申ジエー大発奮の理由は30センチのミスパット

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【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

 JLPGA ツアー2020-21シーズン第48戦『樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント』(賞金総額8000万円、優勝賞金1440万円)が10月29日、埼玉県飯能市・武蔵丘ゴルフコース(6,650ヤード/パー72)で開幕した。秋晴れとはいえ強い北風がコースを吹き荒れる。タフなコンディションと、難コースが強烈なプレッシャーを各選手へ浴びせかけた。4アンダー、首位は申ジエとペソンウ。1打差の3アンダー、3位タイで渋野日向子、河本結が続く。3週連続優勝を目指す古江彩佳は1アンダー、5位タイにつけている。
(天候:晴れ 気温:18.7℃ 風速:9.4m/s)
《グリーン=スティンプ:12 1/2フィート コンパクション:22-23mm》

 最終18番、1メートルのバーディートライ。申ジエは、さながらウイニングパットへ挑むかのように気迫をみなぎらせる。「スコアボードの正面にボールがあったせいか、決めたらトップになる、ということがわかった。あすへつながるパッティング。より慎重にストロークしました」という。

 カランという気持ちの良い音がグリーンへ響く。後半は5バーディー、1ボギーの内容。10パットの猛攻が際立った。15番では左手前から20ヤードのチップイン。随所に名手の技を惜しみなく披露する。

 ただ、1日は長い。とりわけ、この日は北風が強かった。実は、発奮材料があったのだ。自虐気味に、「きょうのハイライト」と漏らしたのは、3番のパーパットである。わずか30センチのフックラインを外すミスがあった。「調子がとてもいい。スタート前から、風が強かったし、ミスが出やすいーと言い聞かせて臨んだ。にもかかわらず、30センチが入らない。こんなミスをしたのは、何年振りか…。本当に驚いた」という。それだけに、「4番から、より集中力を高めた。もちろん、気合も入りましたよ」と心中を言い表す。

 すぐさま、4番でバウンスバックに成功。以降、前半はパーセーブへ徹して、チャンス到来をじっくり待ったそうだ。ちなみに、第1日のテーマは、「バーディーをたくさんとる」。

 前週は同い年のキムハヌルの引退試合だった。「私も(引退を知って)驚いた。まだ、十分にやれると思う。でも、新しいキャリアへトライすると聞いて、とても勇気がある行動。精いっぱい、応援したい」とエールを送っている。ただし、こんなことを耳元でささやかれたと明かす。

 「ジエは長く、頑張って」。今週から気持ちを新たに、スタートを切った。「30歳になる前、私も引退を真剣に考えた。プレーすることが大変ではない。移動など転戦することに疲れてしまったからです。だけど、トーナメントの緊張感の中で体験するプレーが大好き。引退をしたら、私の人生に未練が残る。それなら、ベテランでも頑張っている、というロールモデルになろうと決めた。今は、いいプレーをすることに必死です」と目を輝かせながら、話している。

 なるほど、今季のスタッツを見ると、意外なことに気がついた。パー5の平均スコア=4.7118が第1位。「飛距離が出なくても、バーディーがとれる。それは、豊富な経験が後押ししてくれるからです」と解説してくれた。さらに、「きょうは29日。お肉を食べてしっかりとパワーを蓄えましょう」とも。もうひとつ加えるなら、今季初の首位発進だ。若手が席巻するJLPGA新時代へ一石を投じる。
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