【早大野球部】六大学野球秋季リーグ戦特集『Revival』第5回 岩本久重副将×蛭間拓哉

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【早稲田スポーツ新聞会】

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第5回 岩本久重副将×蛭間拓哉

【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 足立優大、佐藤桃子

 開幕まであと2日に迫った東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)。第5回に登場するのは、岩本久重副将(スポ4=大阪桐蔭)、蛭間拓哉(スポ3=埼玉・浦和学院)の『Wの主砲』コンビだ。下級生の頃から共に練習を重ね、お互いを高め合ってきた2人。そんな打線の中核を担う強打者たちに今年のチームの強み、そして今秋に懸ける思いを伺った。

※この取材は9月1日にオンラインで行われたものです。

「一つ一つのプレーを怠らない」(岩本)

安部球場にて、岩本(右)と蛭間 【早稲田スポーツ新聞会】

――昨季を総括していかがですか

岩本 結果は5位ということですごく悔しいシーズンでした。接戦をものにできない、踏ん張る力がなかったと感じました。まだまだ力不足だったと感じますし、はね返すだけの力もなかったと思います。

蛭間 チームとして5位でとても悔しい結果で終わりました。チームの一体感というか、一つ一つに隙があったなというのは感じたので、チームとしてはまとまりがまだなかったかなと思います。

――夏の間、特に重点を置いて行った練習はなんですか

岩本 春のシーズンが終わってからすぐ、一から鍛え直すという意味で強化期間という期間を設けていました。接戦をものにするためには一つ一つのプレーを怠らない、そのための準備というものをしっかりしようということで、これといった練習ではなく、打つ方も守る方も全てにおいてワンプレーの完成度を高めていく。そのワンプレーで負けるんだぞという緊張感を持つようにして一つ一つの練習に取り組んでいました。

蛭間 自分はトレーニングを強化して体を一から作ることができました。そこの部分では、個人としては鍛えられたので良かったかなと思います。チームとしてはミーティングをする回数を増やしたので、1年生から4年生までのコミュニケーションをしっかり図ることができています。チームとしてのコミュニケーションを取るということが多くなったので、まとまりというのは出てきたのではないかと思います。

――春に比べて成長したと感じる部分はどんなところですか

岩本 勝ちにこだわったプレーや練習を最初は意識しながらやっていましたが、それが浸透してきました。一つの練習、バッティングの一球でも今はしっかり意図を持ったバッティング練習をしようと、守備練習もそうですがその辺が変わってきたなと思います。

蛭間 一球一球、一つ一つのプレーに対しての熱さというのは出てきたかなと思います。何とかしてやろうというような気持ちです。

――ここからは岩本選手に伺います。現在の調子はいかがですか

岩本 春が終わってから、夏のオープン戦はチームとしてはすごく良い雰囲気でやれています。1つの要因はバッテリーがしっかりゲームを作れている試合というのが多い点です。自分がリードしている中で、春は結構点をとられて負けた試合が多かったのですが、オープン戦はバッテリーも春の反省を生かしながら、自分もリードできていて、キャッチャーという部分では引っ張れているかなと思います。打つ方はあまり安打が出ていないので、もう少し頑張らないといけないなと思っています。

――昨季、チームは5位という結果に終わりました。捕手として、または副将として悔いが残る試合はありましたか

岩本 負けたほとんどの試合は悔しかったのですが、スタートダッシュが上手くいかず、その後チームを立て直せなかったというところで、開幕カードの東大戦は2戦とも勝って勢いに乗っていきたかったと思うところです。また、バッテリーとしても粘り切れない試合が多く、力不足を痛感しました。

――春季リーグ戦が終わってからチームで一貫して取り組んできたことはありますか

岩本 春の5位という結果を素直に受け止めて、自分たちは弱いということをまず一度再確認してから、一人一人がどうすれば勝てるのだろうか、何をしなければいけないのかを明確にしてグランドに立つようにしました。それほど変わった練習をしたというよりは、神宮の舞台を想定してしっかり準備を行うというところにこだわりを置いてやっていました。

――夏季オープン戦の桐蔭横浜大戦では逆方向への本塁打を放ちました。打席の中では広角に打つ意識を常に持っているのでしょうか

岩本 基本的にはセンターを中心に打つことを意識しているのですが、やはり内外の厳しいところを突かれるので、なんでもかんでも引っ張りや流すのではなく、広角に打ち分けるというところは打撃練習で特に意識しています。その中で逆方向に本塁打を打つというのが一つの目標としてあり、桐蔭横浜大との試合では飛距離も出たので、あの本塁打は一つの自信となっています。

――先程の質問では、夏季オープン戦で投手陣に手応えを感じていると話しておりましたが、ここまでの戦いぶりを振り返っていかがでしょうか

岩本 まずは一球一球、意図を持った球を投げさせることをテーマに持っています。やはり打たれる球というのは投手と捕手が思っている球と意思疎通ができていなかった球、バッテリーの考えが安易に(ストライクを)取りにいった球がほとんどなので、打たれないためにここはボールでいい、ここは腕を振って投げろなど、常に意図を持って投げることを投手には意識させています。また、自分としてはジェスチャーを大きくしながら意図を明確に伝えることをテーマにしてやっていて、上手くいった時は点を取られなかったので、そういった意識をリーグ戦では大事にしていこうと思います。

――現在のチームにおける一番の課題はどこにあると感じていますか

岩本 監督さんも常々おっしゃられているのですが、どれだけプレーに入る前に準備ができているか、いろいろな想定をして打席なり守備に立っているか、というところだと思います。やはり隙があり、自分が準備、想定していなかったものが起きてしまうとミスにつながりやすいので、約3時間の試合の中で集中力を切らさずにやるというところはまだまだ詰められるところかなと思います。

――10月11日にはドラフト会議が開催されます。現在の心境を教えてください

岩本 自分の目標にしていた舞台に行けるかが決まる大事なドラフトなので、まずは(リーグ戦に)勝つために自分がやるべきことをやっていきたいです。それが一番大事だと感じますし、結果としていい方向に行くと思っています。

――プロの舞台への特別な思いなどはありますか

岩本 幼いころから野球を続ける中で一つの夢であり目標としてきた場所なので、自分もその舞台でプレーしたいと思います。また、小学生から今まで野球を通して学びながら人間形成ができてきたというのがあるので、自分もプロ野球選手になって多くの人に良い影響を与える選手になりたいなと思っています。

「3割5分以上、本塁打5本以上、15打点以上がベスト」(蛭間)

昨春の明大1回戦で先制3ランを放つ蛭間 【早稲田スポーツ新聞会】

――ここからは蛭間選手にお尋ねします。春の早慶戦後のインタビューでは、目標を明確にして頑張りたいというお話を頂きましたが、具体的にどんな目標を立てて取り組みましたか

蛭間 春のリーグ戦の最初も途中も、やり込むという部分ができなかったので、この夏は三冠王を目指して打ち込みなどをとにかくやり込もうと思っていました。しかしそれが一切できてないので、正直不安しかないです。バッティングなども全然できていないので、これからどうなるかは分からないです。バッティングはできなくても他にできることはたくさんあると思うので、できることを見つめ直して強化できたので、そこの部分ではプラスになったかなと思います。

――三冠王以外に、具体的な数字などの個人目標はありますか

蛭間 春はあまり納得のいく結果ではなかったので、明確な数字でいうと3割5分以上、本塁打5本以上、15打点以上がベストかなと思います。

――春はベストナインに選ばれる活躍でしたが、その点はどうお考えですか

蛭間 自分としてはあまり納得いっていないです。もっと打てたしもっと結果を出せたという部分があると思います。ベストナインというのは最後についてくることなので、チームの勝利のためにやった結果が、最後ベストナインなどのタイトルだと思います。まずはチームを勝たせられるような一打を打てるようにやっていきたいと思います。

――チーム内でのご自身の役割はどのようなところだと思いますか。

蛭間 チャンスでの一本と、チームを盛り上げる、活気づけるという役割があると思います。

――外野のレギュラー争いも激しいかと思いますが、どのように感じていますか

蛭間 特に激しいとかは考えていなくて、自分のやるべきことを一つ一つしっかりとやっていこうと思っています。特にそういうことは意識していないです。

――蛭間選手にとって4年生の皆さんはどのような存在ですか

蛭間 とても優しく、こんな自分を受け入れてくれる先輩方です。先輩方とやる野球もこの秋で最後になってしまうので、感謝の気持ちをプレーや姿、結果で恩返ししたいと思います。

“ひるがんコンビ”としての集大成

昨春の明大1回戦で2ラン本塁打を放つ岩本 【早稲田スポーツ新聞会】

――ここからはプライベートでの交遊についてお聞きしたいのですが、まずはお互いの印象を教えてください

岩本 後輩の中でもすごく仲が良いと思っていて、可愛らしい存在です。先輩に対しての気遣いもできるので、そういった面ではしっかりしているなと思います。お互いにいろいろな打撃の話や練習をする中で高めあっていける存在ですし、グランドに立てばチームを救ってくれるようなプレーをしてくれるので、本当に頼りがいのある後輩だなと感じています。

蛭間 お兄ちゃんみたいな存在です。ガンさんが長男で自分は一個下なので、ガンさんの次男坊ですね。一緒にトレーニングや打撃練習を行い、お互いに高めあって練習をしています。自分が1年生の頃から共に練習をしていて、上級生になったら“ひるがんコンビ”で3番、4番を打とうねというのは最初から言っていました。この秋は“ひるがんコンビ“の集大成なので、兄弟で一発打ちたいと思います。

――具体的にはどういったアドバイスを送っていますか

岩本 携帯で打撃の映像を取って、良い感覚を得たらそれを蛭間と共有していて、蛭間も自分はこう思っていますと意見を言ってくれます。打撃フォームもそうですし、打席の際の考え方や客観的に見ていろいろとアドバイスをくれるので、困った時にはいつも救われるような助言をもらっています。

蛭間 ガンさんの良い時や悪い時を知っているので、いろいろとお互いでアドバイスを出し合っています。特に岩本さんの場合はゴリゴリマッチョでゴリラみたいな感じなので、力んでいる時にはゴリってるよと言ったり、お互いにヨガをやるので、ヨガをイメージしてリラックスして打てば力が抜けて大丈夫だよと言ったりしています。

――2人で遊びに行ったエピソードなどはありますか

岩本 コロナの前であればよくご飯を食べに行っていたのですが、最近は自粛でそういったことはできないので、寮にいる間の食堂や風呂場など、共有スペースでの会話はいつもしています。最近はそういったエピソードはないですが、コロナが収束したらまたどこかに行きたいなとは思っています。

――“ひるがんコンビ”としての活躍が期待させるお二人ですが、岩本選手が蛭間選手に期待するところはどんなところですか

岩本 苦しい場面で打ってくれるので、打撃は一番期待していますね。とはいえ、他の大学も研究して厳しいところを突いてくると思うので、それをはね返す打撃が見たいなと思います。また、チームのムードメーカーでもあるので、チームが落ち込んでいる時には持ち前の元気でベンチを盛り上げてほしいなと思います。

――逆に蛭間選手が岩本選手に期待したいのはどんなところでしょうか

蛭間 やはりチームの4番で守備の要なので、背負うものは大きいと思います。ですが、そういった重圧の中でも投手陣と打線を引っ張るチームの柱なので、守備の方では岩本さんに全てを任して打撃の方ではガンさんに背負わせすぎず、ひるがんコンビで打ちたいと思います。

――他大にここは負けないぞという早稲田の強みを教えてください

岩本 スローガンを『一球入魂』としているので、一球に対しての思いはどこの大学にも引けを取らないと考えています。何とかしてやるという気持ちを一球に込める、その部分では絶対に負けたくないなと思いますし、負けないと思っています。

蛭間 自分は熱い気持ちと徹底ですかね。やはり一人一人、熱い気持ちを持っている人が早稲田には多いと思いますし、絶対これをやってやるという徹底、野球でも私生活でもみんな言われたことをしっかりやっています。まだチームが完成したわけではないのですが、そうした状況でも熱い気持ちと徹底というところはできていて、負けていないかなと思います。

――秋季リーグ戦まで2週間を切りましたが、意気込みを教えてください

岩本 自分にとってはラストシーズンになるので、何が何でも優勝したいという気持ちはありますし、春に味わった悔しい思いをすべてぶつけて開幕戦に勝ち、スタートダッシュを切れるようにしたいです。ここからあと2週間、準備を行っていきたいと思いますし、あと3ケ月で終わってしまうので後輩たちには何か一つでも良いものを残したいと思います。

蛭間 4年生とプレーできるのもこれで最後のシーズンとなってしまうので、とても悲しい気持ちはあるのですが、とにかくチームのために、そして4年生のためにできることを120パーセントの力で行い、目の前の相手に対して積極的に攻めていきたいと思います。

――ありがとうございました!

◆岩本久重(いわもと・ひさしげ)
1999(平11)年4月21日生まれ。180センチ、90キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部4年。捕手。右投右打。昨季は打率.303、3本塁打、8打点でチーム三冠王となった岩本副将。賜杯奪還を果たすべく、今秋も扇の要として攻守での躍動に期待しましょう!

◆蛭間拓哉(ひるま・たくや)
2000(平12)年9月8日生まれ。176センチ、84キロ。埼玉・浦和学院高出身。スポーツ科学部3年。外野手。左投左打。インタビューでは岩本選手を慕っていることがよく伝わってきました。“ひるがんコンビ”の集大成であるこの秋季リーグ戦、チームを勝利に導く一打が楽しみです!
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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