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千葉ロッテが交流戦直後に施した2つのトレード。解決が期待されるチームの“課題”とは?

パ・リーグインサイト

シーズン途中のトレードは、これまでの戦いぶりや内容を反映したものでもある

 巻き返しに向けた2つのトレードは、チームの課題を解決するためのラストピースとなるだろうか。千葉ロッテが、6月14日に有吉優樹投手と国吉佑樹投手、6月15日に加藤翔平選手と加藤匠馬選手と、交流戦終了直後に相次いで2つのトレードを成立させた。どちらも交換相手がセ・リーグの選手とあって、普段パ・リーグの試合を中心に見ているファンにとっては、ややなじみの薄い選手かもしれない。

 シーズン途中のトレードは、これまでの戦いぶりを通じて浮かび上がってきたチームの弱点や、課題を解決することが目的となる。では、今回のトレードによって解決が期待される現在のチームが抱えた課題とは、いったいどのようなものだろうか。

 今回の記事では、今回新たに千葉ロッテの一員となった2選手の経歴や特徴について紹介するとともに、その加入によってチームにもたらされることが期待されるプラス要素や、球団が獲得に踏み切った理由として考えられるものについて、それぞれ紹介していきたい。

最速161km/hの速球を武器に、横浜DeNAブルペンの貴重なピースとなっていた

 まず、国吉佑樹投手がこれまでに記録した年度別成績について見ていこう。

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 国吉投手は、秀岳館高校から2009年育成選手ドラフト1位で横浜に入団。2012年には先発としてキャリア最多の112.2イニングを投げる活躍を見せたが、2014年以降はリリーフを主戦場として登板を重ねた。2016年以降はやや出場機会を減らしていたが、カットボールを投球の軸の一つに据え始めてからは課題の制球に一定の改善が見られ、再び一軍戦力として重用されるようになっていった。

 その最大の武器は快速球で、2019年には161km/hという大台超えの数値を記録。また、2019年以降の3シーズンはいずれも投球回を上回る奪三振を記録しており、パワーピッチャーならではの高い奪三振率も特徴の一つだ。それに加えて、今季は18試合で29.2回を投げているように、ロングリリーフをこなせるタフネスぶりも兼ね備えている。こうした利便性の高さも、国吉佑樹投手の持ち味と言えるだろう。

 剛速球を武器にセ・リーグで活躍した右腕ということで、千葉ロッテファンの中には澤村拓一投手を連想する方も少なくはないことだろう。抜群の切れ味を誇った澤村拓一投手のスプリットのような絶対的な決め球はないものの、球速に関しては国吉佑樹投手のほうが上なだけに、パ・リーグの野球に適応することができれば、現在はメジャーリーグで活躍を見せている剛腕の、後釜となりうるだけのポテンシャルはあるはずだ。

 また、千葉ロッテの救援陣は、田中靖洋投手、フランク・ハーマン投手、唐川侑己投手といった面々の故障や不調に加え、昨季活躍を見せた小野郁投手と東條大樹投手もやや安定感を欠いている。佐々木千隼投手と大嶺祐太投手がリリーフとして復活し、故障者の復帰も見込めるものの、ブルペンの層の拡充は急務と言える状況だった。本格派が多いリリーフ陣の中でも異彩を放つ剛速球を持つ国吉佑樹投手の獲得は、その点でも理に適ったものと考えられる。

球界屈指の強肩は、足攻めに苦しむチームを救うか

 続けて、加藤匠馬選手の年度別成績も同様に見ていきたい。

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 加藤匠選手は三重高校、青山学院大学を経て、2014年のドラフト5位で中日に入団。プロ入りから4年間は出場機会に恵まれなかったが、プロ5年目の2019年には一軍で92試合に出場し、強肩を武器に活躍を見せた。正捕手不在の状況の中で一歩抜け出したかに思われたが、2020年には同じく強肩の持ち主で、高い盗塁阻止率を誇る木下拓哉選手の台頭と、自身の打撃不振が重なって出場機会が減少し、今季は一軍での出場が1試合もなかった。

 加藤匠選手の持ち味といえば、なんと言っても「加藤バズーカ」の異名を取る球界屈指の強肩だろう。今季の千葉ロッテは正捕手の田村龍弘選手の離脱後、柿沼友哉選手が4月9日の埼玉西武戦で1試合5盗塁を許した。また、佐藤都志也選手はスローイングに難があり、盗塁阻止以前に送球が逸れるケースが少なくない。そういった事情を鑑みても、加藤匠選手の獲得は、盗塁阻止率向上への切り札となるかもしれない。

 強肩というニーズを抜きにしても、昨季、今季と2年連続で田村選手の離脱後にチームがやや苦しんだという事情もあって、捕手の選手層を厚くすることも必要となっていた。現状の捕手陣にはない明確な武器を持つ加藤匠選手の加入は、有事におけるチームの戦力ダウンを最小限にとどめるという意味でも、大きな価値を持つ可能性はありそうだ。

シーズン途中のトレードが奏功し、貴重な戦力となったケースも

 また、近年の千葉ロッテでは、シーズン途中のトレードをきっかけに活躍を見せる選手も存在している。澤村投手は巨人では不振で三軍降格も経験するほどに苦しんでいたが、昨季途中のトレードを機に復活。8回を任されるセットアッパーとして大車輪の活躍を見せ、22試合で13ホールド1セーブ、防御率1.71と安定感抜群の投球を披露した。その活躍はMLBからも高い評価を受け、現在はレッドソックスで中継ぎの一角として活躍している。

 岡大海選手も、2018年途中に北海道日本ハムからトレードで加入して以降、バイプレーヤーとして一軍に定着。俊足を活かした走塁や守備だけでなく、4月21日にはチームにとって20年ぶりとなる逆転サヨナラ本塁打を記録したように、速球に強くパンチ力のある打撃でもたびたびインパクトを残している。現在は和田康士朗選手に次ぐ代走の二番手、対左投手のスタメンや代打、外野と一塁の守備固めといった、幅広い器用に応えてくれる貴重な戦力となっている。

優勝を狙う今シーズン、積極的な動きが上昇気流を生み出すか

 投手と捕手に離脱者が相次いだこともあり、交流戦終了時点で勝率.500の4位に甘んじている千葉ロッテ。課題解決への目的意識を感じる今回のトレードが、期待通りの効果をもたらせば、ブルペンに厚みが増し、相手の機動力への抑止力が生まれることだろう。

 さらに、6月16日にはかつて中日でプレーした助っ人左腕、エンニー・ロメロ投手の入団も決定し、3日連続で補強を行う積極的な動きを見せた。12球団トップの300得点を記録している打撃力は申し分ないだけに、防御率がリーグ最下位と明確な課題となっているディフェンス面が改善すれば、上昇気流に乗っていく可能性は大いにあるはずだ。

 チームに新風を吹き込んで2位を確保する要因にもなった、澤村投手を獲得した昨季のトレードのように、今回の補強もチームにとって“大当たり”となるだろうか。期待を背負ってマリーンズのユニフォームに袖を通す2名の選手が、2005年以来となるリーグ優勝を狙うチームにとって、まさに救世主となるような活躍を見せてくれることに期待したいところだ。

文・望月遼太

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