【UFC】2022年の注目ファイターたち|パート1
【Chris Unger/Zuffa LLC】
(注:リストは単純なアルファベット順)
マリヤ・アガポバ
UFCファイトナイト・ラスベガス39:サビーナ・マゾ vs. マリヤ・アガポバ 【Josh Hedges/Zuffa LLC】
2020年春にオクタゴンデビューを果たしたアガポバはハンナ・シファーズを手早く片づける。しかし、2カ月後にシャナ・ドブソンと対峙した際は、アガポバのタンクに燃料が残っておらず、勢いは大幅に弱まり、相手にフィニッシュを決められた。賭けのオッズという点で、ドブソンの勝利は史上最大の大番狂わせの一つであり、この一戦によってカザフスタンからやってきたアガポバを見限る者も多かった。
そこから1年以上が経ち、アガポバはオクタゴンに戻ってきた。アガポバは南フロリダに生活の拠点を定め、ジムを変え、過去の過ちから学んでいく。サビーナ・マゾとの一戦では忍耐強く落ち着いた戦いによって第3ラウンドで勝利を決め、再びその潜在力を知らしめている。
まだ24歳にして、すでに10勝2敗という堅実な記録を残しているアガポバ。この才能あるファイターがこれから12カ月で女子フライ級の階段を駆け上がっていっても不思議ではない。
トム・アスピナル
UFCファイトナイト・ラスベガス36:トム・アスピナル vs. セルゲイ・スピバック 【Jeff Bottari/Zuffa LLC】
イギリス出身の28歳はトータルパッケージに優れ、切れのいいボクシングを誇示し、確立したパワーを持っている。ブラジリアン柔術は黒帯で、サブミッションゲームもうまく、ムーブメントとコンディショニングにたけたアスリートだ。体が大きく、身長は195.6cm、体重はスケールに乗る時は113kg近辺だが、とてもそのレベルのヘビー級には見えない。
現在はランキング10位に座しており、目の離せない優秀なヘビー級という意味でアスピナルはシリル・ガーンの後継者になり得るという印象だ。“ボン・ギャマン”ことガーンは2021年に3勝を挙げ、デリック・ルイスへの勝利によって暫定王座を獲得した。さすがにアスピナルがベルトを取ると予想するのは行き過ぎかもしれないが、彼はこの1年でチャンピオンシップ争いに加わるスキルを持ち合わせており、この先数年のヘビー級ランクでタイトルを狙う一角に名を連ねることだろう。
エリン・ブランチフィールド
UFC 269:ミランダ・マーベリック vs. エリン・ブランチフィールド 【Jeff Bottari/Zuffa LLC】
22歳の女子ストロー級ファイターはオクタゴンに乗り込み、印象的な強さ、クリンチとグラウンドでの卓越したコントロールによってミランダ・マーベリックを圧倒し、ユナニマス判定を勝ち取った。9月のデビュー戦でセーラ・アルパーを倒した時も驚きだったが、実力で急上昇中のマーベリックを相手にこれほど一方的なパフォーマンスになることを予想した者はあまりいなかっただろう。この結果によってブランチフィールドはUFCで“次なる目玉”を探す人々のレーダーにかかった。
あまり大げさなことは言いたくないが、ブランチフィールドは最近UFCにやってきた中では最も期待値の高い1人ではないだろうか。ケージの中で彼女は自身の力を完全に理解しており、それをいかんなく発揮する。同じUFCの有望株であるケイ・ハンセンへの初期の勝利を含め、9戦で8勝というのは22歳にしては驚くほど印象的な戦績だ。唯一の失点はコンテンダーシリーズ卒業生、トレイシー・コルテスに対するスプリット判定負けで、コルテスは続いてマリヤ・アガポバに勝利し、その後もオクタゴンで3戦3勝している。
その対戦以降、彼女は明らかに良くなっており、まだまだファイターとしての伸び代をたっぷり残している。早ければ来年からでも女子フライ級のコンテンダーとして長い間とどまる有力選手となることだろう。
ブランチフィールドは本物だ。ぜひご注目を。
ダビッド・ドボジャーク
UFCファイトナイト・ラスベガス11:ジョーダン・エスピノーサ vs. ダビッド・ドボジャーク 【Chris Unger/Zuffa LLC】
“アンダーテイカー”はUFCで3勝0敗、通算で20勝3敗、現在16連勝中だ。チェコ共和国出身の29歳はブルーノ・シウバへのユナニマス判定勝利でUFCキャリアをスタートさせた。続いてジョーダン・エスピノーサにも同様の勝利を挙げ、2021年唯一の試合となったフアンカミロ・ロンデロス戦では第1ラウンドでサブミッション勝ちを決めた。
本来なら5月にハウリアン・パイバと対戦予定だったのだが、パイバに減量から来る健康上の問題が見つかって前日に欠場が決まり、その後彼はバンタム級に転向している。バンタム級に上がったパイバはカイラー・フィリップスに勝利し、UFC 269でショーン・オマリーと注目の対決をすることに。その間ドボジャークはハイリスク、ノーリワードのロンデロス戦に臨み、印象的な仕事をやり遂げた。
現在はフライ級ランキングで10位に位置しており、2021年最初の試合は自分より上位の誰かとオクタゴンで拳を合わせることになるだろう。そこで勝てばタイトルの話も聞こえてくるはずだ。これまで見た限りでは、彼なら125ポンド級のエリートたちと十分渡り合っていけるだろう。
イアン・ギャリー
UFC 268:イアン・ギャリー vs. ジョーダン・ウィリアムズ 【Jeff Bottari/Zuffa LLC】
6月にケージ・ウォリアーズのウェルター級タイトルを獲得して記録を7勝0敗に伸ばした後、ギャリーはUFCと契約し、サンフォードMMAでトレーニングするため南フロリダに移り、マディソン・スクエア・ガーデンで開催されたUFC 268のプレリムでデビューした。ジョーダン・ウィリアムズとのオープニングラウンドは多くが予想したよりも接戦だったが、ギャリーはコンテンダーシリーズの卒業生を残り数秒のところで仕留め、前評判の高さの理由を証明してみせた。彼の放ったステップオフの右パンチを受け、ウィリアムズはホーンが鳴る寸前でマットに沈んだ。
プロとして8勝0敗、ウェルター級で素晴らしい展望を誇るギャリーは、未来のスターの一角を形成しそうだ。これまでの戦績を見る限り、反論は難しい。
UFCのウェルター級で戦うとなれば、無数のチャレンジが押し寄せることになる。荒海に遭遇することなくその中を進める者はごく少数しかいない。だが、ギャリーには優れたチームがついており、彼は生態系の中で今の立ち位置を理解し、チャンピオンシップの夢を現実にするためにどんなことでもする意欲と集中力を持っている。
“ザ・フューチャー”というニックネームを背負うことには批判や疑いを招くタスクが伴う。だが才能あふれるアイルランド人ファイターはチャレンジを受けて立つつもりのようだ。
ナッソーディン・イマボフ
UFCファイトナイト・ラスベガス32:ナッソーディン・イマボフ vs. イアン・ハイニッシュ 【Jeff Bottari/Zuffa LLC】
5カ月後、25歳のイマボフはイアン・ハイニッシュとの1戦に臨み、“ザ・ハリケーン”に対し第2ラウンドでノックアウト勝ちを決めた。そして11月になるとニューヨークシティに乗り込み、UFC 269でエドメン・シャバージアンを相手に2戦連続の第2ラウンドフィニッシュを達成し、またも熱い戦いを見せる。
これでキャリア戦績を11勝3敗とし、イマボフは185ポンド級の新星トップとして2022年に向かった。28歳以下でランキングトップ15入りをしているファイターは現在彼1人であり、ハウズへの惜敗とシャバージアンへの圧倒的勝利の間に大きな進歩を遂げた。
パリのMMAファクトリーでフェルナンド・ロペスが注意深く目を光らせる中、ヘビー級暫定王者のシリル・ガーンとトレーニングしている“ザ・ロシアン・スナイパー”は今後も階級内でランキングを上り続けるはずであり、これからの1年にぜひとも追いかけたいと思わせる魅力的なファイターだ。
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