子どものころに憧れたユニフォームをまとい 「とにかく、ゴールにアタックする」 #31木下誠

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今季からエヴェッサに加わった#31木下誠は、大阪市生野区出身のフランチャイズプレーヤー。バスケットボールは小学校3年生で始めた。地元の中学に進んでもバスケを続け、高校は大阪の強豪校である大阪学院高校に入学した。

「中学は普通の部活という感じだったんです。高校ではバスケの質が全然違っていて、そこがいちばん苦労しました。高校2年生のインターハイくらいから試合に出られるようになって、そこからずっと出してもらって活躍できたので、あそこが分岐点だったかもしれません。振り返ると高校時代は、監督にけっこう自由にやらせてもらっていて、あまり考えてバスケをやっていなかったですね」

そこから自然な流れで、大阪学院大学に進む。大学のバスケ部には、プロになって同じチームでプレーすることになる先輩がいた。

「大学に行ってからは、プレーについて考えることがすごく増えました。1年生から試合に出させてもらっていて、そのときに(#20合田)レイさんが4年生だったんです。レイさんに『こういう場面では、こうプレーするとか』教えてもらっていて、そういうことが今も身に付いています」

考えてプレーすることで視野が広がり、新しい世界が開けた。

「最初はこれまで自由にやっていたぶん、考えるのはこんなに難しいんやと。だけど考えてプレーすることで、今まで見えていない世界が見えてきました。視野もたとえば、一方のサイドしか見えていなかったのが逆サイドも見えたりと、いろんな角度で見えるようになりましたね」

大学4年次に特別指定選手として名古屋ダイヤモンドドルフィンズに加わり、これを含めて昨季まで3シーズン在籍した。

「特別指定のときは1試合平均2分くらいでしたが、プロになった1季目は平均12分くらい試合に出られました。だけど昨季はあまり出ることができなくて(1試合平均7.4分)、悔しい思いをしていました。でも名古屋Dはすごい選手ばかりでしたし、いい経験ができた素晴らしい3シーズンだったと思っています」

昨季限りで名古屋Dとの契約が満了になると、複数のチームから獲得のオファーが届いた。そのなかから選んだのは、地元のチームであるエヴェッサ。

「移籍交渉のなかでGMが『天日(謙作)ヘッドコーチ(HC)も、とにかく来てほしいと言っている』と話してくれたんです。天日HCは僕のことを高校、大学のころからずっと見ていてくれたんだと思う。天日HCも僕も、ずっと関西でやっていましたから。HCの言葉が響きましたし、これだけ言ってくれるならエヴェッサに行こうと決めました。地元も大阪なので、家族もすぐに見に来れるのも、エヴェッサを選んだ理由のひとつです」

エヴェッサが誕生したのは、彼が8歳のころ。バスケ少年だった木下は当時、よく会場に足を運んでいたという。

「僕が小学生のころから、大阪のプロバスケチームといえばエヴェッサ。bjリーグを3連覇していた時期を見ていた環境で育ってきました。とくに小学生のころは、学校のみんなで試合を見に行ったりしていましたね。会場にある『エヴェッサ神社』でおみくじを引いて、選手全員のサイン入りボールが当たったことがあるんです。それは今も、実家にありますよ」

子どものころに、憧れの目で見ていた黒いユニフォーム。これを今はプロ選手として身にまとってプレーしている。

「エヴェッサのユニフォームを着てプレーして、自分でも子どものころに見ていた景色やなと思っているんです。もちろん特別な思いはありますし、それと同時にコロナ禍もあるなかで試合ができることと、試合に出られることが素直にうれしいですね」

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そんな背番号31はボール運びを担うポイントガードの役割と、スコアをねらうシューティングガードの役割を同時に担う、コンボガードのプレーヤー。なかでもペイントエリアに切り込むドライブが、注目すべきプレーだ。

「ドライブで相手のディフェンスを崩して、そこからアシストや、チャンスがあれば自分で得点をねらいにいくのが僕の持ち味だと思っています。これまではアタックよりパスをする気持ちのほうが強かったけど、今はとにかくゴールにアタックすることを練習からやっています。試合には交代で出ることが多いので、出たときにチームがどういう状況かを理解してプレーしないといけない。そこはつねに、意識してやっています」

今節の相手、京都ハンナリーズには木下にとって、縁深い選手が在籍している。彼との対戦がとても楽しみだと、心待ちにする。

「満田丈太郎選手ですね。僕が特別指定選手のときと1年目のときに、名古屋Dでいっしょにプレーしていて、よくご飯にも連れて行ってもらっていました。めちゃめちゃいい先輩で、すごく良くしてくれていたんです。僕は開幕前にケガをして、復帰戦がアウェイの京都戦(10月10日)。そのとき満田さんはケガで欠場していて、『試合したかったね』と話しました。満田さんももう復帰されているので、試合でマッチアップするかはわからないですけど、そのタイミングもあると思うので、そこでやり合えたらいいな。すごく、楽しみです」

エヴェッサにとっても京都は同じ関西勢であり、bjリーグ時代からのライバル。負けるわけにはいかないことを、彼もよくわかっている。

「前回のアウェイでの京都戦は1勝1敗で、どっちの試合も1点差でした。今回は僕らのホームでの2連戦なので、必ず2勝したい。試合ではドライブにパスと、フリーになったら3Pも打つと、マルチに貢献できるように頑張ります。僕がボールを持ったらまず前に、リングに向かう姿勢を見てください!」

京都戦を勝利に導くニューカマーの活躍に、大いに期待したい。
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著者プロフィール

2005年にクラブ創立。七福神のお一人で商売繁盛の神様である「戎様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」とお呼びするところから、 人情・笑い・商売の街大阪を活気づける存在であることを願い「大阪エヴェッサ」と命名。 同年にスタートしたbjリーグで開幕から3連覇を成し遂げる。 2016年9月に開幕した男子バスケットボールの最高峰・Bリーグでは、ホームタウンを大阪市とする大阪唯一のクラブとしてB1に参戦。

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