【早大競走部】辻文哉×諸冨湧 駅伝シーズン直前特集 第4回 

チーム・協会

【1年ぶりに対談取材を受けた諸冨(左)と辻【早稲田スポーツ新聞会】】

【早稲田スポーツ新聞会】

第4回 辻文哉×諸冨湧

【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 芦澤拓海、高橋優輔

今回登場するのは、辻文哉(政経2=東京・早実)と諸冨湧(文2=京都・洛南)の2年生一般組コンビ。ルーキイヤーから駅伝を経験した二人は、前半シーズンをどのように振り返り、来たる駅伝シーズンへ向かっていくのか。 二度目の駅伝シーズンにかける想いを伺った。

※この取材は9月8日に行われたものです。

前半シーズンを振り返って

――対談は、昨年の全日本大学駅伝対校選手権(全日本)前のルーキー対談以来となります。それ以降、競技面、競技以外の面でお互いの印象が変わったことはありますか

諸冨 印象、変わったところ…。特にないかな(笑)。真面目でストイックな感じというのが、競技、私生活通じてというのは変わってないですね。

全日本の(前の対談の)とき、僕は諸冨のことを紹介したと思うのですが、その時も競技をしっかりやるときは集中してやれて、楽しむときはしっかり楽しむという風に感じていて、そこから特に印象は変わってはいないですね。

――対校戦やグランプリシリーズに多く出場されましたが、トラックシーズンを総括していただけますでしょうか

僕は、ホクレン・ディスタンスチャレンジ(ホクレン)で13分30秒台など、記録を残すところをシーズン当初目標にしていました。ですが六大学(東京六大学対校大会)や関東インカレ(関東学生対校選手権)など、初めての対校戦を経験するなかで、一つ一つの試合に向かっていくので手一杯になってしまったかなというか。自分の中で軸を持てずに、結果につなげられなかったシーズンになったかなと思います。

諸冨 僕は3000メートル障害をメインにやっていたのですが、思ったより体のコンディション調整がうまくいかず。日本選手権だったり、織田記念(織田幹雄記念国際大会)だったり、グランプリのシニアのレースに出場させていただく機会は多かったのですが、いずれも出るだけというかたちになってしまいました。自己ベストは少し更新できたのですが、自分の思ったようなシーズンにはならなかったというのが今の感想です。

――辻選手は、昨年の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)前の合同取材で「大学レベルでの大きな武器は見つかっていない」とお話されていました。今シーズンになって武器は見つかりましたか

トラックシーズンの中でもそこが課題となっていました。この夏を通して、ロングスパートを武器にしたいと考えています。ラスト一周の前から追い込んでいくことを意識しています。

――6月のU20日本選手権の出場を回避されたのはどのような理由ですか

練習があまり積めずに調子が合わなかったので回避しました。ホクレンも結果が出せなかったのですが、夏合宿に入ってからは大きな故障がなく順調に練習を積めています。最近のポイント練習も質が上がってきているので、自分自身の調子はかなり上がってきているのかなと思います。

――続いて、諸冨選手に伺います。調整がうまくいかないながらも3000メートル障害で自己ベストを更新しました。このことはどう捉えていますか

諸冨 目標としていたところには全然届いていなくて、同期でも三浦(龍司、順大)を筆頭に、後輩と(比べて)タイムも全然納得できるものではないですね。そこは悔しさをもって、今後に生かしていきたいと思っています。

――昨年の駅伝シーズン前と比べて、自分がレベルアップしたと感じる点はありますか

諸冨 今年は夏合宿で頑張って距離を踏もうかなと思っていたのですが、去年と変わらず、あまり距離が踏めませんでした。それでも最近の自分の体の状態や練習の消化具合を見ていると、ウエイトトレーニングを去年より確実に行っているので、その点で多少力はついているのかなと。前半シーズン調子は上がらなかったのですが、スピードは結構出るようになってきていて。夏合宿のジョグで走り込んで、最近はスピードと持久力的なものが融合してうまく走れているのかなと思います。

3冠に貢献するために 『頼る』のではなく『自分が担う覚悟』を

――今年は妙高や菅平で合宿がありました。昨年と比べて練習内容や気持ちの面での変化はありましたか

練習内容に大きな変化があったわけではないのですが、菅平はかなり涼しく、(所沢に)帰ってきてからの気候も、昨年と比べるとかなり涼しいと感じています。一回に長い距離を走ることに対する抵抗感がかなり減ったので、楽に取り組めています。

諸冨 昨年は暑すぎたので、合宿に行った間は気温の部分はしみじみと感じました。

――8月までの調子はいかがでしたか

 7月8月と練習を継続して積んでいく中で状態が上がっているのかなと思います。

諸冨 8月まではあまり調子が上がっていなかったです。

――夏季練習ではどんなことを目標にしていますか

 有酸素能力のベースをしっかりと作っていくところと、ジョグや補強、フォームを改善していくところを目標に、地道なところを取り組んでいます。最近の練習の中でも、だんだんと自分の全力に近いペースでも動きをコントロールできるようになっているので、目標は達成できていると感じています。

諸冨 距離を踏むのを一つテーマとしてやっていたのですが、中々そこまで距離は踏めなかったです。また、身長も低く体の線が細い部分は大きな選手に対して不利になるので、筋力で補わないといけないと思います。補うためのトレーニングは強化のポイントとしてあげていて、最近そこも実感できています。

――どのような練習に取り組まれましたか

 チーム全体としてトレーニングをするのですが、練習後に補強をして、人より一回に走る距離は長かったと思います。

諸冨 去年であったら、きついポイント練習の後はへばって、次の日の朝練はジョグの量をかなり減らすなどしたのですが、(今年は)ペースはゆっくりでもある程度のベースを上げていくことは意識していました。

――駅伝シーズンの開幕が迫ってきましたが、これから伸ばしていけると感じる点はどこでしょうか

 ロングスパートをしっかりと武器として確立していくことと、単独走の経験が乏しいのは起用される区間によっては課題になるかなと。今はまだどうしてもエース区間は先輩方に任せる意識が心のどこかに残っていると思うので、自分が担うんだという覚悟をもっていかなければいけないと考えています。

諸冨 そもそも今年のチームの目標が3冠で、全部優勝するのが目標なので、自分は単純な走力がまだまだ足りないかなと思います。また辻も言っていましたが、4年生が強いので、そこに頼ってしまうという気持ちの部分は、下級生や、4年生ほど力がない選手は気を付けた方がいいのかなと思っています。いざ自分が走るとなったときに『頼っている』というメンタリティーでは、他校の選手と競った時に勝てないと思うので。走力の面でもそうですが、精神的な面でも、もっと強くなっていかなければいけないかなと思います。

――駅伝シーズンに向けて学年の中で話していることはありますか

 特に学年としてというのはないですが、概ね順調に練習を消化できているメンバーが多いかなと思うので、4年生に頼らずに、結果を残していかなければというのはおのおの感じていると思います。

諸冨 Aチームでも一番僕らの学年は人数が多く、同期の人数が多いと競る機会も多いので、そういったところはモチベーションにつながっていると思うのでいいかなと思います。

――マークしているチームはありますか

 昨年全日本、箱根を勝っている駒澤大であったり、青山学院大であったり、非常に強いチームが多くて。特に出雲は(距離が)短いので、『戦国駅伝』などと言われている中で、戦力は拮抗(きっこう)していると思います。どこの大学であれ油断していたら取られるので、僕らはどっちみちすべての大学に勝たなくてはいけないので、そこは気を抜かず全大学を意識してやっていきたいなと思います。

諸冨 同じです。

――駅伝シーズンを通しての目標を教えてください

 全ての駅伝で優勝の流れを作る走りをしたいのと、昨年は全日本の直後に故障して、そこから戻れずに箱根駅伝を終えてしまったので、しっかり箱根まで、それ以降も見据えて練習を継続し、しっかり3本走り切りたいと思います。

諸冨 僕は去年、特に箱根でチームの足を引っ張るかたちになってしまいました。その時迷惑をかけてしまった人がいるので、そういった人たちに恩を返せるような走りをしたいのが一番大きいです。

――意気込みをお願いします

 チームとして3冠を取ることを目標にしているので、優勝します。

諸冨 チームの3冠に少しでも貢献できるように頑張ります。

――ありがとうございました!
◆辻文哉(つじ・ふみや)
2002(平14)年1月4日生まれ。167センチ。東京・早稲田実業高出身。政治経済学部2年

◆諸冨湧(もろとみ・わく)
2001(平13)年10月12日生まれ。167センチ。京都・洛南高出身。文学部2年
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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