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Bリーグマネジメントカップ 2020 分析レポート 第3回:B2部門は仙台が2位に20ポイント以上の大差で2連覇!!

デロイト トーマツ グループ

クラブチームの運営において重要になる、収益の確保や事業拡大に向けた観点でBリーグの各チームを評価し、“優勝”を争うのが「Bリーグマネジメントカップ」です。前回までのB1部門に引き続き、B2部門の分析レポートをお届けします。

Bリーグ マネジメントカップ 2020のB1部門では川崎ブレイブサンダースが優勝を収めましたが、B2部門の優勝クラブに輝いたのは仙台ドラゴンフライズであり、昨シーズンに引き続き2連覇を達成しました。

好成績の原動力はB2平均を大きく上回る集客力です。昨シーズンで大幅に伸ばした平均入場者数・アリーナ集客率を維持し、ブースターをがっちりと取り込んだBM施策の効果が読み取れます。また、期中のシーズン中断にもかかわらず、物販収入は昨シーズンを超える結果となりました。地区優勝を果たしたフィールドマネジメント(以下、FM)面での効果をビジネスマネジメント(以下、BM)面にうまくつなげられたものと考えられます。

コロナ禍で集客への制約が続きますが、ブースターの熱を冷めさせない施策を続け、この状況をどう打破していくか、今後の動向に期待です。

M Point 2020 B2ランキング 上位5クラブ M Point 2020 B2ランキング 上位5クラブ ©2021. For information, contact Deloitte Tohmatsu Group

※2018-19年シーズンのディヴィジョンにおける順位を記載しています。



それでは、マーケティング/経営効率/経営戦略/財務状況の4つの視点(クォーター)に分けて、分析結果を見ていきましょう。詳細な分析については、「Bリーグ マネジメントカップ 2020」のWebサイトをご覧ください。

1stクォーター:マーケティング

一般的にプロスポーツの下部リーグはトップリーグと比べて集客に苦戦する傾向にあります。競技力や対戦相手の注目度でどうしてもトップリーグに劣るため、トップリーグクラブ以上にBM施策の重要度が高いといえるでしょう。
一方で、B2がビジネス面でB1に肉薄することがBリーグ全体の活性化につながるため、目が離せない指標でもあります。


平均入場者数

2019年シーズンにおけるB2の平均は前年比▲126人(▲8.2%)の1,406人となりました。トップは仙台の2,448人で、前年比▲119人(▲4.6%)となっています。B3からの昇格組を除く16クラブの内10クラブが前年比でマイナスとなっており、B2として4シーズン目は2年連続のマイナス成長となりました。中でも福岡はB2降格により前年比▲1,069人(▲50.0%)、昨シーズン集客力トップの熊本も前年比▲803人(▲30.2%)と大幅に平均入場者数を減少させています※。

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債務超過に陥りB2降格となった福岡は、2019年11月にB1千葉の元経営者であり、現Bリーグチェアマンの島田慎二氏をクラブ経営アドバイザリーに迎え入れ、再出発を目指しています。千葉での経営の経験を生かした地域に密着したクラブ経営により、財務体質の改善、経営陣・人員配置の最適化などの問題を一つずつ解決し、悪循環から抜け出し、ファンからの信頼を取り戻すことができるかがポイントになると考えられます。

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来シーズンはコロナ禍による入場制限等の影響が大きくなることが想定されるため、よりBM施策の重要性が増すシーズンになると考えられます。

※最終節の無観客試合は集計から除外しています。

2ndクォーター:経営効率

「1勝あたりチーム人件費」と「1勝あたり入場料収入」はFM面の成績によって大きく変動します。特に経営リソースの限られるB2においては、いかに効率的に投下リソースを勝利へとつなげることができているかが表れるこれらのKPIは、重要度が高いといえるでしょう。

1勝あたりチーム人件費

本KPIは値の絶対値よりも、他クラブとの比較においての相対的なポジションを確認することの方が有用な指標である点に留意が必要です。

2019年シーズンにおけるB2の平均は、前年比+1.6百万円(+38.2%)の5.8百万円でした。B2においても、チーム人件費の全体的な水準が高くなった影響もあり、昨年比で大幅な上昇となっています。

最も効率的に勝利を重ねたのは信州で、1勝を2.9百万円で挙げたことになります。対して最下位の山形は1勝を挙げるのに12.4百万円を費やしたことになっており、その差は約4倍にもなります。信州は、地区1位の成績(40勝・勝率85%)というFM面での好成績をB2平均以下のチーム人件費で達成することができています。

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一方で山形も、B2平均を下回る水準のチーム人件費でしたが、B2で最も少ない勝利数(8勝)に留まったことで、BMとFMが噛み合わない結果となりました。

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B2全体を見ると、営業収入は前年比+12百万円(+4.0%)と増収でしたが、チーム人件費も前年比+12百万円(+10.7%)と増加しています。FM面でのチーム人件費の投資は、魅力ある競技をファン・ブースターに提供していくためにも不可欠なものですが、同時に費用対効果をしっかりと見極めていく必要もあるといえます。

3rdクォーター:経営戦略

プロスポーツクラブ経営においては、競技力強化目的で人件費になるべく多くの資金を投下することが一般的でしたが、人々や地域に支持され、持続的な経営がなされるためには、他の分野への投資も大切です。特に競技力においてB1との差があるB2においては、競技力以外でのクラブの価値を底上げするための投資も重要となってきます。

売上高・チーム人件費率

2019年シーズンにおけるB2の平均は、前年比+2.1P(+5.3%)の40.9%でした。

本KPIにおいて健全な水準といわれる50%を超えるクラブは3クラブでしたが、その内容は明暗が分かれる結果となっています。

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まず、福島(63.3%)および香川(66.4%)は、昨シーズンから人件費が増加していることに加え、売上高が減少してしまったことにより、いずれのチームも本KPIの値を昨シーズンの30%台から大きく上昇させてしまうネガティブな結果となりました。一方で広島は、人件費の増加(+209百万円、+114.4%)だけでなく、売上高も同時に増加(+248百万円、+52.2%)させています。結果として本KPIの値は昨シーズンの38.4%から54.0%に増加しましたが、それに伴って、競技成績も昨シーズンの西地区3位から、コロナ禍による中止時点で西地区首位を確保し、B1昇格というポジティブな結果となりました。戦略的に売上高と人件費を積み増し、競技成績が伴った好例であるといえます。

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このように、同じ本KPIの上昇でも、その内容がBM施策を伴う戦略的なものか否かで、クラブ経営にとっての評価は全く異なってきます。特に来シーズンは誰も経験したことのないコロナの影響がシーズン全体に影響するであろう難しいシーズンになることが想定されるため、各クラブのBM施策に注目が集まります。

4thクォーター:財務状況

一般的にビジネス規模がB1よりも小規模なB2においては、Bリーグのクラブライセンス制度が要請する財務基準の要求を満たすことは、より難度が高いと思われます。しかし、だからこそしっかりとした成長の基盤を整えることができれば、その伸びしろは非常に大きいと考えられます。まずは、堅実な経営で財政を安定させることが重要です。

売上高

2019年シーズンにおけるB2の平均は、前年比+12百万円(+4.0%)の314百万円と増加しています。しかし、昇降格組以外の 15クラブのうち、11クラブの売上高が減少しており、コロナ禍による試合中止の影響が如実に表れています。

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その中で、1億円を超える増加を達成した広島(+248百万円、+52.2%)、群馬(+167百万円、+99.1%)の2クラブがB2全体をけん引している状況です。売上高でトップの広島は、6月決算でコロナ禍の影響を受けながらも、B2クラブで初めて売上高が7億円を超え、高い成長を遂げています。入場料収入こそ昨シーズンから21百万円減少していますが、スポンサー収入の大幅増(前年比約2倍)がそれをカバーする形となりました。群馬も、広島と同様、6月決算でありながら、スポンサー収入+85百万円に加え、コロナ禍前に実施していた集客施策が奏功し、入場料収入も+56百万円とB2クラブの中で唯一増加しています。両クラブは、物販収入、ユース・スクール関連収入などその他収入も伸ばしており、厳しい外部環境下においても、よりバランスの取れた売上高構成を維持していくためのBM施策への取り組みの重要性を再認識させられる結果となっています。

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※B3の財務情報が開示されておらず、2019年シーズンにB2へ昇格した越谷の売上高成長率が不明なため、B2における売上高成長率のランキングは省略しています。

 次回は、渡辺太郎副会長への独自インタビューを通じてデロイト トーマツの目線で仙台89ersを分析します。

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クラブ名
デロイト トーマツ グループ
クラブ説明文

デロイト トーマツ グループは、財務会計、戦略、マーケティング、業務改革など、あらゆる分野のプロフェッショナルを擁し、スポーツビジネス領域におけるグローバルでの豊富な知見を活かしながら、全面的に事業支援を行う体制を整えています。またコンサルティング事業の他、国内外のスポーツ関連メディアへの記事寄稿などを通し、スポーツ業界全体への貢献も積極的に行っています。

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