今年も三冠馬の有終の美を見られるか? JCを展望する
【2020/5/31 東京11R東京優駿(日本ダービー)(G1) 1着 5番 コントレイル】
人気別成績
■表1 【人気別成績】
枠番別成績
■表2 【枠番別成績】
東西別・牡牝別・年齢別成績
■表3 【東西別・牡牝別・年齢別成績】
休み明けn戦別成績
■表4 【休み明けn戦別成績】
前走レース別成績
■表5 【前走レース別成績】
表5は前走レース別成績で、JCで好走例のある前走のみを掲載している。ご覧の通り、好走例のある前走は、海外を含めG1かG2に限られる。また、出走例、好走例ともに最多の天皇賞・秋については、次の表6の項で関連するデータを改めて確認したい。
天皇賞・秋以外では前走秋華賞が【2.1.1.2】の好成績。そして、この組で好走した4頭はすべて秋華賞で連対を果たしていた。ほかにJC1着馬を出している前走は京都大賞典だけ。そして、京都大賞典以外のレースを含め、前走G2組で好走した馬は延べ5頭(16年1〜3着のキタサンブラック、サウンズオブアース、シュヴァルグラン、17年1〜2着のシュヴァルグラン、レイデオロ)いるが、そこから導かれる条件は前走のG2で「1〜3番人気」「1〜4着」であること。加えてこの延べ5頭は、いずれもG1で1〜3着の実績を持っていたことも記しておきたい。
前走天皇賞・秋出走馬の各種データ
■表6 【前走天皇賞・秋出走馬の各種データ】
まずは「着順」。今年勝ったエフフォーリアの出走はないが、秋天1着馬は【1.1.3.1】と高い確率でJCでも好走している。以下、JCを勝つためには9着までには収まっておきたいところ。ただ、10着以下から2、3着に巻き返した馬も3頭おり、秋天でふたケタ着順というだけで見限るのは早計かもしれない。
続いて「上がり3F順」。このデータを見る限り、JCを勝つためには秋天で上がり1〜5位の脚は見せておきたい。実際、秋天の上がり1〜5位だった馬のJC成績は【6.1.5.17】、勝率20.7%、複勝率41.4%、単勝回収率106%、複勝回収率138%と優秀だ。
「4角通過順」の傾向はなかなか興味深い。まず秋天で4角1、2番手だった馬は合算して【1.1.1.2】、勝率20.0%、複勝率60.0%となかなかの好成績。しかし、4角3〜4番手や5〜6番手だった馬の成績はあまりよくなく、合算して【1.0.1.10】、勝率8.3%、複勝率16.7%にとどまる。つまり、秋天で中途半端に先行するよりも、もっと前で競馬を進めていた馬のほうがJCでは好走しやすいようだ。そして秋天で4角7〜9番手だった馬の成績は【3.1.2.3】、勝率33.3%、複勝率66.7%と抜群。秋天でこのあたりから差す競馬をしていた馬は注目する価値が高そうだ。
同年のオープンクラス勝利数別成績
■表7 【同年のオープンクラス勝利数別成績】
引退レースとなるコントレイルだが、今年の2戦で大阪杯3着、天皇賞・秋2着と勝利を挙げられなかったのは気になるところだろう。そこで、表7では「同年のオープンクラスにおける勝利数別成績」を調べてみた。これによると、同年にオープンで4勝以上を挙げていた5頭はすべて好走とさすがの成績。また、3勝や2勝も複勝率30%台を記録している。対して、1勝や0勝だと複勝率10%台にとどまる。こうして見ると、基本的には同年に多くの勝利を挙げている活躍馬、好調馬ほど狙いやすいとは言えそうだ。
とはいえ、過去10年のJC勝ち馬のうち半分の5頭は同年0勝馬だから、勝っていないからといって無視することはできない。特にJCで1〜5番人気に推されていれば【5.2.1.8】、勝率31.3%、複勝率50.0%、単勝回収率205%、複勝回収率98%としっかり結果を出している。上位人気が確実視されるコントレイルであれば、過度に心配する必要はないのかもしれない。
【結論】
冒頭で述べた通り、今年のJCで最大の関心を集めるのは、コントレイルが有終の美を飾ることができるかどうかだろう。気になるのは今年未勝利という点だが、表7の項で上位人気であれば過度に心配しなくてもいいことを確認した。では、前走天皇賞・秋の内容はどうか。2着、上がり1位もさることながら、目を引くのは4角8番手だったこと。秋天の4角通過7〜9番手だった馬の好走率が非常に高いのは表6で確認した通りで、JCにつながる内容だったと言えるのではないか。
ほかに秋天組は5頭。そのうちJCで好走の大半を占める3〜5歳馬なのは、5歳のモズベッロのみ(カレンブーケドールも5歳だが回避予定)。秋天は上がり13位で13着と振るわなかったが、秋天2ケタ着順や上がり13位から2、3着に巻き返した例はある。そして、この馬も4角通過順が8番手。4コーナーで近くにいたコントレイルとは違い、そこから脚を伸ばすことはできなかったが、大阪杯では先着した実力馬だけに軽視はできない。
前走G2組は、そこで「1〜3番人気」「1〜4着」かつ「G1で1〜3着の実績」を持っていることが過去の好走馬の共通項だった。もちろん、3〜5歳馬であることは大前提だ。今年これを満たすのは、京都大賞典で1番人気2着のアリストテレス(4歳、菊花賞2着)、神戸新聞杯で1番人気4着のシャフリヤール(3歳、ダービー1着)の2頭である。
そのほか、JCと相性がいい秋華賞組からはユーバーレーベンが出走を予定しているが、その秋華賞で13着だったのは減点と言わざるをえない。
表7の項で、同年のオープンクラスで2勝以上挙げていた馬の好走率が高いことを延べたが、今年の登録馬で該当するのはシャフリヤールだけ。残りの登録馬はすべて1勝か0勝にとどまる。データ上、過去10年に好走例がない外国馬を推すことは難しいのだが、この状況であれば久しぶりにチャンスが回ってくる可能性も捨てないほうがいいのかもしれない。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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