【浦和レッズスペシャルインタビュー】「圧倒的にホーム」で決勝進出を決めるため、江坂 任が最適解を探し続ける

浦和レッドダイヤモンズ
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プレー中、身振り手振りで味方に指示を送る。気になることがあれば、ゲームとゲームの間の休憩時間に自ら積極的に声を掛け、アドバイスを送ったり、ディスカッションしたりする。

その指示は決して利己的ではない。我を押し通すためのディスカッションではない。

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自分がプレーしやすいようにすることもある。それは否定しない。ただ、自分の力を100パーセント出すことがチームのために最適だと考えるときだ。

「チームとして一番いい選択ができた方がいいと思うので、そこは一番意識しています。特に攻撃でいい侵入の仕方やいいゴールへの向かい方を共有した方がいいと思っています。後ろと前で分裂してしまうことが一番よくないので、真ん中をやっている立場として、後ろと前をつなげたいと思っています」

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江坂 任が浦和レッズに加入し、5ヵ月余りが経った。西野 努テクニカルダイレクター曰く、獲得が「非現実的」だったはずの選手は、今や赤いユニフォームを着て攻撃の中心となり、躍動している。

加入当初は「慣れてきた」という言葉とは裏腹に、トレーニング中は黙々とプレーする印象だった。だが、今はもうその記憶自体が間違いなのではないかと疑うほどだ。

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全体トレーニング終了後、江坂はいつもピッチの周りをジョギングする。そこに関根貴大が「何となく」合流したことをきっかけに、西 大伍や酒井宏樹、平野佑一をレギュラー、汰木康也や柴戸 海を準レギュラーとし、ジョギング組は居残りトレーニングの中で今や『一大勢力』となっている。

特に関根や汰木とは気が合う。10月22日に埼玉スタジアムで行われた明治安田生命J1リーグ 第33節 柏レイソル戦では、関根にPKを譲った。

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まずはお互いにPKキッカーに任命されていたことが前提だ。加えて、柏時代に「スンちゃん」ことキム スンギュと何度もPK練習をしていたため、読まれやすいと考えたこともあった。ただ、PKを譲ったこと、そもそも「関根が蹴りたそうにしていた」ことに気付いたのは、日ごろから近い距離にいたからかもしれない。

「いろいろな選手と近くでプレーしましたし、分かり合えてきたこともあります。自分のプレーを分かってもらえていることも大きいですね。特に関根や康也とは仲良くやっているので、試合でも何となく分かりますし、感覚が合いますね」

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積極的にコミュニケーションを取り、感覚をすり合わせてきた。感覚とは、チームにとって最適な形。その最適な形に『答え』はない。たとえば「どんなプレーをしたいか」という質問に対し、江坂は明確な答えを持たない。

それは、試合や状況によって変わるから。攻撃を組み立てる選手でもあり、フィニッシャーでもある。ビルドアップの際に自陣に引くこともあれば、前線に張ることも、サイドに流れることもある。

攻撃だけではなく守備でもチームに貢献し、トレーニングでも素早い切り替えからのプレスでボールを奪えば嬉々とした表情で攻撃に転じ、かわされれば声を上げて悔しがる。

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「どんなプレーを選択するかは、状況によります。試合の状況を見て、相手の状況を見て、最適な選択ができるように、と思いながらプレーしています。最短距離ならそれが最適な選択だと思うのでそれを選択します。自分よがりのプレーがチームにとって一番よくないことですし、チームありきの自分です。その状況でチームが勝つための最適な選択をすることが『違い』だと思います。そういうプレーを数多く出したいと思っています」

卓越したボールコントロールや両足ともに抜群の精度を誇るキック。味方と相手の位置を見ながら、あるいは感じ取りながらスペースを見つけ出す能力。

少し乱暴な表現をすれば、『何でもできる』からこそ、江坂は漠然としたプレーの理想は持たず、常に状況に応じた最適な形を探し、見つけることができるのだろう。

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何よりもチームの勝利を優先する。チームの勝利のためにゴールに直結するプレーを選択する。

たとえば小泉と組むときは最前線の位置に入り、ワントップとしてプレーする。一方で純粋なストライカーではない江坂が最前線に入ることで、ゼロトップと表現されることもある。

だが、江坂にとっては『0か1か』ではない。『0でも1でもない』わけでもない。「0にも1にもなるという感覚」だ。それもやはり、試合の状況によって変わる。立ち位置やプレーを状況に応じて変化させられる、最適解を探すことができる江坂は、「ポジションはあくまで最初の立ち位置」と表現するリカルド ロドリゲス監督のサッカーに適したプレーヤーだ。

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そしてレッズでも「最適」なプレーを選択できる機会は増えた。今年3月以来、レッズに加入してからは初めて日本代表に選出された。日本代表の森保 一監督は個々の選出理由に触れていないが、レッズで自分の力を発揮できていることが理由の一つであることは間違いないだろう。

「自分が攻撃のアクセントになるところと、フィニッシャーになるところをうまく使い分けられていると、いいゲームができている感覚があります。そこが出せている試合、(柏)レイソル戦やガンバ(大阪)戦はいいゲームだったと思います」

一方、シーズンの佳境を迎えても、悔しさが残る試合もあった。

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「清水(エスパルス)戦はずっとボールを持っていましたが、持たされているようなところもありましたし、ブロックを引かれたときに相手をうまく引き出して崩すというようなところは、今の自分たちの課題です。相手陣地でのボールのまわし方はもっと工夫したいですし、崩し方のバリエーションを増やしたいです」

そしてそれは、天皇杯でまずは準決勝を突破するために必要なこと。YBCルヴァンカップ準決勝の2試合を含め、チームとして今季5試合目、自身がレッズに加入してからは4試合目の対戦となるセレッソ大阪を破るために必要なこと。

「(2-0で勝利した9月18日の) J1リーグは良かったですが、(YBC)ルヴァンカップでは研究されて、守備のやり方もブロックを引き気味にしてきました。それを攻略することでもう一つ上のレベルに行けると思いますし、それをしないと研究されたチームには難しくなると思います。固い守備をどう崩すか、どう破るかは自分たちが一番チャレンジしなければいけないところだと思っています」

天皇杯は中立開催だが、準決勝の会場は埼玉スタジアム。江坂は中立開催ということを否定するかのように、「圧倒的にホームですよ」と言って笑った。

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声を出しての応援はできないなど、まだ制限はあるものの、収容人数は100パーセント。アウェイチームの選手として経験はあるが、レッズに加入してからは初めてのことだ。

清水戦は28,000人を超えるファン・サポーターが作る雰囲気に圧倒された。だからこそ勝てなかったことを悔やみ、次こそは、強く思う。

18年天皇杯決勝のゴール裏 【©URAWA REDS】

「ホームなので、埼スタでプレーしている回数が圧倒的に多いということはプラスですし、お客さんもたくさん入ってくれると思います。ホーム最終戦で負けたことも含めて、もう負けられないという気持ちが強いです。阿部さんやウガさん、槙野君の埼スタでの最後の試合ですので、絶対に負けられません。まだ声は出せませんが、ホーム最終戦の雰囲気は圧倒的でした。雰囲気の良さを感じながら、次は勝たなければいけないと思っています」

ファン・サポーターとともに、今季限りで去るチームメートへのおもいも背負いながら、
決勝へ進む。そのために江坂は、埼スタのピッチで最適解を探し続ける。
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著者プロフィール

浦和レッドダイヤモンズ

1950年に中日本重工サッカー部として創部。1964年に三菱重工業サッカー部、1990年に三菱自動車工業サッカー部と名称を変え、1991年にJリーグ正会員に。浦和レッドダイヤモンズの名前で、1993年に開幕したJリーグに参戦した。チーム名はダイヤモンドが持つ最高の輝き、固い結束力をイメージし、クラブカラーのレッドと組み合わせたもの。2001年5月にホームタウンが「さいたま市」となったが、それまでの「浦和市」の名称をそのまま使用している。エンブレムには県花のサクラソウ、県サッカー発祥の象徴である鳳翔閣、菱形があしらわれている。

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