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(C)Getty Images

東京五輪・女子陸上競技展望:日本のメダル獲得は?世界記録の誕生はあるか

オリンピックチャンネル

1年の延期を経て開幕したTokyo 2020(東京五輪)。7月30日からは、いよいよ五輪の花形競技、陸上競技がスタートする。実施されるのは、男子24、女子23、男女混合1の全48種目。より速く、より高く、より遠くへ――。

世界中から集まったトップアスリートたちが、頂点を目指し熱戦を繰り広げる。ここでは、日本勢の活躍が期待される種目とともに、歴史に残る戦いやパフォーマンスが飛び出しそうな種目を展望していく。

◆日本の活躍が期待される競技は?

日本代表選手でまず入賞の期待がかかるのは、やり投の若きエース北口榛花。2019年に樹立した日本記録(66m00)をオリンピック本番でマークすることができれば上位入賞、さらにはメダルに手が届く可能性もある。2019年ドーハ世界選手権の予選で、わずか6cm届かず決勝進出を逃した悔しさを東京で晴らしたい。課題は予選・決勝ともに最初の3回の試技で、まず「この1本」という投てきを出すこと。これがクリアできれば、上位争いに絡むことも夢ではない。

1500mが2選手、5000mが3選手、10000mが3選手と日本から多数出場する中長距離種目では、まず10000mの新谷仁美の走りに注目したい。9位となった2012年ロンドン大会以来のオリンピック出場。世界選手権では2013年モスクワ大会では、ラスト1周を目前とするところまで先頭を引っ張り5位に入賞している。いったん現役から退いたが、5年のブランクを経て復帰。10000mでは30分20秒44(日本記録)まで記録を縮めて、世界に迫ろうとしている。10000mは今季、世界記録が2回更新されるなど非常に水準が高くなっており厳しい戦いになることが予想される。序盤から速いペースで押し続けていけることを強みとする新谷は、決勝レースでどこまでリードを奪えるかでメダルも見えてくる。“大逃げ”を打つ新谷の爆走を、私たちは息を詰めて見守ることになるだろう。

また、1500mと5000mの2種目に出場する田中希実も見逃せない存在。5000mでは、2019年ドーハ世界選手権で決勝進出を果たしている。5000mは参加標準記録を突破、1500mはワールドランキングの順位による代表入りとなったが、代表確定後も7月10日に3000mを8分40秒84で走って自身の日本記録を更新した。その1週間後には、1500mで五輪参加標準記録(4分04秒20)を上回る4分04秒08をマークし、この種目でも自身の日本記録を塗り替える快進撃を続けている。オリンピックでは、初日に行われる5000m予選を通過した場合は、大会4日目の8月2日は、午前に1500mの予選を走ったあと、同日夜の5000m決勝を迎えることになる。一歩も引かない強気な走りと、スイッチが切り替わるようなスピードの切り替えを武器に、強豪揃いのアフリカ勢に挑む。

その他のトラック種目では近年急速にレベルアップが進んだ100mハードルに、寺田明日香、青木益未、木村文子の3選手が出場する。ともに12秒87の日本記録を今季出している寺田と青木は、高水準の競り合いのなかでさらに記録を塗り替えたい。気象条件にもよるが、準決勝で12秒7台の日本新をマークすることができれば、1964年東京大会80mハードルで5位となった依田郁子以来となる女子短距離種目史上2人目の決勝進出が見えてくる。

ロード種目では、2019年ドーハ世界選手権でダブル入賞を果たした20km競歩の岡田久美子(6位)と藤井菜々子(7位)が、虎視眈々とこれを上回る結果を狙っている。この種目では中国勢が強く、上位独占の可能性もある状況だが、自国開催を強みに、その一角を切り崩すようなレースを期待したい。

それは、2時間14分04秒の世界記録を持つB・コスゲイや、ドーハ世界選手権を制したR・チェプンゲティチを擁するケニア勢が強さを誇るマラソンにも、同じことがいえそうだ。2時間20分29秒の自己記録を持つ一山麻緒はスピードが持ち味だ。また、前田穂南と鈴木亜由子は真夏に開催される北海道マラソンでの優勝経験があり、暑さに左右されないレベルの高い走りが強みの選手。それぞれの武器を出しきる走りができれば、ともに上位争いに絡める力は十分に持っている。

◆コロナ禍でも世界のレベルは上昇

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な蔓延という危機に見舞われながらも、トップアスリートたちは歩みを止めることなく、各国で好記録をマークしている。女子10000mでは6月6日に、ドーハ世界選手権1500m・10000m2冠の実績を持つシファン・ハッサン(オランダ)が29分06秒82の世界記録をマークすると、その2日後には5000mで昨年世界記録(14分06秒62)を樹立しているレテセンベト・ギデイ(ケニア)が29分01秒03を叩き出し、ハッサンの記録をあっさりと更新してしまった。

東京ではこの2人による“直接対決”が実現する。なお、ギデイは10000mに絞って出場する意向を示している。対するハッサンは1500m・5000m・10000mの3種目でエントリーしているものの、どうやら今回は5000m・10000mでの挑戦になりそうだ。こうしたトップ陣の種目選択は、日本勢のラウンド突破や決勝での戦いに影響を及ぼす可能性もある。

世界記録という点では、女子400mハードルも興味深い戦いが繰り広げられそうだ。注目は前回のリオデジャネイロ大会優勝者で、2019年ドーハ世界選手権では52秒16の世界新記録をマークして優勝しているダリラ・ムハンマド(アメリカ)。そして、ここ数年で力を伸ばしていたシドニー・マクローリン(アメリカ)が今季一気にブレイクし、東京では主役候補の1人に。全米選手権を史上初の51秒台となる51秒90の世界新記録で制したのだ。マクローリンは21歳ながら、五輪はアメリカチーム最年少の16歳で臨んだリオ大会に続く2回目の出場。オリンピックでの雪辱を期すムハンマドとの激戦は必至で、さらなる世界新記録誕生も期待できそうだ。

フィールド種目では、女子三段跳のジュリマール・ロハス(ベネズエラ)が5月に世界記録(15m50)に7cmと迫る15m43をマークしている。ロハスに続く今季2位の選手は14m98で力の差は歴然。オリンピック初優勝は確実といえそうだが、もしかしたら2017年、2019年世界選手権に続く“世界大会3連覇”を、世界新記録で達成してしまうかもしれない。

また女子ハンマー投では、リオ五輪を82m29の世界新記録で制したA・ヴォダルチク(ポーランド)に代わって、アメリカ勢が台頭してきている。その筆頭がドーハ世界選手権金メダリストのディアナ・プライスだ。全米選手権では世界歴代2位となる80m31まで記録を伸ばしてきており、東京での大本命となった。決勝記録が2大会連続の世界新記録という結末も十分に起こりうる。

◆女子短距離はジャマイカとアメリカの争い

男子はアメリカが「スプリント王国」の名を奪還した感のある短距離だが、女子はジャマイカ勢が変わらずトップに立っている。その中核となっているのが、34歳のシェリー=アン・フレイザー・プライス。五輪では2008年、2012年に2連覇を果たしているほか、世界選手権では実に4回(2009年、2013年、2015年、2019年)の優勝経験を誇る選手。今季は6月に、世界歴代2位となる10秒63をマークして、自己記録を9年ぶりに更新して勢いを増している。2017年に第1子を出産している“ママさんアスリート”でもあり、美容サロンや美容製品の販売などを展開する実業家の顔も持つスーパーウーマンだ。その時々に応じた色合いの鮮やかなカラーを施した長い髪をなびかせ、序盤から弾丸のように飛び出していくパワフルな走りは見る者を元気にしてくれる。200m、4×100mリレーとの3冠なるかにも注目したい。

対するアメリカ勢では、ハーバード大出身の24歳、ガビー・トーマスが著しい進境を見せている。全米選手権200mでは世界歴代2位の21秒61をマーク。オリンピック、世界選手権ともに出場経験はなく、今回が初めての世界大会出場となる。百戦錬磨のベテランたちを相手に、どんな戦いを見せるか。

その他のアメリカ勢ではアリソン・フェリックスが400mで代表切符を獲得し、5大会連続出場を決めた。2003年パリ世界選手権に17歳で“デビュー”。以降、常に世界の第一線で活躍してきた。大阪で開催された2007年世界選手権では、200mと両リレーの3種目に優勝。当時、すらりとした身体から繰り出される優美な走りで、多くの日本人を魅了。結婚、2018年の出産を経て、今シーズンから本格的に競技復帰。「東京が最後」と明言している5回目の五輪は400mと、4×400mリレーに出場する。オリンピックではこれまで金6個を含めて9個のメダルを獲得しており、この大会で最大2つ増やすチャンスがある。特に最終種目の4×400mリレーはアメリカの4連覇が濃厚とみられているだけに、達成できれば、金メダルで有終の美を飾ることになるだろう。

文=児玉育美

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