巻き返しのパターンが見えた!? 波乱も多い七夕賞を展望する
【2021/3/14 中山10R 東風ステークス 1着 3番 トーラスジェミニ】
牡牝および所属別成績
■表1 【牡牝および所属別成績】
ハンデ別成績(牡馬・セン馬のみ)
■表2 【ハンデ別成績(牡馬・セン馬のみ)】
人気別成績(牡馬・セン馬)
■表3 【人気別成績(牡馬・セン馬)】
ハンデ57キロ以上で好走した馬は延べ11頭おり、うち8頭は1〜3番人気に推されていた。ここに限ると【6.1.1.4】、勝率50.0%、複勝率66.7%、単勝回収率278%、複勝回収率141%と有望な数字が残っており、57キロ以上を背負った1着馬6頭もすべて含まれている。
ところが、ハンデが56.5キロ以下になると傾向が激変する。1〜3番人気は【0.1.0.13】と大苦戦で、続く4〜6番人気も【1.1.1.13】と振るわない。この1〜6番人気を合算した成績を出しておくと、【1.2.1.26】、勝率3.3%、複勝率13.3%、単勝回収率40%、複勝回収率41%。対して7番人気以下でも【2.3.7.52】、勝率3.1%、複勝率18.8%、単勝回収率242%、複勝回収率215%と好走率は変わらず、回収率は明らかに有利だ。ハンデ56.5キロ以下の馬に関しては、穴馬の激走に気をつけたい。
前走クラス別成績
■表4 【前走クラス別成績】
前走着順別成績
■表5 【前走着順別成績】
前走競馬場別成績
■表6 【前走競馬場別成績】
まず前走1〜3着馬から。前走でも同じ福島で好走していた馬は複勝率44.4%で、やはりさすがに好成績を収めている。また、中山の当該例は1頭のみだが、そのゼーヴィントが17年に1着。福島と中山はどちらも最後の直線が短い競馬場で、好走が直結しやすい様子が見て取れる。逆に直線の長い競馬場はどうかといえば、前走東京は【0.0.2.7】と連対例なし。また、前走新潟の4頭はすべて日本最長の直線を有する外回りを走り、4頭とも七夕賞では1〜3番人気に推されていたのだが、【0.0.0.4】と期待を裏切る結果に終わっている。
一方、前走4着以下からの巻き返しが多い競馬場として挙げられるのは、勝ち馬を3頭ずつ送り出している東京と阪神。出走例も多く、好走率自体が高いわけではないが、どちらも回収率は非常に高い。また、4頭に1頭以上の確率で巻き返している新潟や福島も軽視はできない。
前走距離別成績
■表7 【前走距離別成績】
【結論】
そこで前走4着以下馬に目をつけると、まず浮かび上がってくるのが前走東京かつ1600mのトーラスジェミニ。ハンデは57キロだから、3番人気以内に支持されると有力であることをデータは示す。同じくワーケアも前走東京かつ1600m。近3走は案外な結果に終わっているものの、昨年の日本ダービーでも人気の一角を占めた素質馬としては、そろそろ復活の狼煙をあげたいところだろう。
前走阪神も巻き返しの例が多い。昨年の勝ち馬クレッシェンドラヴは近3走G1に挑戦して結果にはつながらなかったものの、ここはコース適性を活かして挽回を目指したい。トップハンデ58キロは楽ではないように見えるが、データとしては複勝率50.0%で決して悪くない。また、前走阪神ではスカーフェイスも侮れない。2勝クラスを勝っての重賞挑戦で巻き返しのパターンではないが、前走1600m、前走条件戦と好走率の高い条件に該当する。
前走新潟も巻き返しが期待できるコース。今年登録がある3頭中2頭は過去9年で好走がない牝馬なので、必然的に残るのはヴァンケドミンゴということになる。【4.1.1.0】と大得意の福島に戻る昨年の3着馬にも注目したい。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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