【早大競走部】井川龍人×栁本匡哉 駅伝シーズン直前特集 第3回 

チーム・協会

【初対談となった井川(左)と栁本ペア【早稲田スポーツ新聞会】】

【早稲田スポーツ新聞会】

第3回 井川龍人×栁本匡哉

【早稲田スポーツ新聞会】 取材・編集 布村果暖、森田健介

今季1万メートルで27分台に突入し、チームを勢いづけた井川龍人(スポ3=熊本・九州学院)。そしてU20日本選手権男子1500メートルで3位入賞を果たした栁本匡哉(スポ2=愛知・豊川)。練習外でも一緒に過ごすことが多いという二人に、お互いについての話を交えながら夏の状態、秋以降の意気込みを伺った。

※この取材は9月8日に行われたものです。

「一緒に走ったりするので、いい刺激になっている」(井川)

――練習外でも一緒にいることが多いお二人だと思いますが、お互いについて紹介していただけますか

栁本 競技面では、練習中自分が集団から離れそうなときによく声をかけてくれるので頑張れるし、競技力も自分より上にいるので尊敬しています。ただ、私生活はちょっと面倒くさいです(笑)。

井川 面倒くさいとはいいつつ楽しんでると思います(笑)。

栁本 昨日も僕の部屋にいて…。

井川 それは創士(鈴木創士、スポ3=静岡・浜松日体)も関わっているので(笑)。

――練習中の声がけは意識して行っているのでしょうか

井川 みんなでしっかりやりたい気持ちがあるので、離れていく人がいればサポートするようにしています。

――井川選手は、栁本選手についていかがですか

井川 練習では、結構ジョグとかを頑張っています。僕は結構さぼりがちなところもあるのですが、やなぎが頑張っていたら負けたくないなと思って一緒に走ったりするので、いい刺激になっています。普段は、僕たちに散々やられていると思うのですが、その分生意気なとこもあるので(笑)、どっちもどっちかなと思います。

――お二人は大学に入ってから仲良くなったのですか

井川 高校までは全然知らなかったです。

前半シーズンを振り返って

日本選手権1万メートルに出場した井川 【早稲田スポーツ新聞会】

――では、それぞれ、前期はどんなシーズンになりましたか

井川 関カレ(関東学生対校選手権)で入学後初めて入賞できて、その点では成長できたのかなと思います。練習面でも今までより密度の濃いというか、ポイント練習でもプラスで取り組んだり、前に出たり。筋トレにも今まで以上に取り組んで、1、2年に比べたら成長してきていると思います。

栁本 今シーズンは大腿骨を疲労骨折して遅れてしまいました。U20日本選手権は入賞しましたが、今年は1500メートルよりは5000、1万メートルに切り替えてそっちで記録を残したい思いがあるので、1500メートルの入賞は通過点です。今は結構充実した練習ができているかなと思います。

――前半シーズンはどんな目標を持って練習を積んできましたか

井川 今まで入賞できていなかったので、今年は入賞や駅伝の区間賞を目標としています。

栁本 トラック(シーズン)ということで1500メートルのレースが多かったのですが、その中でも5000メートルで結果を残したいと思ってジョグなどにも取り組んでいました。1500メートルも、結果的に5000メートルにつながったらいいなと思っていました。

――前半シーズンはいろいろな大会に出ていましたが、どこが一番大きな収穫になりましたか

井川 タイムでいったら1万メートル27分台が一番の収穫でした。ですが27分台を一回しか出せていないので、これに満足せず、在学中にアベレージで27分台で走れる選手になれたらと思います。

――関カレ入賞と、1万メートル27分台はどちらが自分の中で大きかったですか
 
井川 関カレは8位なので、3位以内には入りたいなと。勝負強さではまだまだだと思います。

――春先からトラックで自己新記録を連発しましたが、前半の入りはどう評価しますか

井川 いい流れでした。途中は大会が多くて練習が積めていなかった部分もありますが、今はその分積めているのでいい感じです。

――好調だった要因について、どう考えていますか

井川 (自分の)練習もそうですが、 中谷さん(中谷雄飛、スポ4=長野・佐久長聖)や直希さん(太田直希、スポ4=静岡・浜松日体)が先に27分台を出して日本選手権で活躍しているのを見て、負けたくないなと思って。そういうこともつながっていると思います。

「今はすごく上がってきている感じ」(井川)

――夏は、現時点までどんな練習を積んできましたか

栁本 一次と二次合宿ともに質よりは量というところで、ジョグやポイント練習も距離を踏んでいました。ポイント練習は一本外したのですが、それ以外はジョグも長い距離を踏めて、いい感じではあると感じています。

井川 合宿前半は、急に走り出したのもあってすごく疲労感があったのですが、その後はゆっくりでもみんなより時間を使って走ってきたおかげで、今はすごく上がってきている感じはあります。これ以降合宿で高地トレーニングはできないと思うのですが、こっち(所沢)でも同じように練習を積めたらなと思います。

――合宿を通しての目標は

井川 今まではみんなと同じ練習をするのが精一杯だったのですが、夏からは設定ペースより速く走ったり、終わった後にプラスで走ったりというのを心掛けています。

栁本 なるべく最後に帰るというか、長い時間ジョグしてみんなより長く練習するのを心がけていました。あとは走り方を少し見直し、接地位置を改善しながら練習していました。

――力がついてきた部分はどこでしょうか

栁本 今はその走り方が身についてきて、しっかり地面を捉えて走れるようになりました。以前より力を使わずに走れるようになっていると思います。

井川 きつい中でもジョグを続けてきたので、こっちに帰ってきてジョグをしてみると全然疲れなくて。この前もやなぎと25キロくらいジョグして、いつもだったらへばっているところを楽に走れたので、基礎体力はついていると思います。

――合宿を通して見つかった課題はありますか

井川 疲労が重なって、去年までできていたフォームが崩れかけていると相楽さん(相楽豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)に何回か言われました。今は疲労も抜きつつ(改善後の状態に)戻ってはいるのですが、疲れた時にフォームが前のかたちに戻ってしまうのは直していきたいです。

――今シーズン中は疲労がたまることが多かったのですか

井川 そうですね、年のせいですかね(笑)。相楽さんには20歳を超えると疲労が抜きにくくなるよと言われていたので、きついなと思っています(笑)。

――栁本選手は、課題はありますか

栁本 Aチームの中で自分は下の方なので、ポイントでもいっぱいいっぱいになってしまうときが多くて。周りはペースを上げてバチバチしている中で、自分はそれに交じれていないのは力不足だと思っています。そうしたところにまずは入り込めたらと思います。

「長距離への抵抗はない」(栁本)

U20日本選手権1500メートルに出場した栁本 【早稲田スポーツ新聞会】

――U20日本選手権や1500mリレーなど、1500メートルを中心に競技に取り組んできたと思います。駅伝の長い距離に向けての対応について、ご自身の状態をお聞かせください

栁本 ジョグを長くすることに抵抗はありませんでした。ただペースが上がると長い距離がきつくなってしまうので、長距離でも速いペースを維持できるようにしたいと思っています。理想は1500メートルのペースで5000メートルなどの長距離を走ることです。長距離への抵抗はないので、いかにペースを落とさずに走るかが課題だと思います。

――昨年よりも今年の方が合宿が長かったと思いますが、振り返っていかがですか

栁本 ケガや故障もなく練習メニューをしっかりこなせたので、充実した合宿だったと思います。合宿から戻ってきても力はついてきていることを実感しているので、このまま故障せずに継続していけたらと思います。

――井川選手にお聞きします。3年生の状態はいかがですか

井川 先週頃までAチームの3年生は自分だけでしたが、創士と安田(安田博登、スポ3=千葉・市船橋)がAチームに上がってきました。創士も長いこと走っていないわりにはいい走りができていたので、あとは体力さえ戻ってくればすぐ戦力になりそうです。小指もだいぶ走れるようになってだんだん調子が上向きつつあります。

――合宿を通してチーム内で刺激を受けていた選手はいますか

栁本 同期の存在は刺激になりました。ポイント練習で自分ができていないところでも同期が頑張っていたので、負けたくない気持ちで頑張ることができました。

――栁本選手は3年生といる印象が強いですが、同期の選手とはどんな関係ですか

栁本 同期とは、いる時間少ないですが、しゃべる時はしゃべります。省かれているわけじゃありません(笑)。仲良くやっています(笑)。

――井川選手は刺激を受けていた選手はいますか

井川 いつもだと創士がいて刺激をもらっていたのですが、今回は創士なしの合宿でした。でも、石塚(石塚陽士、教1=東京・早実)と大志(伊藤大志、スポ1=長野・佐久長聖)が1年生でもポイントで頑張っていて。30から35キロメートルの距離走で、1年生だと30キロメートルぐらいでやめるかなと思っていたのですが、35キロをしっかり完走し、なおかつペースも上げていました。僕は二人の後ろにいたのですが、ゴールで二人には負けたくないと思って最後1キロメートルをかなり飛ばして追いついた感じだったので、下の学年にはかなり刺激を受けました。

――後半シーズンを通してどのようにステップアップしていきたいと考えていますか

井川 トラックで勝負するシーンは減っていくとは思いますが、記録会では自己ベスト更新を目指しながら、組のなかでもラスト勝負で勝ち切るレースを増やしたいです。また駅伝シーズンも始まろうとしていて、今年は初めて3つの大会(出雲全日本大学選抜駅伝、全日本大学駅伝対校選手権、東京箱根間往復大学駅伝)に出られるので、1つでも多く区間賞を取ってチームに貢献したいです。

――スパートのキレも強みですが、今の状態でのスピード感はいかがですか

井川 坂ダッシュなどでも走っているときのキレは落ちていないですし、フォームが変わったり体も絞れてきているので、キレは増していると思います。

――栁本選手は後半シーズンどのようにステップアップしていきたいですか

栁本 5000メートルなら13分50秒を切るタイム、1万メートルなら28分40秒あたりで走りたいです。3大駅伝では出雲からメンバーに選ばれるよう、残りの期間でしっかり力をつけていきたいです。

――少し早いですが、駅伝で走りたい区間はありますか

井川 僕は前半区間走るのが好きなので、どの駅伝でも1区…はきついので、任されたら1区は走りますが1、2、3区あたりでチームにいい流れを作りたいです。

栁本 箱根だったら9区、10区あたりの順位変動しない区間がいいです。

井川 めっちゃ弱気やん(笑)。

栁本 実は6区走りたいなっていうのもあって。下りなら力を出せるかなと思いました。上りを強化できれば6区を走りたいです。

井川 下りは得意だと思います。下り坂だと普通は怖くてスピード落とすのに、(栁本選手は)ブレーキを全然かけないで下っていくので、才能あるかなと。ジョグしてる時に発見しました(笑)。
栁本 若干怖いですけどね(笑)。でもブレーキをかけると足を痛めるので。

――最後に改めて、秋以降に向けた意気込みをお願いします

井川 駅伝がメインになってくると思うので、前半区間を走ってチームにいい流れを作ることと、1つでも多くの区間賞を取るのが目標です。

栁本 チームとして3冠を目標に掲げているので、少しでも貢献できるように出雲、全日本、箱根の全てに出走したいです。

――ありがとうございました!
◆井川龍人(いがわ・りゅうと)
2000(平12)年9月5日生まれ。178センチ。熊本・九州学院高出身。スポーツ科学部3年

◆栁本匡哉(やなぎもと・まさや)
2002(平14)年1月11日生まれ。167センチ。愛知・豊川高出身。スポーツ科学部2年
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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