実はかなりの好成績を残す「マクリ」のデータを分析
【2017/5/28 東京10R 東京優駿(日本ダービー)(G1) 1着 12番 レイデオロ】
脚質別成績
■表1 【脚質別成績】
人気別成績
■表2 【人気別成績】
競馬場別成績
■表3 【競馬場別成績】
まずは芝から。好走率がもっとも高いのは札幌で、小倉、函館も勝率20%以上、複勝率50%以上を記録している。そして、これら3場は最後の直線の長さがいずれも300m未満と短いことで共通している。逆に、もっとも好走率が低い東京は直線が長い(525.9m)ことで有名。また、内回り・外回りの設定がある競馬場でも、阪神、京都では直線がより長い外回りの成績が振るわず、日本最長の直線(658.7m)を持つ新潟の外回りではそもそも2例のみと、マクリを打つこと自体が難しい。このデータから読み取れる通り、芝コースにおけるマクリの成否は直線の長さとの関連性が高く、基本的には直線が短いコースでマクリが決まりやすいようだ。
ところがダートでは、もっとも直線が短い函館の勝率が唯一10%未満で、直線の長さとの関連性は芝ほどではないようだ。目を引くのは小倉、京都、阪神という関西圏3場の成績が優秀なことで、騎乗するジョッキーなどの影響もあるのかもしれない。
コース別成績(勝率順)
■表4 【コース別成績(勝率順)】
表4はコース別成績。勝率順になっているが、集計期間内に20走以上かつ勝率20%以上を掲載の基準としたため、いずれも基本的にはマクリが決まりやすいコースと言える。トップとなった札幌芝1800mの勝率37.0%、複勝率70.4%はどちらも飛び抜けた数字。重賞の札幌2歳Sでマクリがしばしば決まっており、17年にダブルシャープが7番人気3着、18年にニシノデイジーが6番人気1着、20年にユーバーレーベンが5番人気2着と、過去5年で3頭が好走を果たした。なお、芝・ダートを問わず1500m以下のコースはひとつも入っていない。短距離戦ではレース前半から速いペースになることも多く、一気にポジションを上げていくのが難しいからだと考えられる。
騎手別成績
■表5 【騎手別成績】
表5は騎手別成績。上半分はマクリの回数が多かった10騎手、下半分は勝率順(20走以上)の上位10騎手を表している。回数が76回と最多で、勝率順でも2位となっているのがM・デムーロ騎手。スワーヴリチャードに騎乗した18年大阪杯では、前半15番手から向こう正面で一気にポジションを上げると3コーナーで早くも先頭に並びかけ、最後の直線でも押し切って同馬にG1初勝利をもたらした。C・ルメール騎手は回数では9番目だが勝率はダントツで、さすがのひと言。日本人騎手では岩田康誠騎手、藤岡佑介騎手、川田将雅騎手、横山和生騎手、戸崎圭太騎手、北村友一騎手が勝率30%弱で近いところに並ぶ。この6人中4人は関西所属、2人は地方出身(岩田康騎手が重複)で、どちらでもないのは横山和生騎手だけというのはなかなか興味深い。
種牡馬別成績(着別度数順)
■表6 【種牡馬別成績(着別度数順)】
ダートでは、なんといってもカジノドライヴ。特定の産駒だけでなく、19年みやこSのヴェンジェンスなど異なる産駒9頭で全9勝を挙げているのは価値が高く、勝率などの数値もすさまじい。2位のエンパイアメーカー以下の種牡馬も優秀な成績を収めており、これらの産駒のマクリにも大いに期待できる。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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