廣瀬俊朗コラム「『東京 2020 オリンピック』のセブンズを見て」

RUGGERS(ラガーズ)
チーム・協会

【廣瀬俊朗】

RUGGERSオリジナルコラム

筆:廣瀬俊朗
1981年生まれ、大阪府吹田市出身
元ラグビー日本代表キャプテン
株式会社HiRAKU 代表取締役
NPO法人 Doooooooo 理事
スクラム・ジャパン・プログラムアンバサダー
 
 開催も危ぶまれた東京オリンピックですが、アスリートの真摯な姿を見て、心が動かされていた人も多いのではないかと思います。大人の場合は色々な事情もあるので全員が応援しているという訳ではないですが、子どもの様子を見ていると、スポーツにのめり込んでいて、良いレガシーだなと感じています。
 今回、新種目の競技であるスケートボードやサーフィンを見ると、若い選手が活躍していてとても勇気づけられました。オリンピックの重圧や緊張をどこかに置いてきて、プレーする喜びや自分のパフォーマンスに集中している様子が見え、とても新鮮でカッコ良いなと思いました。一方で柔道のようなこれまでの歴史を背負って、戦う。その様子もまた別の意味でカッコ良くて、素敵に感じました。

 オリンピックでは長らくラグビーが実施されていませんでしたが、前回のリオデジャネイロオリンピックから久しぶりに7人制(セブンズ)として復活しました。リオデジャネイロオリンピックで、日本代表はあのニュージーランドに勝つなど活躍を見せて4位という成績でした。今回は2019年ワールドカップの影響もあって、注目される中での試合になったのではないかと思います。
 前回と違って男子からスタート。初戦の対戦相手は前回大会優勝国であるフィジーで、その一戦が大事と藤田慶和選手も言っていたので、とても注目していました。実際に試合が始まるとフィジーの出来もあまり良くないとわかりました。キャプテンの松井千士選手が独走してトライを取って、日本がリードして前半を終えました。後半の最初には副島亀里選手がキックオフを見事にキャッチしてそのままトライし、19-12にリードを広げました。勝つポジションに入り、これはイケる!!と思いましたが、単純なミスから逆転されることに。それでも最後にチャンスがやってきました。しかも相手はシンビンで一人少ない。「このラインアウトを取ってボールをキープできれば勝てる!」と思ったらラインアウトで失敗して、惜しくも敗戦となってしまいました。勝てるチャンスを逃したことで、この影響が悪い方に出なければ良いが、、、と思っていました。しかし、同じ日の夕方に開催されたイギリス戦、完敗でした。不安に思っていたことが当たってしまいました。そこから少しチームとしても難しい状況になっていったように思います。
 翌日の順位決定戦でもなかなか思い通りにいかない試合が続いて、いよいよ11-12位決定戦になりました。対戦相手は韓国。最後は勝ち切ってなんとか1勝してくれました。2024年のパリオリンピックに繋がる試合になりました。

 一方、女子はどうだったのか。女子の方がフィジカルの差が如実に表れるように思い、なかなか苦しい試合になるのではないかと思いました。実際厳しい試合が続きましたが、選手皆が真面目に一生懸命プレーする様子は本当に素晴らしくて、感動しました。だからこそ、このレベルで勝っていくには、選手の努力だけではなくて、戦略を作って、女子セブンズだけでなく女子ラグビーそのものをどの方向に持っていくのかを考える必要があるのではないかと思いました。次回のパリオリンピックに出るためには中国にも勝つことが求められる。今後のラグビー協会の指針が気になりますね!

 そして、オリンピックが終われば、すぐにパラリンピックが始まります。我らが車いすラグビーはすぐにスタートします。テレビを通して、めっちゃ応援しようと思っていますし、まだ見たことないラグビーファンは是非とも注目していただければ幸いです。
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著者プロフィール

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