「うどんが大好き」なデンマーク出身の浦和の新エース。ゴール量産の秘訣は「味方を信じて走り込むこと」【THE BEST RULE】

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【©J.LEAGUE】

5月の明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP(J1)に選出されたのは浦和レッズのキャスパー ユンカーだ。今季加入したばかりのデンマーク出身のストライカーは、すぐさまフィットし、ゴールを量産。浦和の新たなエースとしてその存在感を強めている。自身のこだわりやマイルールを明かしてもらいながら、ハイパフォーマンスの要因に迫った。

――改めて、月間MVPに輝いた感想を聞かせてください。
「大変光栄で、誇りに思います。なにより来日1か月目でいただけたことは、特別ですね。ただ一番大きかったのは、チームメイトと良い関係を築けたこと。それがなければ良い結果は残せなかったと思うので、チームとしていただいたという気持ちです」

――個人のパフォーマンスを振り返ると?
「とてもいいパフォーマンスができたと思います。イメージしたプレーができましたし、ストライカーとして相手に難しい状況を与えることができました。多くのチャンスを作れたし、ゴールを取ることもできました。自分の特徴やクオリティを見せられたと思いますが、一方でまだ改善できる部分もあります。この良い1か月をベースに、これからさらにいいものを見せていきたいです」

――ユンカー選手は今季から浦和の一員となったわけですが、Jリーグでプレーすることへの想いを聞かせてください。
「まず、Jリーグでプレーできるチャンスをいただけて、とても嬉しく思っています。僕は常に新しいことにチャレンジしたいと思っているし、実際にレベルの高いこのリーグに来て、素晴らしい経験ができていると感じています。浦和にはプロフェッショナルな環境があります。自分のように成長したいと考えている選手にとって、非常にいいクラブでしょう。どの選手もビッグクラブの誇りを持って、プレーしていると思います」

――リーグ戦初出場初ゴールを記録したのを皮切りに、5月は5試合で5得点と結果を出しましたが、早期フィットできた要因はどこにありますか?
「チームメイトに受け入れてもらったことが大きいですね。ピッチ内外で彼らは僕が活躍できるように、サポートしてくれています。僕自身は準備をすること、周りに対するリスペクトを持つことを意識しました。そして高いモチベーションとハングリー精神を持つこと。そういうメンタルが良い結果につながったと思いますし、日本にいる間はそのメンタルを持ち続けたいと思います」





デビュー戦でいきなりゴールを奪ったのを皮切りに5月は5試合で5得点を記録



――このインタビューでは、選手が持つこだわりやマイルールをお聞きしていきます。まず試合前のルーティーンを教えてください。
「とくにルーティーンといったものはないんですよ。ただ、どの選手もそうだとは思いますが、試合前は自然な睡眠を心がけています。自然な睡眠とは、目覚ましなしで、すっと起きられるような睡眠ですね。自分にとって、それが完璧な睡眠だと思っています。身体が十分な睡眠をとった状態で、リラックスして試合に臨むこと。そして楽しむということを意識してピッチに入ります」

――では、現在開催中のEURO2020を観るのは、なかなか難しいですね。
「そうなんです。すごく楽しみにしている大会なので、生で観られないのは残念ですね(笑)。だから朝起きてから、見逃し配信という形で観ています」

――デンマークはグループリーグの第3戦で勝利し、決勝トーナメント進出を決めましたね(※インタビューは6月24日に行った)。
「大事な勝利でしたね。それまでも、たくさんのいいプレーやチャンスを作っていたんですが、なかなかゴールが取れなかった。運もなかったと思います。でも、ロシアとの試合では多くのゴールを取ることができました。この勝利によって自信につながると思いますし、チームの団結力はさらに強まっていくと思います」

――睡眠と同じく、アスリートにとって食事も重要だと思いますが、食事に対するこだわりはありますか?
「食事に関してもできるだけ自然に摂ることを心がけています。これを食べないといけない、あれも食べないといけないと考えすぎてしまうと、ストレスにもなるので、食べたいもの、必要なものを食べるようにしています」

――日本の食事はどうですか?
「おいしいものがたくさんありますね。うどんは大好きですし、肉が乗ったどんぶりも好きです。今はいろいろ試しているところですが、どれもおいしいと思います」

――睡眠、食事以外で、コンディショニングのために取り組んでいることはありますか。
「若い時に怪我をしましたので、それを避けるためにも、ケアには時間をかけています。もちろん日々の練習も重要です。シャープな状態を保つことが良いパフォーマンスにつながりますし、怪我を避けることにもつながります。一方でトレーニングをやりすぎるのもよくないので、試合当日に100%の状態に持っていけるように、逆算しながらコンディションを整えています」

――プライベートで大事にしている時間はありますか?
「日本のいろんなところに出かけたい気持ちはありますが、今はこういう状況ですので、なかなかそれは叶いません。だから、オフの日はできるだけ寝る日にしています。あとはリラックスすることですね。いい国で、いい食事もありますので、その幸せを満喫しようとしています」

――チームメイトとのコミュニケーションで意識していることはありますか?
「ゲーム中にプレーしながら感じていることを、できるだけ周りに伝えように心がけています。例えば相手のバックラインが高いのであれば裏を狙う。そうでなければ、サイドハーフやボランチの使うスペースができているわけなので、そういったところを使おうと声をかけます。飲水タイムやハーフタイムでもできますが、流れのなかで声を掛け合うことが重要だと思っています。もちろん、僕が伝えるだけでなく、周りの声もしっかりと聞くようにしています」

――日本語もいくつか覚えましたか?
「ダイジョウブ、という言葉はよく使いますね(笑)」

――ユンカー選手の特徴は、やはりゴールだと思いますが、得点を取るために一番意識していることは何でしょう?
「直感が大事だと思います。ペナルティエリアのどこにボールが来るのかを、感じられるかどうか。また、相手にとって危険なスペースに、味方を信じて走り込むことも心がけています。常に動きながら自分のスペースを作り、そのスペースを使ってフィニッシュに持っていくことも大事なことです」

チームメイトを信じて走り込むことがゴールの秘訣だという

――そういう感覚はどうやって身に付けたのでしょうか?
「自分に対する自信と、ボールが来るということを信じることです。ノルウェーのチームでプレーしたことも大きかったですね。非常にハングリーなチームで、全員がベストを尽くすということ、勝利に対する強いメンタリティを持っていました。このようないいチームでプレーしたことで、身に付いていった部分もあると思います」

――プロサッカー選手として一番大事にしていることを教えてください。
「やっぱり、メンタル面になります。勝利のためにいいパフォーマンスを見せる気持ちを常に持ってプレーすること。周りと比較するのではなく、常に自分自身と向き合い、最高の状態を見せるという覚悟ですね。その覚悟はポジションにも、年齢にも関係なく持てるものだと思います。僕は今27歳ですけど、まだ試合に出られていない20歳の選手であっても、持たなくてはいけない。そうでなくては、いざピッチに立つ時に、最高の姿を見せることはできないでしょう。自分がいいサッカー選手であるということを信じ続けるメンタリティが、プロにとって大事なことだと思います」



――これから相手の対策が厳しくなってくると思いますが。そこで大事になってくるものはなんでしょうか。
「相手が対策を練ってきても、問題ないと考えています。そのなかでも湘南戦では2点を取ることができましたし、柏戦ではチームメイトがより危険な存在になることにつながりました。クロスが入った時に、2人の選手が自分をマークしていたので、関根選手や宇賀神選手がフリーになりましたから。誰がゴールを決めるかではなく、チームが勝つことが重要なんです。そのなかでもちろん得点を奪うためにベストを尽くしますが、僕のマークが厳しくなることで他の選手にチャンスが増えるのであれば、それはチームが大きなアドバンテージを持つことになります」


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