東京五輪女子バレーボール展望:メダルを狙う日本は予選Rの結果が左右する

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【(C)Getty Images】

いよいよ始まるTokyo 2020(東京五輪)。さかのぼること57年、女子バレーボールが初めて正式採用された1964年の東京五輪では金メダルを獲得し、「東洋の魔女」は大会の主役に躍り出た。ここでは女子バレーボール日本代表・火の鳥NIPPONの「東京2020」での戦いを展望する。

■2度目の"東京五輪優勝"を目指す火の鳥NIPPON

再び世界の頂点を目指し、2017年に日本代表の指揮官となった中田久美監督は就任会見で、「(東京五輪では)伝説に残るチームをつくる」と明言した。6月30日には出場12選手も発表され、本番を迎えるのみ。日本女子バレー復活に向け、期待は高まるばかりだ。

東京五輪に出場するのは12チーム。厳しい予選を勝ち抜いてきた強豪揃いの中、まずは6チームずつに分かれて総当たりの予選ラウンドを戦い、その上位4チームが決勝へ進出する。プールAの日本は初戦(7月25日)でケニアと対戦。その後は中1日で日程を消化し、セルビア(27日)、ブラジル(29日)、韓国(31日)、ドミニカ共和国(8月2日)と戦う。

もちろん、目標は予選突破ではなくメダル獲得である以上、できるだけこの予選ラウンドを上位で勝ち抜けたい。プールBを戦うのは世界ランク1位の中国、東京五輪の前に行われたネーションズリーグを制したアメリカ、イタリア、トルコ、ロシアといった欧州の強豪とアルゼンチン。上位4チームに入るのも至難の業とも言うべき、強者がずらりと顔を揃える。

メダル獲得のために準決勝、決勝へコマを進めるためにはすべての戦いが負けられない一戦ではあるが、メダルへの鍵を握るのは準々決勝。その準々決勝に、1つでも上の順位で臨むために、重要になるのは第3戦のブラジルと第4戦の韓国だ。

日本は、4位に入ったネーションズリーグで両国と対戦。韓国にはストレートで勝利したものの、ブラジルには予選ラウンド、準決勝で敗れ2戦2敗だった。ブラジルはエースのガブリエラ・ギマラエスを軸に、かつて日本のNECでもプレーし、ロンドン五輪の金メダリストでもあるフェルナンダ・ガライ・ロドリゲスなど経験豊富なメンバーが揃い、勝ち方を知っているチーム。サーブ、ブロック、スパイクと、どのプレーにも穴がなく、勝機を見出すのは容易ではないが、準決勝でそのブラジルから日本は1セットを獲った。石川真佑、黒後愛のサーブで攻め、チャンスボールからの攻撃を島村春世、古賀紗理那が決めて連続得点を奪い、鉄壁を誇るブラジルの守備を突破。東京五輪でもターゲットを定めたサーブから主導権を握ることができれば、決して勝てない相手ではない。

■メダルの行方を左右するのは"日韓戦"か

第4戦の相手は韓国。ネーションズリーグで勝利しているが、警戒は必須だ。理由は2つ。まずはネーションズリーグからメンバーが代わった点。キム・ヒジン、キム・スジの両ベテランが復帰し、絶対エースのキム・ヨンギョンとともに豊富な経験を持つ選手が揃った。2つ目は、バレーボールに限らず日韓戦への「情熱」。2016年のリオデジャネイロ五輪でも、日本は予選リーグの初戦で韓国と対戦している。「絶対に落とせない初戦」を最も重要視し、当時の主将でエースの木村沙織を中心としたチームで臨むもセットカウント1-3で敗れ、準々決勝でアメリカにストレートで敗れた苦い経験がある。

どこが勝ってもおかしくない大会ではあるが、その中でも中国、セルビアは頭一つ抜けており、予選ラウンドの2戦目で当たるセルビア戦で勝利するのは至難の業。続くブラジル、韓国にも敗れると決勝トーナメント進出をかけ、追い込まれた状況で最終戦のドミニカ共和国との試合に臨まなければならないため、韓国には何としても勝ち、1つでも早く決勝トーナメント進出を決めたいところだ。

出場選手の中で五輪経験者は2012年のロンドン五輪でも主将を務め、東京五輪が自身4度目の五輪出場となる荒木絵里香と、リオ五輪にも出場した田代佳奈美、ミドルブロッカーの島村とわずかに3名しかいない。直近の5月末から6月に開催されたネーションズリーグで活躍した古賀紗理那、黒後、石川に対するマークは厚くなることが予想される。セッターの籾井あきにかかるプレッシャーも大きい中、どれだけ日本の強みを生かせるか。

そのためにもまずはサーブで攻めるのが絶対条件。新型コロナウイルスによる1年延期の間、サーブ力を磨いた石川、黒後、古賀の攻撃力に期待される。バレーボールではサーブ力のある選手が比較的多くサーブを打つ回数を増やすべく、最初のサーバーに誰を置くかもローテーションを考える上で1つのポイントとなる。

まずは初戦のケニア戦で、日本は誰のサーブから始めるのか。そして相手サーブから始まる場面で、セッターの籾井は誰にトスを上げるのか。「最初の1本」「最初の1点」に注目するのも、見どころと言えるだろう。
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