埼玉 963 963
61 廣瀬 光子▲ 東京WINGS 東京 958 958
61 河口  恵▼ 福岡陸協 福岡 958 958
63 綾部しのぶ▲ DreamAC 東京 957 957
64 文村 美和▼ 大分陸協 大分 956 956
65 井上  栞▼ 近畿大 大阪 954 954
65 田中 友理▼ 大阪陸協 大阪 954 954
67 布施 温菜 東京陸協 東京 951 951
68 野永 美咲▼ 東京陸協 東京 949 949
68 安里真梨子 らんさぽ 沖縄 949 949
70 鎌田 沙樹 大阪陸協 大阪 946 946
71 中島 知美▲ GRlab兵庫 兵庫 942 942
72 恒川  涼 埼玉陸協 埼玉 940 940
73 田中 礼美 平塚市陸協 神奈川 939 939
73 右田 有奈▼ 武庫川女子大 兵庫 939 939
75 岩村 聖華 熊本陸協 熊本 938 938
76 山崎絵里子 小金井おじ練 東京 936 936
77 川戸 希望 Japancreate 大阪 935 935
78 柿沼 久代▼ Okojo 東京 934 934
79 近藤  瞳▼ エボーリュ 東京 933 933
79 三木楓美子 長居ランナーズ 大阪 933 933
81 森田 光希▼ 東京陸協 東京 932 932
82 薄井 身之▼ 大阪陸協 大阪 930 930
82 坂本久美子▼ 埼玉陸協 埼玉 930 930
84 納  麻美▼ ナイトランAC 大阪 928 928
84 松本 恭子▲ 千葉陸協 千葉 928 928
84 山鹿 由莉 埼玉陸協 埼玉 928 928
87 後藤奈津子 宮崎市陸協 宮崎 927 927
87 瀧波 美緒▼ DreamAC 東京 927 927
89 楠瀬 祐子▼ 東京陸協 東京 926 926
90 青山 由佳▼ 相模原市役所RC 神奈川 925 925
91 弓削田眞理子▼ 埼玉おごせ石川眼科 埼玉 924 924
92 米倉 まり▼ 大濠ランナーズ 福岡 923 923
93 横山友里乃 AC一宮 愛知 920 920
94 小泉  緑▼ BT 東京 919 919
95 筒本 恭実 広島県庁RC 広島 914 914
96 斎藤 絵美 CR2東日本 東京 913 913
96 村田さやか▼ 神戸市陸協 兵庫 913 913
98 篠崎 理紗▼ 不動岡クラブ 埼玉 909 909
98 風見 節子▼ 横浜PMクラブ 神奈川 909 909
100 宮内 洋子 ホクレン 北海道 902 902
100 下村亜夕美▼ 福岡陸協 福岡 902 902


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


▼JMCシリーズ特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/
▼JMCシリーズポイントランキング
https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/series1/ranking/
▼オンエア情報(予定)
TV放送:1月30日(日)12時00分〜14時55分 関西テレビ系(全国ネット)

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