前途有望か!? ドレフォン産駒に注目!

JRA-VAN
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【20210904札幌11R札幌2歳S_ジオクリフ】

9月4日に行われた札幌2歳Sは、1番人気に支持されたジオグリフが勝利した。スタートで出遅れたものの、外からまくって豪快に差し切り4馬身差で圧勝。とても強い勝ちかたに見えた。父は新種牡馬のドレフォン。血統的にはStorm Bird(ストームバード)系というカテゴリーに分類できるタイプで、JRAでは芝短距離やダートで強いイメージのある系統だ。
しかし、産駒最初の重賞制覇が芝1800mとなったのは意表を突かれた。いい意味で予想を裏切ったと言えるのではないだろうか。そこで、今回はドレフォンの血統やここまでの産駒成績、その他ストームバード系種牡馬について調べた。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

【ジオグリフの5代血統表】

ジオグリフの父ドレフォンは2013年、アメリカで生まれた鹿毛馬。現役時代はダート6〜7ハロンで活躍し、16年キングスビショップSとブリーダーズカップスプリント、17年フォアゴーSとG1を3勝した。祖父Gio Pontiは芝8〜11ハロンのG1を7勝した馬。曾祖父はTale of the Catで、さらにStorm Cat〜Storm Bird〜Northen Dancerと遡る。系統分類ではノーザンダンサー系あるいは、ストームバード系などと呼ばれる血統だ。

JRAで産駒が活躍したストームバード系種牡馬

■表1 【JRAで産駒が活躍したストームバード系種牡馬】

ここではストームバード系という点にスポットを当て、JRAで活躍した産駒を出したストームバード系種牡馬を何頭か挙げてみた。近年よく目にするのはヘニーヒューズ、ヨハネスブルグ、ディスクリートキャット、アジアエクスプレス、スタチューオブリバティ、No Nay Neverといった名前だ。ヘニーヒューズは最初、海外で繋養されていたため、JRAで走った産駒は外国産馬だった。モーニンやアジアエクスプレスが活躍したことをきっかけにして、その後日本に輸入された。内国産馬としてはワイドファラオがかしわ記念(船橋)、レピアーウィットがマーチSを勝つなど、主にダート重賞で活躍馬を出している。

ヨハネスブルグは京阪杯を連覇したネロや、今年のキーンランドCを勝ったエイティーンガールを輩出。また、スタチューオブリバティはワンダーリーデル、アクティブミノルと重賞ウイナーを出している。今年の鳴尾記念で重賞初制覇を果たし、宝塚記念でも2着と好走したユニコーンライオンは父がNo Nay Neverという外国馬。聞き慣れない種牡馬だが、父がScat Daddy、その父はヨハネスブルグなので、ストームバード系ということになる。こうしてストームバード系全般を見ると、産駒はダートや芝短距離に適性がある傾向だ。しかし、ユニコーンライオンのように芝中距離で活躍している馬もいる。

ジオグリフの母アロマティコはJRAの芝で6勝、その内5勝が1800〜2000mだった。重賞では12年秋華賞3着、13年エリザベス女王杯3着、14年クイーンS2着などの実績を残した。この母親の強い影響を受けて、ジオグリフも芝中距離に適性がある可能性もある。

ドレフォン産駒の生産者別成績(9/12開催終了時点)

■表2 【ドレフォン産駒の生産者別成績(9/12開催終了時点)】

ドレフォンは社台グループが購入し、現在は社台スタリオンステーションで繋養されている。表2はドレフォン産駒の生産者別成績だが、やはりノーザンファームの生産馬が最も多く、成績もまずまずだ。ノーザンファームの肌馬の質は非常に高く、おのずと産駒全体のレベルも高いと予想はできた。しかし、他の牧場からも続々と勝ち馬が出ている。これはドレフォン産駒のポテンシャルが高いことを示す数字で、いい傾向と言えるだろう。

ドレフォン産駒の芝距離別成績(9/12開催終了時点)

■表3 【ドレフォン産駒の芝距離別成績(9/12開催終了時点)】

表3はドレフォン産駒の芝距離別成績。芝1800mの3勝のうち2勝がジオグリフで、デビュー戦となった東京芝1800mでは、上がり3ハロン33秒3の末脚を繰り出して勝っている。北海道の洋芝だけでなく、速い時計が出る軽い芝にも適性がありそうなので、秋以降の重賞でも相当楽しみだ。一方、芝1200mはまだ1勝2着2回で連対率は12.0%と平凡。重賞の函館2歳Sに2頭の出走馬を送り込んだが、3着以内には入れなかった。

ドレフォン産駒のダート距離別成績(9/12開催終了時点)

■表4 【ドレフォン産駒のダート距離別成績(9/12開催終了時点)】

表4はドレフォン産駒のダート距離別成績。こちらも今のところは1800mの成績が好調。1200mも2勝を挙げているが、連対率・複勝率は25.0%だ。芝・ダートともに全体的なサンプル数はまだまだ少ないが、中距離の成績が良く、短距離はそれほど良くないという傾向だ。芝とダートの比較では、ダートの方が勝率・連対率・複勝率いずれも高い。芝でいい結果が出なかった馬が、ダートで一変というシーンも増えてくるかもしれない。そのあたりにも注目して、さらに産駒の走りを見守りたい。

文:小田原智大
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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