「NTTリーグワン2022」では生まれ変わった小瀧尚弘を見せる
【コベルコ神戸スティーラーズ】
「大丈夫だろうか」不安な気持ちを抱えてヨーロッパへ
「ラグビーワールドカップ2019日本大会」で日本代表の躍進を目の当たりにし、嬉しい反面、悔しさを感じた。2016年春に初キャップを獲得したが、2017年春以降は代表から遠ざかっていた。もう一度、あの場所に戻りたい。自分を変えようと、今シーズン、慣れ親しんだ東芝ブレイブルーパス東京からコベルコ神戸スティーラーズへ移籍。しかしまだリーグワンで成長した姿を見せたわけではない。頭の中で描いたビジョンよりも随分と早い召集に、東芝の先輩で、同じポジションとして目標であり、尊敬して止まない「キンさん」こと大野均氏からは、情報がリリースされるとすぐに「おめでとう、頑張れよ」とメッセージが入った。
「チャンスをいかせるように頑張ります」
そう返したが、実は不安の方が大きかった。
10月23日に大分で行われた日本代表VSオーストラリアとの一戦をテレビで観戦し、世界ランキング3位(当時)の強豪と善戦する日本代表に「強いな」と感心し、同時に「今の自分はこのレベルで戦えるかな」と思った。神戸で成長しなくてはいけない。気持ちを新たにした矢先の出来事だった。
右も左もわからぬままにアイルランド代表戦の4日前、チームに合流し、古巣でも一緒にプレーしたことがあるジェームス・ムーア選手(シャイニングアークス東京ベイ浦安)やジャック・コーネルセン選手(埼玉ワイルドナイツ)にラインアウトのサインやスクラムのことなどを教えてもらいながら、やるべきことを体に染み込ませていった。
たくさんの課題に気づかせてもらえたことが大きな収穫
アイルランド代表戦は、スタンドから観戦し、相手チームがトライの山を築く様を呆然と見ていたという。
そして迎えた11月14日、世界ランキング19位のポルトガル代表との一戦。4年半ぶりに桜のジャージに袖を通した。日の丸を背負って戦う。その感覚に心が震えた。自身のパフォーマンスは「ダメダメだった」と振り返ってくれたが、その声は心なしか弾んでいるように聞こえた。
「フィットネスもフィジカルもさらに向上させないといけないと感じましたし、試合後、ジェイミー(ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチ)からボールキャリーやブレイクダウンについて課題を指摘されました。召集された時は不安がありましたが、このように課題や足りないところに早い段階で気づかせてもらえたことは大きな収穫ですね」
ポルトガル代表戦のジャージは、自身が再スタートを切った初めての試合だから手元に残しておきたいと、ジャージの交換を拒否した。しかし、「あとでわかったことなんですけど、日本代表では交換用と自分用に2枚もらえるんです。以前のことを覚えていなくて、2枚もらえるなら、ポルトガル代表の選手と交換すればよかった」と笑う。
「ヨーロッパツアー最終戦となったスコットランド代表戦にメンバーから外れたことは悔しかったです。だけど、今の自分はまだ日本代表レベルに達していない。今回、出た課題を意識しながらトレーニングし、また日本代表に呼ばれて、その時はずっと試合に出られるようにしたいですね」
移籍先の神戸スティーラーズで新たなシステムに取り組む 【コベルコ神戸スティーラーズ】
リーグワンではスマートなプレーで勝利に貢献する
「神戸のラグビーは、グラウンドに立つ全員がスペースを見て動き、誰かが作ったチャンスに対して反応する。スマートなラグビーだなって。僕はこれまでボールを持って頭を下げて突っ込むだけでした。神戸でパススキルをしっかりと身に付けて、スマートなプレーができるようになって、チームの勝利に貢献したいですね」
東芝時代はチームの練習以外には、ウエイトトレーニングするのみ。当時の監督からは「小瀧はラグビーがあまり好きじゃないからな」と言われたこともあるという。しかし、神戸に移籍してからは、ウエイトトレーニングだけでなく、スキル練習にも貪欲に取り組む。2019年の時のような後悔はもうしたくない。自分を変える。今季、チームが掲げるスローガンは、「REBORN」。このチームスローガンのように、リーグワンでは、生まれ変わった小瀧尚弘を見せてくれるはずだ。
初代リーグワンチャンピオンを目指して 【コベルコ神戸スティーラーズ】
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