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THE SURF NEWS / Yasuma Miura

【東京五輪サーフィン】競技最終日レポート 初代金イタロ&カリッサ!五十嵐銀、都筑銅

THE SURF NEWS「サーフニュース」

7月27日、東京オリンピックのサーフィン競技最終日が行われ、史上初の五輪サーフィンメダリストが決定した。

ブラジルのイタロ・フェレイラと、アメリカのカリッサ・ムーアが金メダルを獲得。日本の五十嵐カノアが男子銀、都筑有夢路が女子銅を手にし、大原洋人は5位タイ、前田マヒナは9位タイと世界の強豪相手に健闘した。

2016年に東京オリンピックの追加種目に決まってから5年。誰もが予想をしていなかった困難を乗り越え、2021年に無観客ながら開催された東京五輪では多くのドラマが生まれた。

前倒しで行われた決勝

当初は7月25日〜7月28日の4日間(+7月29日〜8月1日が予備日に設定されていた)を使用して、大会が行われるスケジュールが組まれていたが、ゆっくりと東海上を北上した台風8号の進路を考慮して1日前倒しで大会3日目の27日に最終日を迎えた。

開幕直後の7月25日時点では、運営関係者も「火曜日(27日)は確実にオフ、月曜日(26日)もオフになるかもしれない」と話しており、関係者にとっても予想外の前倒し変更となった。

7月27日の最終日は、朝7時に開始し、QF、SF、3位決定戦、決勝と、夕方まで休みなく進行したマラソンデイ。

会場の志田下はヘッドオーバーサイズの強いオンショアで難しく、ハードなコンディション。
大会初日、2日目に関してもハードな波でサーフィンの技術はもちろん、いかに体力と集中力を維持し続けていくのかも重要なトライアスロンのような大会となった。

その中で最終日に残った男女8名ずつの大半はCT選手や元CT選手。日本代表「波乗りジャパン」では五十嵐カノア、大原洋人、都筑有夢路が残るホスト国として堂々の成績。

思えば2018年に伊良湖で開催された『2018 Urban Research ISA World Surfing Games』で初の金メダルを獲得して以来、ISAでは2019年に団体銅メダル、2021年に団体銀メダルと日本は世界の舞台で著しい活躍を見せている。

すでにCTの舞台で活躍している五十嵐カノア、都筑有夢路。そして、前田マヒナ、大原洋人が先頭に立ち、日本のサーフィンが発展を続けているのだ。

視察に訪れたIOCバッハ会長(左)とISA会長のフェルナンド・アギーレ(右) 視察に訪れたIOCバッハ会長(左)とISA会長のフェルナンド・アギーレ(右) Photo: TSN / Kenji Iida

五十嵐カノアの銀メダル

最終日、SFの土壇場でメイクしたフルローテーションエアーでブラジル代表のガブリエル・メディナを倒した五十嵐カノア。このヒートでのトータルスコア17.00ptは、大会を通して最高点となった。

遂に迎えたファイナルでは、同じブラジル代表のイタロ・フェレイラに敗北。イタロがチームメイトとCTのように興奮してビーチ凱旋をする中、波打ち際で一人泣き崩れていた姿は、彼がこの舞台にどれほどの想いをかけていたかを表しているだろう。

次のパリオリンピックはタヒチでの開催が決定しており、彼もそこでリペンジをしたいと話している。

「こんなに大切なオリンピックのファイナルで自分の戦略が合っていなかったのが悔しい。この4年の全部の準備がそこで集まった。悔しい気持ちもあったけどありがたいこともいっぱい考えた。今回カノアを見てサーフィンしたくなった人がいればそれだけで目標成功。パリオリンピックにまた行きたいと思います。」ー五十嵐カノア

Photo: THE SURF NEWS/ Kenji Iida

Photo: THE SURF NEWS/ Kenji Iida

決勝終了後、泣き崩れた五十嵐カノア 決勝終了後、泣き崩れた五十嵐カノア Photo: THE SURF NEWS/ Kenji Iida

都筑有夢路の銅メダル

QFでは『2021 ISAワールドサーフィンゲームス』優勝者でもあるCT選手、サリー・フィッツギボンズを倒してSFに進出。

SFでは金メダリストになったアメリカのカリッサ・ムーアを相手に、0.57の僅差まで迫る大健闘。3位決定戦では、同じくアメリカ代表のキャロライン・マークスと対戦し、序盤から積極的に波に乗った都筑有夢路が終始ヒートをリードして見事勝利。史上初の女子銅メダルを日本にもたらした。

「キャロラインに勝てて素直に嬉しい。今も信じられない気持ち。(決め手となった)5.00ptのライディングは気合で乗った。波は厳しいコンディションだったけど、台風は沢山経験しているので、そのなかでいつも頑張ってきた成果がでた。銅メダルは日本の皆、なかでも家族に一番報告したいです。」都筑有夢路

Photo: THE SURF NEWS / Yasuma Miura

大原洋人の健闘

準々決勝でイタロ・フェレイラと対戦した大原洋人。ヒート開始早々、イタロは高々としたエアリバースのフルローテーションをメイクし、大会通してシングルハイエストとなる9.73ptをマーク。

大原洋人は1本目でチューブライディングで会場にいた関係者らを沸かせ、その後も着実なターンで応戦するも、コンビネーションスコアのシチュエーションに追い込まれた。

残り30秒を切ってテイクオフした最後の一本で、力強い2マニューバーを描き6.73ptとベストスコアを更新。逆転の望みはないと分かりながらも、自身のベストパフォーマンスを披露しファンの応援に応えた。

「素直に悔しい。相手のスコアに匹敵するようなサーフィンができなかった。彼がやったエアーとか、普段自分はここでサーフィンしていて、そんなにトライしないと思う。こういう波でも、そんな技をできるようにしないとなと思った。あのまま終わっていたら、ふがいない結果なので、最後は自分のサーフィンを少しでも見せられたらなと思って乗りました。
ここでオリンピックが開催できるように頑張ってくれた地元の人とか、出場するために、出場してからも応援してくれた人に感謝したいです。そういう人達の言葉があったからこそ、もっともっと良い結果を出したいと思えたし、自分のためというよりは、やっぱり応援してくれている人達のために頑張りたいという思いがあったので、本当にありがとうございます」大原洋人

Photo: THE SURF NEWS / Kenji Iida

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イタロ・フェレイラの金メダル物語

Photo: THE SURF NEWS / Kenji Iida

2019年宮崎でのWSGで遅刻から優勝という「イタロ劇」を演じたブラジル代表のイタロ・フェレイラがファイナルでカノアを相手に凄まじいライディングをして金メダルを獲得。
CT、WSG、オリンピックと3つのタイトルを手に入れた初めてのサーファーとなった。

「これまでの成績は全て自分にとって重要なものだったけど、このオリンピック金メダルに関しては史上初ということで最も意味があるものだね。全てのサーファーがここで歴史を作り、全てのサーファーがこの金メダルの一部なんだよ。自分にとってこのメダルには物語がある。子供の頃、貧しかった自分はクーラーボックスの蓋でサーフィンを始めたんだ。それから初めて本物のサーフボードを手に入れて優勝した。自分はこの育った環境によってスポーツとしての情熱を持っている。オリンピックは人生を変えることが出来ると心から信じているよ。メダリストだけではなく、この歴史的なイベントに出場した全てのサーファーにとってね」イタロ・フェレイラ

WSGでの「イタロ劇」からオリンピックの「金メダル物語」へ。
ブラジルではサッカーの次にサーフィンが人気スポーツと言われているが、これでまた夢を持ってサーフィンを始める子供が増えることだろう。

Photo: THE SURF NEWS / Yasuma Miura

デューク・カハナモクの意思を受け継いだカリッサ

女子金メダルは4度のワールドチャンピオンに輝き、今シーズンのCTでも圧倒的な成績でトップに立っているアメリカ代表のカリッサ・ムーア。
このオリンピックでも強さを見せ、ファイナルでは南アフリカ代表のビアンカ・ブイテンダグを相手に彼女のシグネチャームーブと言えるパワフルなレイバックでスコアを出して初代女王に輝いた。

「このイベントの規模をとても大きく感じたわ。これまでサーフィンを見たことがなかった多くの人たちに、このスポーツを伝えることができたのは特別なことよ。ハワイアンとしては、デューク・カハナモクの夢が101年の時を経て叶い、サーフィンがオリンピック競技になったことは特別なこと。サーフィンがこのようなレベルで評価されるのは大きな意味があるわ」カリッサ・ムーア

Photo: THE SURF NEWS / Yasuma Miura

五輪水泳の金メダリストであり、現代サーフィンの父と呼ばれるデューク・カハナモクが1912年のストックホルム大会の表彰台で「オリンピックにサーフィンを取り入れて欲しい」と初めて表明し、オリンピックサーフィンの種を蒔いてから1世紀以上。
そのデュークの夢が叶い、同じハワイ出身のカリッサが初の金メダルを獲得したのは特別なことです。
また、今回来日して会場にも足を運んだISA会長のフェルナンド・アギーレ氏もリーフ・フットウェアの創業者の傍ら、オリンピックにサーフィンをという夢を起業家としての視点から追い続け、ようやく達成した立役者の一人。
彼がいなければオリンピック競技としてのサーフィンは今大会になかったのかもしれません。

「デューク・カハナモクは私達のアロハ大使よ。最近、彼のドキュメンタリーを見て彼の人生やいかに無条件に愛と優しさをもって人々に接していたかを知ることが出来たの。彼は世界各地にサーフィンを広め、オリンピックでサーフィンを披露することを夢見ていたのよ。ハワイアンとして彼が行ってきたことを知り、世界中を旅して同じアロハ・スピリットを共有することを私もしていきたい。デュークの夢を実現するために今日ここに集まってくれたISAの皆んなとフェルナンドに心から感謝したい」

Photo: THE SURF NEWS / Kenji Iida

ビアンカの引退発表

この五輪がセミリタイア前の最後の試合となったジュリアン・ウィルソンに続き、銀メダルに輝いた南アフリカ代表のビアンカ・ブイテンダグ(27歳)が表彰式後の記者会見で、引退を発表した。

「私が引退するという噂は事実です。今回が私にとって最後の大会になりました。私は、今までいろんな機会を捉えて、アスリートとして試合に参加してきました。自分自身や国に対してもコミットして、これがアスリート人生の終わりを告げる良い機会になると思いました。引退をするのは個人的な理由ですが、第二の人生に移っていきたいと思います。」ビアンカ・ブイテンダグ

Photo: THE SURF NEWS / Yasuma Miura

東京2020オリンピック サーフィン競技 結果

男子
金:イタロ・フェレイラ(BRA)
銀:五十嵐カノア(JPN)
銅:オーウェン・ライト(AUS)

女子
金:カリッサ・ムーア(USA)
銀:ビアンカ・ブイテンダグ(RSA)
銅:都筑有夢路(JPN)

大会シングルハイエスト
男子:イタロ・フェレイラ(BRA) 9.73pt
女子:キャロライン・マークス(USA) 8.00pt

大会ヒートハイエスト
男子:五十嵐カノア(JPN) 17.00pt
女子:キャロライン・マークス(USA) 15.33pt

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