リポビタンDチャレンジカップ2021 日本代表対オーストラリア代表 マッチレビュー
【さあ2年ぶりのテストマッチを世界一、楽しもう。】
オーストラリア代表は、現在の世界ランキングが3位(日本は10位)。8月〜10月にかけて開催された南半球4強国による「ザー・ラグビーチャンピオンシップ」では、9月12日、18日に世界王者の南アフリカ代表に連勝した。フィジカルの強さと高いスキルを兼ね備えた選手が揃っており、RWC2023に向かって本格的な強化をスタートさせた日本代表にとって、現在地を知り、選手層を分厚くするために重要な戦いだ。
【©JRFU】
先発メンバーでは期待の新戦力であるFLベン・ガンターがテストマッチデビューとなる。身長195センチ、体重120キロのサイズでハードタックルを決めるガンターはサイズ面では世界の列強に劣る日本代表のフィジカルを押し上げてくれる存在だ。ガンター、ラブスカフニ、姫野というFW第三列を選出したことについて、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは「スピードある試合をしなければいけないから」と説明した。3選手ともにボールキャリアーとして前に出る力強さと、ボールを動かすためのパススキルを持ち、倒した相手からボールを奪い取るジャッカルも強い。攻守の要として期待される。
SO田村優は怪我で準備不足のため、田村の下で経験を積んできた松田力也が先発する。2年ぶりの代表復帰となるSH流大、安定感抜群の両CTB中村、ラファエレとともに判断のいいパスとキックでゲームを操ってくれるだろう。WTBはベテランのレメキと、22歳のシオサイア・フィフィタ。フィフィタについてジョセフヘッドコーチは「体も強く、パッション、エナジーもある。テストマッチの経験を積めば積むほどいい選手になるでしょう」と高く評価する。FBは変幻自在のステップワークが魅力のセミシ・マシレワ。相手のキックに対するキャッチも上手く、最後尾からの攻撃参加で観客を沸かせてくれそうだ。
日本代表を長らく引っ張ってきたリーチはリザーブ(控えメンバー)に入る予定だったが、前日になって怪我のため徳永祥尭に代わった。RWCでは出場機会のなかった徳永には期するものがあるだろう。リザーブでは爆発的突破力のあるFLテビタ・タタフ、スピードのあるSH齋藤直人もインパクトプレーヤーとしてチームの勢いを引き出すことが期待される。また、今回はオーストラリアと縁の深い選手が多いのも特徴だ。LOジャック・コーネルセンは、オーストラリア代表25キャップを持つFLグレッグ・コーネルセンを父に持つ。コーネルセンほか、ムーア、ガンターが同国で育ち、レメキが同国のハイスクールで学んだ。彼らには特別な思いがあるだろう。
スクラムの安定は勝利の最低条件だが、ラインアウトも含めてボール確保が安定すれば互角の勝負ができるはずだ。「我々のプランを遂行することによって勝つチャンスはある」とジョセフヘッドコーチ。個々の能力の高いオーストラリアに対してどんなプランで戦うのか。ディフェンスの時間が多くなれば勝つのは難しい。質の高い攻撃プランで世界を驚かせてきた日本代表は、いったいどんな手を繰り出すのだろう。勝てばオーストラリアからの歴史的初勝利だ。久しぶりに赤白ジャージーを全力で応援する時間を味わえる。観客席で、テレビの前で、大いに楽しみたい。
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