東京五輪男子バレーボール展望:最強の12名で13年ぶりの五輪に挑む

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【(C)Getty Images】

Tokyo 2020(東京五輪)に臨む男子バレーボール日本代表・龍神NIPPONは、2008年の北京大会以来3大会ぶりのオリンピック出場。五輪経験者は最年長の清水邦広のみ。主将の石川祐希は25歳、最年少の高橋藍は19歳と若いメンバーが揃うが、熾烈なメンバー争いの末に選ばれた最強の12名で、13年ぶりの五輪に挑む。

■強豪国との対戦を前に、序盤戦がカギ

1992年のバルセロナ五輪以来となった北京五輪では、メダル獲得を目標に意気込むも、結果は5戦全敗で1次リーグ敗退。苦い経験も踏まえ、東京五輪ではまず1次リーグを突破し、ベスト8進出を目標に掲げる。

12か国が2グループに分かれる1次リーグ、A組の日本が対戦するのはベネズエラ(7月24日)、カナダ(26日)、イタリア(28日)、ポーランド(30日)、イラン(8月1日)。すべて厳しい大陸予選を経て勝ち上がったチームばかりだが、その後につながる勢いをつけるため、まず大切なのは初戦だろう。欧州勢やアメリカ、ブラジルといった組織力を武器とするチームに比べれば、「個」の力で勝負を挑む印象の強いベネズエラだが、それぞれの長所を発揮させないために、まずはサーブで崩していきたい。無観客開催のため、4位と躍進したワールドカップのように地の利を生かした応援を背に受けることはできないが、強烈なサーブで世界にその名を轟かせた西田有志のサーブがどれだけ冴えるか。初戦から注目が集まる。

5月8日に行われた紅白戦で負傷し、リハビリに取り組んできた西田だが、回復は順調で5月末から6月に開催されたネーションズリーグで復帰を果たした。長らく試合から遠ざかっていたためゲーム勘を取り戻すべく苦しむ場面も見られたが、1日の休息を挟み連戦が続く東京五輪で尻上がりに調子を上げれば、世界屈指とも言われる西田のサーブは日本にとって大きな武器になるのは間違いない。

イタリア、ポーランドとまさに世界トップの強豪国との対戦を前に、勝ち星が欲しいベネズエラ戦、カナダ戦でどれだけのパフォーマンスを発揮できるかが試金石となりそうだ。

■得意の組織力に、フィジカル面も強化され躍進を狙う日本

女子に比べれば強烈なサーブやスパイク、1本のプレーで決着がつくイメージが強い男子だが、近年は戦略に基づくサーブや組織的なディフェンスを展開するチームも多く、日本も例外ではない。

これまでの対戦では、相手の高さやパワーに屈する場面も多く見られたが、世界トップリーグの1つであるイタリア・セリエAでプレーする石川を筆頭に186cmの西田や、ネーションズリーグでも攻守において抜群の安定感を見せた188cmの高橋など、体格で劣る選手もそれぞれの武器を持ち、世界と対等に渡り合う力は十分にある。加えて長年日本の課題とされてきたミドルブロッカーも、201cmの小野寺太志、204cmの山内晶大といった2m級の選手も揃い、高さも世界に引けを取らなくなってきた。

そして何より、常にクラブシーズンから世界の強豪と戦い、経験を重ねる石川の存在は日本チームに与える影響も大きく、高橋や西田、大塚達宣や高梨健太といった若手選手も、相手がどこだろうと自身のなすべきことを果たそうと果敢に攻める積極的な姿勢が目立つ。長きに渡り五輪出場を逃がし、ロンドン五輪で銅メダルを獲得した女子の後塵を拝してきたが、日本男子バレー復活も決して夢ではない。その第一歩となる東京五輪は経験を重ねるだけでなく、これからにつながる重要な戦いだ。

だが、それでも世界は強い。特にイバン・ザイツェフ、オスマニー・ユアントレーナーといった世界のトップスターが顔を揃えるイタリア、日本のパナソニックでプレーするミハウ・クビアク、ウルフドッグス名古屋でプレーするバルトシュ・クレクを擁し、2014、18年の世界選手権を連覇したポーランドも悲願の金メダルに向け準備は万全だ。

A組だけでなくB組に目を向けても、ブラジル、フランス、アメリカ、ロシア、アルゼンチン、チュニジアと、出場国はすべて強豪ばかり。チーム戦力、個々の経験など、まだまだ日本より地力で勝るチームが多いのも現実ではあるが、2019年のワールドカップや今年のネーションズリーグでも見せたように、サーブで主導権を握り、石川、西田、高橋の攻撃が生きればどんな相手でも勝機はある。

ベネズエラ、カナダに勝利し、イタリア、ポーランドといった強豪とどんな戦いを見せるか。そしてアジア最大のライバルであるイランとの1次ラウンド最終戦、互いに決勝トーナメントに向けて負けられない一戦をどのように戦うか。進化を遂げる男子バレー日本代表、その真価が問われる1次ラウンド。誰がコートに立ち、どんなサーブで攻めるのか。日本男子の戦いぶりに注目したい。
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