【マッチプレビュー】2021年JFL第25節 いわきFC対ヴェルスパ大分
【©︎IWAKI FC】
ヴェルスパ大分は、大分県別府市、由布市をホームタウンとするJリーグ百年構想クラブ。チーム名称のヴェルスパ(Verspah)は「vermelho(ポルトガル語で赤)」「spa(温泉)」「hoyo(豊洋精工)」を合わせた造語。エンブレム周囲の白模様は温泉、中心の山は由布岳・鶴見岳・高崎山。下部にあしらわれた花は大分県の県花・豊後梅を表す。
クラブの歴史をたどっていこう。
2003年、大分の金属部品メーカー・豊洋精工の社員が声を上げ、協力会社の社員とともに立ち上げたサッカーチーム「HOYO FC」がオリジン。活動開始当初、選手の半数近くがサッカー未経験者だったという。2004年に大分県4部リーグからスタート。2006年より大分県2部リーグ、2007年より大分県1部リーグに所属。地道に強化を進め、順調にステップアップを果たす。
2010年に九州サッカーリーグ参戦。大分トリニータ、ロアッソ熊本に続く初参戦初優勝を成し遂げる。ただし全国地域サッカーリーグ決勝大会(現在の全国地域サッカーチャンピオンズリーグ)は、1次ラウンドで敗退。
翌2011年、親会社の工場内に特定非営利活動法人「大分スポーツ&カルチャークラブ」を設立し、運営を移管。九州サッカーリーグ連覇を達成し、再び全国地域サッカーリーグ決勝大会に進出。決勝ラウンド3位に入り、地域決勝2度目の挑戦でJFL昇格を決めた。
※この時JFL入りを争ったY.S.C.C.(1位)、藤枝MYFC(2位)、SC相模原(4位)はいずれもJFL昇格を経て、2014年の創設とともにJ3参戦。SC相模原は今年からJ2で戦う。
2012年よりJFL参戦。これまでHOYO FC→HOYO Atletico ELAN→HOYO AC ELAN大分→HOYO大分と都度名称を変えてきたが、この年のシーズン終了後、チーム名を現在の「ヴェルスパ大分」に変更。Jリーグ入りを念頭により地域に根差したチームとなるべく、運営母体の企業名を外すことを決断した。
そして2018年、須藤茂光氏の監督就任とともにチームは飛躍を果たす。2019年は過去最高タイの7位。2020年には株式会社ヴェルスパを設立し、運営を移管。コロナ禍の影響でリーグ戦が1回戦総当たりの15試合制に変更される中、開幕から4連勝し勢いに乗った。その後もシーズンを通じて安定した戦いを見せ、JFL初優勝を成し遂げた。
さらに今年、チームはJリーグ参戦へ向けた動きを本格化。Jリーグ百年構想クラブの認定を受け、ホームタウンを別府市・由布市と定め、新監督として年代別日本代表のアシスタントコーチなどを務めた山橋貴史氏を招聘した。
ただし残念なことに、J3クラブライセンス申請は見送りとなった。「施設基準を現時点では満たすことが困難」というのが理由。ホームタウンの別府市・由布市にJリーグ・JFLの開催基準を満たすスタジアムがなく、ヴェルスパのホームゲームは現在、主に大分市内で開催されている。クラブは来シーズンのJ3クラブライセンス申請に向け、J3の施設基準を満たすスタジアム建設を目指し、協議を重ねている。
【©︎IWAKI FC】
2度目の対戦は今年6月20日のJFL第13節。アウェーでの戦いは57分に先制されるも流れを引き戻し、67分にFW鈴木翔大が同点ゴール。84分にはFW平岡将豪が幼少期からのなじみの地・大分で決勝点を挙げ、いわきFCが2対1で逆転勝ちを収めている。
ヴェルスパ大分の現在の順位は11勝4分7敗。勝ち点37の5位。同じ百年構想クラブであり、昨年に厳しい負けを喫した2020年JFL王者を、いわきFCは今節いかに攻略するのか。田村雄三監督、村上佑太アナリストのコメントを紹介する。
■「9連勝を目指して戦う」田村雄三監督
松江戦のデータを見たところ、走行距離やスプリント回数、プレーエリアとパス成功率など、自分達のやろうとするサッカーがしっかりと表れていた。アタッキングサードに多く侵入できており、パス成功率も高く、精度の向上というHonda FC戦で得た教訓を、しっかりと生かすことができました。
【©︎IWAKI FC】
ここに来ていいデータが出ているのは、シーズンインから一貫して鍛え続けてきた成果でもあります。もちろんストレングストレーニングだけでなく、サッカーの要素も含めてのことで、今、フィジカルとパフォーマンスがしっかりとつながってきている。まだまだ課題は多いですが、積み上げていきたいです。
松江戦は3バックで戦いましたが、ヴェルスパ大分さんは4-3-3なのでこちらも4バックで戦うか、それとも今節も3バックで戦うか。それはまだ決めていません。この先は状態のいい選手を使っていきますし、毎試合違うヒーローが出てきてほしい。残り9試合を9連勝するつもりで戦います」
■「MF利根瑠偉選手を封じたい」村上佑太アナリスト
昨年の戦いでは、前半30分までパーフェクトなゲームをして1点を先制しましたが、そこから失速し、4点を取られて負けました。その結果を踏まえた6月の戦いは前半にカウンターで先制されたものの、2点を取って逆転勝ち。この試合は大きな自信になりました。
【©︎IWAKI FC】
彼は足元も上手いですが、一番の武器はスピードと大きなストライド。ヴェルスパさんの3トップ中央の中野匠選手はFWというよりMFで、頻繁に中盤まで下りてきます。それに対して利根選手は高い位置に張り、中野選手に食いついたCBの背後のスペースに斜めに侵入してくることが多くあります。
得点パターンは、左サイドからカットインしての右足のシュート。中に侵入させると失点のリスクが増えるので、まずは前を向かせないこと。前を向かせたとしても中へのランニングを切り、自由にやらせないことが大事です。
前節、セットプレーからのトリックプレーで先制点を取りました。今節も何かをしようと考えています。ただ、もちろんそれでゴールできたらうれしいのですが、通常のセットプレーからあまり点が取れていないのが気になっています。『日本のフィジカルスタンダードを変える』と宣言している以上、セットプレーの競り合いでもっとパワーを示したい。そのために今週、しっかり整理します」
■スターティングメンバー争いは激化の一途。
シーズン2敗目となる4点差の負け。しかし2週間後、田村雄三監督は見事、チームを立て直してみせた。
大敗からのJFL第24節。松江シティFCとのアウェーマッチはMF日高大、FW鈴木翔大、MF山下優人のゴールで4対0で完勝。ここまで積み上げてきたことに間違いがなかったことを証明し、勝ち点51で首位をキープしてホームへ帰還した。
松江シティFC戦は3-4-3で戦ったが、今季は4-1-3-2、4-3-3などを対戦相手と戦術に応じて使い分けている。1年前に辛酸をなめさせられた王者を相手にどのようなフォーメーションとメンバーで挑むのか。興味は尽きない。
シーズン残り9試合となった今も、スターティングメンバー争いは激化の一途。DF陣は1年目の米澤哲哉を筆頭に、スピードに定評ある黒澤丈、クレバーな読みを武器とする奥田雄大、そしてアキレス腱断裂から復帰し、松江戦に3バックの左で先発復帰したDF田中龍志郎、気迫あふれるプレーで守備陣を鼓舞する江川慶城らがスターティングメンバーを争う。そして両SBは盤石の日高大、嵯峨理久か。
中盤はアンカーとして闘志あふれるプレーを見せ、プレースキッカーとしても活躍する山下優人が中心。加えてこれまで主に守備面で貢献してきた宮本英治が、ここにきて攻撃センスを発揮しつつある。
【©︎IWAKI FC】
熱き戦いは10月10日(日)13時より、Jヴィレッジスタジアムにてキックオフ。試合の模様はYouTubeのJFLオフィシャルチャンネルにてライブ配信される。ぜひ会場にて観戦ルール順守の上、気持ちのこもった拍手で、選手達の熱き戦いを後押しいただきたい。
なお、いわきFCの最新情報は現在、"魂の息吹く"noteにて配信中。
また、いわきFCファンクラブ「LOVE IWAKI」も、会員を随時募集。入会は無料。チケットやグッズの会員限定価格で購入や、メルマガによる情報配信など多くの特典があるので、ぜひチェックしてほしい。
熱き戦いに、ぜひご注目を!
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