末脚比べを制する馬は!? 新潟2歳Sを分析!

JRA-VAN
チーム・協会

【2021/6/19 東京5R 新馬戦 1着 11番 アライバル】

今週日曜日に新潟競馬場で新潟2歳Sが行われる。2015年はロードクエスト、18年はケイデンスコールが優勝しているレースだ。このレースは新潟外回りの長い直線を使った末脚比べが大きな見どころ。今年勝つのはどの馬か? いつものように過去のデータを使ってレースの傾向などを分析する。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

新潟2歳S出走馬の前走距離別成績(過去10年)

■表1 【新潟2歳S出走馬の前走距離別成績(過去10年)】

表1は新潟2歳S出走馬の前走距離別成績(過去10年、以下同様)。前走1600m組が7勝2着3回3着5回で、勝率14.6%・連対率20.8%・複勝率31.3%と最も優秀だった。そして前走1400m組が3勝2着2回3着1回という成績。つまり勝ち馬はすべて前走1400mか1600m組から出ていることになる。また、2・3着馬も過半数が前走1400〜1600m組だった。前走1200m以下の組は不振。前走1800m組は未勝利だが、2着が4回あり連対率は15.4%と1600m組に次いで優秀だった。次からは前走1400〜1600m組にスポットをあてたデータを紹介していく。

前走1400〜1600m組の前走脚質・上がり別成績(過去10年)

■表2 【前走1400〜1600m組の前走脚質・上がり別成績(過去10年)】

表2は前走1400〜1600m組の前走脚質・上がり別成績。前走中団が6勝2着2回3着2着という好成績。後方は1勝だけだが、とにかくいい脚を使って差してきた馬がよく勝っていることを示している。前走上がり3ハロン1位だった馬が9勝2着3回3着3回、同2位だった馬が1勝2着2回3着3回という成績だ。前走上がり3位以下だった馬の好走は全くなかった。

前走1400〜1600m組の前走コース別成績(過去10年)

■表3 【前走1400〜1600m組の前走コース別成績(過去10年)】

表3は前走1400〜1600m組の前走コース別成績。前走新潟芝1600m組が5勝2着1回で勝率22.7%と、最も勝ち馬を出している。やはり今回(新潟2歳S)のコースをすでに経験している点は、大きな強みと言えそうだ。対照的に前走新潟1400m(内回り)組は全部で39頭出走がありながら、わずか1勝だった。新潟芝コースの最後の直線距離は内回り358.7mに対し、外回りが658.7mと300mも差がある。長い直線のコースを勝ち切っていることが、とても大事だ。

前走中京芝1400m組は、2勝2着2回3着1回で連対率33.3%・複勝率41.7%と非常に優秀な成績だ。一方、前走中京芝1600mは、1勝3着1回で勝率・連対率9.1%はやや低い。ただ、中京芝は1400mも1600mも最後の直線距離(412.5m)は同じなので、1600m組が良くない理由はわからない。例えば、東京芝コースの最後の直線距離は525.9mだが、1600m組と1400m組を比較した場合は、明らかに前者の方が成績はいい。前走左回り・芝1600m組は、総じて有利と認識してみたい。

前走1400〜1600m組の人気別成績(過去10年)

■表4 【前走1400〜1600m組の人気別成績(過去10年)】

表4は前走1400〜1600m組の人気別成績。1番人気と3番人気がそれぞれ4勝、2番人気と4番人気がそれぞれ1勝と、全10頭の勝ち馬は4番人気以内だった。また、2着に5番人気が1頭、3着に6〜9番人気が4頭。10番人気以下の好走はなかった。基本的に前評判が高い馬ほど期待できるという傾向だ。

【結論】

それでは今年の新潟2歳Sを占っていくことにする。出走予定馬は表5の通りだ。

今年の新潟2歳S出走予定馬

■表5 【今年の新潟2歳S出走予定馬】

まず前走1400〜1600mに出走していた馬をマークする。未出走の2頭とウインピクシス、グランドライン、サイードを除く9頭が対象となった。この9頭の中で前走上がり3ハロン1位だったのは、クラウンドマジック、スタニングローズ。同2位だったのはアライバル、オタルエバー、キミワクイーン、コムストックロード、セリフォスだった。さらにこの中で前走左回り・芝1600m組に絞り込むと、アライバル、オタルエバー、クラウンドマジック、セリフォスが該当。今回はこの4頭に注目してみたい。

特にアライバルはC.ルメール騎手が騎乗予定なので、上位人気に支持される可能性が高そうだ。デビュー戦の東京芝1600mは稍重馬場で時計はかかったが、単勝1.8倍の人気に応えて快勝した。このレースで2着に下したプルパレイは、次走新潟芝1600mの未勝利戦を1分33秒3(良)の2歳レコードで制している。また、母クルミナルは15年の桜花賞で2着。半姉ククナ(父キングカメハメハ)は20年アルテミスS2着と、血統的にマイル重賞で活躍が期待できるというのもセールスポイントだ。

オタルエバーはデビュー戦の新潟芝1600mを4馬身差で完勝。逃げて上がり3ハロン2位をマークするという内容で、後続を寄せ付けなかった。ただ、今回も逃げるとは限らないし、もしかすると差しに回る可能性だってある。コース経験を生かし、上位争いに食い込めるかに注目だ。


文:小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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