【フィギュアスケート】北京五輪・男子シングル|羽生結弦が4回転アクセルと94年ぶりの大記録に挑む

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【(C)Getty Images】

いよいよ2月4日に北京五輪が開幕式を迎える。今大会もフィギュアスケートは注目競技の1つ。続々と発表されている各国の五輪代表の中でも、注目を集めるのはやはり羽生結弦だ。羽生は昨年12月に開催された全日本フィギュアスケート選手権大会で優勝し、3大会連続の五輪代表の座を掴み取った。

◆期待がかかる五輪3連覇

羽生はカナダ・トロントの「クリケットクラブ」でブライアン・オーサーに師事していたが、新型コロナウイルスの影響で昨シーズンから日本を練習拠点としている。直接ブライアン氏の指導が受けられていない中で、全日本2連覇と、確実に結果を出しているのはさすがと言えよう。

ケガのため、グランプリシリーズのNHK杯とロシア大会を欠場した羽生は、ここ2年間の国際試合出場は昨シーズンの世界選手権のみ。しかし、五輪という大舞台を2度経験している羽生は誰よりも経験値が高い。新たな世代の台頭、ルール改正もある中で、10年以上世界のトップを走り続けていること自体が称賛されるべき点であるが、五輪3連覇に国内外のファンやメディアが期待を寄せている。

◆前人未到の4回転アクセルへの挑戦

そのために切り札となってくるのが4回転アクセルだ。4回転アクセルは基礎点が12.5点。成功すれば大きな得点源になることは間違いない。羽生本人にも「武器として携えていけるように」と明言しているように、勝つために構成に組み込む予定だ。

羽生が試合で初めて4回転アクセルに挑戦したのは、昨年の全日本選手権。この時は両足着氷でダウングレード判定となってしまったが、五輪での成功が実現するかもしれないと、期待に胸が膨らんだ。

驚くべきはその助走の短さである。3回転アクセルや4回転ジャンプといった高難度のジャンプを跳ぶときは、スピードも必要となってくる。そのため助走を多めにとり、時間をかける選手も少なくない。

しかし、羽生の場合はジャンプに入る前にステップなど複雑な動作を入れるため助走が短い。しかも羽生の跳ぶ4回転アクセルは、その他のジャンプとほぼ同じ助走の長さなのだ。

全日本選手権のフリースケーティングで初めて4回転アクセルに挑戦した際、そのことに驚いたフィギュアスケートファンも多かった。前人未到のジャンプであれ、ただ跳べばいいわけではない。羽生にとって4回転アクセルは、プログラムの完成度を高めるための表現の1つなのである。

【全日本選手権でのジャンプ構成】

ショートプログラム
・4回転サルコウ
・4回転トーループ+3回転トーループ
・3回転アクセル(*)

フリースケーティング
・4回転アクセル
・4回転サルコウ
・3回転アクセル+2回転トーループ
・3回転ループ
・4回転トーループ+3回転トーループ(*)
・4回転トーループ+オイラー+3回転サルコウ(*)
・3回転アクセル(*)

※(*)印は演技後半で1.1倍の加点

フリーではジャンプだけの基礎点の合計を見ると、5本の4回転ジャンプを跳ぶ選手より低いが、羽生のジャンプは質が高く、GOE(出来栄え点)で大きな加点をもらうことができる。

また、柔軟性を生かしたスピンや1つ1つの音を表現したステップでもしっかりとレベルをとることができ、こちらもGOEで高い評価を受ける。演技構成点でも9点台後半を並べることは多い。

五輪連覇という偉業を成し遂げ、なお進化し続ける羽生結弦。94年ぶりの五輪3連覇を狙う男子シングルは、2月8日にショートプログラム、10日にフリースケーティングが行われる。

文=石川千早弥
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