深化し、進化する背番号20 「今季は僕自身を証明しないといけない」 #20合田怜

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10月2・3日の開幕節シーホース三河戦こそ欠場したものの、翌週にアウェイで行われた京都との第1戦。第1Q残り5分18秒に、背番号20がコートサイドに姿を表した。三度にわたる大ケガを乗り越え、ついに#20合田怜がコートに帰ってきたのだ。

「コートに入るときは、やっぱり緊張しましたね。結局24分出場したのですが、めちゃくちゃ疲れました。土曜日に出てめっちゃ疲れて、日曜日は満足できるプレーができなくて……。走り込みもしたし、練習では体力が戻っていると思っていたのですが、でも試合は全然違う。精神的にも疲れるし。翌週のホームでの島根スサノオマジック戦は、京都戦よりちょっとずつ、動けるようになっているのかなと感じました。でもやっぱり、めっちゃ疲れました(笑)。再デビューしたようなもので、ホンマにまたイチからやり直さないとと思っています」

2019-20シーズン中盤に左肩脱臼のアクシデントに見舞われ、昨季は開幕早々に再発させてしまい、シーズンのほとんどを棒に振ってしまった。ここまでの道のりを振り返り、復活を果たした男は「長かったですね」と静かにつぶやく。度重なるケガに、心が折れそうになったこともあった。そんな彼を支えたのは、地元への愛。

「やっぱり、ここが地元やったからというのは大いにあります。知らない土地で家族とも離れてとなったら、だれが支えてくれるのか。自分のメンタルが、保てていなかったかもしれません。地元の友達や親が、かけてくれた声に支えられました。それと天日(謙作ヘッドコーチ)さんは病気療養でいませんでしたが、竹野(明倫アシスタントコーチ)さんがよく声をかけてくれたのにも救われましたね」

竹野ACはコートに立てずとも合田を必要とし、自分をサポートしてほしいと伝えた。竹野ACの横で外からバスケットボールを見ることで、自らのバスケットIQが高まったと合田は言う。

「プレーしているときはバスケのことを考えるんですけど、オフになると全然考えなくなっていたりしました。でもケガをしていた時期は、オフもずっとプレーのことを考えていた。外から見るほうが、考える時間は多かったですね。それでバスケットIQが伸びた実感は、確かにあります。今までもバスケットIQを高めていかないと、僕はポイントガードとして生き残れないと思っていました。ケガをしたことによって、それが高まるとは思っていませんでしたけど。怪我の功名ですかね(笑)」

復帰して、まだ4試合しかこなしていない。コンディションも万全とはいえないだろうが、以前と比べるとプレーに変化が窺える。いや、深化というべきか。彼が繰り出すパスのひとつひとつはニュアンスが異なり、それぞれにメッセージが込められているように見えるのだ。

「なるほど、そうですか。でも、それはあるかもしれないですね。このプレーをしてくれっていう、そういう意思を込めたパスができるようになっているのかなと思っています。以前は、行き当たりばったりのプレーも多かった。それが良かったときもあったんですけどね。行き当たりばったりやから、相手からするとなにをしてくるかわからんのでしょう。そのころはなんの恐怖心もなくプレーしていたのですが、賢くなってしまったので(笑)。今のプレーに以前のプレーも交えられると、もっと強い選手になれる。まだまだ、成長できる材料があるなと思っています

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その一方で再発への恐怖心は、根強く心の奥底に潜む。

「それは、めちゃくちゃありますね。これまでのプレーでも怖かったり、ヤバい場面も何回かありました。手術してくれた先生は絶対に外れないって言うし、トレーナーの人もいっしょにリハビリに付き合ってくれている。もうなにをしても外れない状態になっているのかもしれないですけど、それでもやっぱりすごく怖いです。次にケガをすると引退みたいな感じもあるので、そういった意味でも怖いし。でもなったらなったでしかないので、その怖さと付き合いながら、徐々に慣れていくしかないと思う。絶対にケガをする前の肩には戻らないですから、今の状況に慣れて、より良い身体の使い方ができるようになるしかない」

彼にとって今季は、いかに進化した合田怜を見せるかのシーズンになる。

「そうですね。1シーズン戦うのは久しぶりになるので、僕自身を証明しないといけないシーズンだと思っています。中途半端なプレーをしたり、途中でまたケガをしたりして大したプレーヤーじゃないんやなと思われたら、今後の僕のプロバスケ選手の寿命にも関わってくる。証明して、なにかを残さないといけないシーズンだと思っています」

今季もキャプテンとしてチームを統べる男は、こんな思いを胸にコートに立つ。

「ウチには#25ディージェイ(・ニュービル)という、スペシャルなプレーヤーがいます。彼のおかげで僕みたいな影のプレーヤーが生きてくるのは、プレーする前からわかっていました。光が強ければ強いほど、影は大きくなるじゃないですか。そういう選手になれればと思うんです。それに僕がコートに出たら、みんなが安心してくれることがいちばん。ゲームのシンドい場面でも『合田が出たら安心やな。なんかしてくれるんちゃうか』。そう感じてもらえる選手になれれば、自分の存在意義を証明できるのだと思っています」

自らを証明するためのシーズンは始まったばかり。深化し、進化する背番号20の姿を見届けたい。
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著者プロフィール

2005年にクラブ創立。七福神のお一人で商売繁盛の神様である「戎様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」とお呼びするところから、 人情・笑い・商売の街大阪を活気づける存在であることを願い「大阪エヴェッサ」と命名。 同年にスタートしたbjリーグで開幕から3連覇を成し遂げる。 2016年9月に開幕した男子バスケットボールの最高峰・Bリーグでは、ホームタウンを大阪市とする大阪唯一のクラブとしてB1に参戦。

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