ディープ産駒スノーフォールら欧州勢が強力、クロノジェネシスとディープボンドはぶ厚い壁を突き破れるか

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【日本馬悲願の凱旋門賞制覇に挑むクロノジェネシス【Photo by Shuhei Okada】】

日本からクロノジェネシスとディープボンドが遠征し、アイルランド育ちのディープインパクト産駒スノーフォールも有力視されるなど、日本の競馬ファンにとって例年とはひと味異なる楽しみが加わった今年の凱旋門賞。近年は振るわなかった欧州の3歳馬も充実しており見どころは尽きない。

日本調教馬の凱旋門賞チャレンジにおいては天気(馬場状態)が心配の種としてつきまとってきたが、今回は例年ほど頭を悩ませる必要はないかもしれない。クロノジェネシスとディープボンドにそれぞれ道悪実績がある。

フランスギャロはパリロンシャン競馬場の馬場に関して9月上旬に情報を公開した。それによると7月14日の開催を最後にコース全体の内側から6mを仮柵で保護し、凱旋門賞のレース当日まで未使用の状態を保つとしている。また、直線入口からゴールまでの区間はさらに6m拡大して合計12mに渡る部分を保護。この状態でフォワ賞などの前哨戦が行われた。さらに、10月2日は内から17m部分に仮柵を移動した上で、3日の凱旋門賞当日は仮柵を取り払ったオープンストレッチでの開催となる。

フランスギャロが現地29日朝に発表したパリロンシャン競馬場の馬場状態は「SOUPLE(3.5)」で稍重に近く、ディープボンドが勝ったフォワ賞の「BON(3.2)」と比較して多少柔らかくなっている。雨混じりの天気が続く予報もあり、水分はさらに多くなりそうだが、昨年のように馬場が極端に重くなる事態は避けられそうだ。

このような馬場なら、先行力のあるディープボンドや武豊騎手が鞍上のブルームは大歓迎だろう。ただ、ディープボンドは前哨戦で逃げ切り勝ちに導いたC.デムーロ騎手からM.バルザローナ騎手に鞍上が急きょ変更になったのは誤算。番手マークから突き放されたブルームの武豊騎手は国内の戦いでディープボンドの力量を解っており、凱旋門賞のセオリーとして再度の逃げも打ちづらい。英ダービー前哨戦で番手抜け出しからアダイヤーの追撃を封じたアレンカーも加え、序盤から緊張感あふれる主導権争いを見られそうだ。

日本勢のライバルとなるディープ産駒スノーフォール 【Photo by Getty Images】

そのアダイヤーも前々で流れに乗れるタイプ。英ダービーでは3、4番手の好位から、キングジョージは2番手から豪脚一閃で突き抜けた。実績からマークを集める立場にあり、その動きひとつでディープボンドやブルームが置かれる状況も変化する。アダイヤーの僚馬ハリケーンレーンは凱旋門賞と同舞台のパリ大賞で2番手、英ダービーではアダイヤーの直後と、2400mでは前で受けることもできる。ヴェルメイユ賞でスノーフォールを撃破したティオーナは序盤の折り合いに気を遣うタイプで発馬次第。凱旋門賞を知り尽くすO.ペリエ騎手の手腕が頼みとなる。

クロノジェネシスは初コンビのO.マーフィー騎手が如何に操るか。スノーフォールやタルナワら爆発的な末脚を誇る牝馬もおり、あまり後ろの位置になるのは避けたいところ。マーフィー騎手といえば一昨年のナッソーSでオープンストレッチの内を突き、ディアドラを勝利に導いた騎乗が印象深い。もともと内から末脚を生かす手腕に長けており、今回も直線のグリーンベルトを巧みに利用してくれるものと期待したい。

優勝候補に挙げられるスノーフォールとタルナワはどちらも前哨戦でスローペースに泣かされた。しかし、今回はディープボンドら力のある先行馬がそろい、自ずと厳しい流れになる公算も高い。持ち味の末脚を生かせる展開になるはずで、あとは直線の捌きが命運を分ける。ただし、両馬より前にいると思われるアダイヤーとハリケーンレーンのゴドルフィン勢が、引きつけて馬群を凝縮させると思わぬ結果も。

この他ではラブやラービアー、モジョスターらが末脚を生かしたい口だが、ラブは今季の内容が冴えず大きな変わり身が必要か。ラービアーには昨年の凱旋門賞で5着の実績があるが、その直前のヴェルメイユ賞ではタルナワに完敗しており一枚落ちの感がある。この中では勝ち味に遅いもののクラシック戦線で堅実に活躍してきた3歳馬モジョスターの伸びしろが不気味に映る。

また、凱旋門賞といえば地元のフランス勢が毎年のように上位争いに加わっており、仏ダービーで2着のシリウェイに未知の魅力がある。ダービー以来の実戦は割引かもしれないが、今年の中距離戦線で無敵だったセントマークスバシリカと1馬身3/4差の力量は侮れない。同じフランスの3歳馬でもベイビーライダーとバブルギフトのニエル賞組は内容が平凡。両馬ともパリ大賞でハリケーンレーンに大きく負けておりインパクトに欠ける。ドイツのトルカータータッソは早くから凱旋門賞を目標にしていたものの、戦ってきた相手関係の比較から勝ち負けに絡むまでは難しい印象だ。

(渡部浩明)
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