今年も10万馬券以上!? マーメイドSを分析する

JRA-VAN
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【2020/6/14 阪神11Rマーメイドステークス(G3)1着13番人気サマーセント(7番人気)】

牝馬限定のハンデ重賞・マーメイドS。いかにも荒れそうな条件設定だが、実際にここ3年は7番人気以下の馬が連続して優勝するなど、波乱度の高い一戦だ。そんなマーメイドSの過去10年の傾向を分析してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

牝馬限定・ハンデ重賞の3連単高配当ベスト3(2011年以降)

表1 【牝馬限定・ハンデ重賞の3連単高配当ベスト3(2011年以降)】

まず表1はマーメイドSと同じ「牝馬限定・ハンデ戦」という条件で行われている重賞についてそれぞれ、2011年以降の3連単高配当ベスト3を調べたものだ。このマーメイドSは10年のうち8回が10万馬券以上だったが、最高配当は2011年の42万馬券止まりで、他の3重賞に当てはめれば3位相当にしかならない。3連単10万馬券以上の出現率が高い一方で、超高額配当までは期待しづらいレースだ。

人気・単勝オッズ別成績

表2 【人気・単勝オッズ別成績】

マーメイドS過去10年の人気別成績をみると、複勝率1位は7番人気の60.0%、そして2位はなんと10番人気の50.0%で、これに次いで1、2番人気の40.0%となっている。ただ、10番人気で優勝した2018年アンドリエッテの単勝配当は1710円。人気が割れ、中〜下位人気の馬でも人気順の割に単勝オッズは低くなりやすい

その単勝オッズ別の成績は、4倍未満だった人気馬が【2.1.1.1】複勝率80.0%の好成績をマークしている。続く4〜9倍台の馬は【2.2.5.33】で特に勝率4.8%と連対率9.5%が低く、単複の回収率も低調。これより下の10.0倍〜29.9倍の馬が【6.6.3.43】と多く好走しており、勝率・連対率・複勝率はいずれも4〜9倍台を上回る。単複の回収率も146%、122%と優秀だ。このゾーンより上の単勝30倍以上になると好走馬が激減するため、単勝10.0倍〜29.9倍に該当する馬を積極的に狙いたい。

単勝10倍以上30倍未満の好走馬

表3 【単勝10倍以上30倍未満の好走馬】

その単勝10倍以上30倍未満の好走馬は表3の15頭である。その15頭すべてに共通するのは前走9着以内で、このレースが休養明けではなかったこと。この条件を満たす馬は【6.6.3.22】複勝率40.5%、単複の回収率229%、192%となる。もし該当馬が多すぎるようなら、前走が重賞以外(13/15頭)、今回ハンデ50〜53キロ(12/15頭)、4〜5歳馬(12/15頭)といった条件で絞りたい。

前走クラス別成績

表4 【前走クラス別成績】

表4は、単勝オッズを問わない全馬の前走クラス別成績。3勝クラス(旧1600万条件)組と重賞組がそれぞれ10頭ずつの好走馬を出しているが、重賞組は10頭中9頭が2〜3着と勝ち切れないのに対し、3勝クラス組は10頭中6頭が1着だ。

その3勝クラス組の好走馬10頭中8頭は表3の該当馬。残る2頭は2014年1着ディアデラマドレと、2015年2着マリアライトの4歳馬2頭で、どちらも今回ハンデ53キロの1番人気馬だった。

また、さらに下の2勝クラス組からも5頭が好走している。この組は前走で2着に0.1秒以上の差をつけて勝っていれば【1.3.1.3】で複勝率62.5%になる。加えて、好走した5頭の前走はすべて特別戦で、3番人気以内に支持されていた。

前走重賞からの好走馬

表5 【前走重賞からの好走馬】

前走重賞組の好走馬は表5の10頭で、どの馬も4月以降のレースに出走していた。この組は、前走6番人気以下かつマーメイドS単勝15倍未満というのが好走パターン(10頭中8頭)。前走5番人気以内だった馬は【0.1.0.12】、本競走で単勝15倍以上の馬は【0.0.1.16】と苦戦している。10頭中9頭がハンデ53キロ以上の馬、10頭中8頭が5歳以上の馬。52キロ以下は【0.0.1.7】、3〜4歳馬は【0.0.2.13】とどちらも連対がない。

前走オープン特別からの好走馬

表6 【前走オープン特別からの好走馬】

最後に表6は前走オープン特別組で、3着以内に入った5頭の前走はすべて芝1800m戦だった。前走脚質には大きな偏りがあり、3コーナー通過順が先頭だった馬は【0.1.0.1】、2〜12番手は【0.0.0.9】、そして13番手以下なら【2.1.1.1】。好走した5頭の前走着順はいずれも5着以下のため、「末脚不発」か「逃げ粘れず」という結果に終わった馬が巻き返していることになる。

【結論】

表2〜3で触れたようにマーメイドSは単勝10倍以上30倍未満の馬が多く好走し、中でも前走9着以内で、今回が休養明けではなかった馬が複勝率40.5%などの好成績を残している。たとえば3勝クラス組からシドニーT1、2着のソフトフルートやアカイイトが上位人気になるようなら、同4着のクラヴェルが出走してこのくらいのオッズになればおもしろそうだ。人気順やオッズに左右されない中では、前走2勝クラスの特別戦で1番人気に支持され、2着に0.2秒の差をつけて勝ったロータスランドが出走すれば注目したい(表4本文)。

ただ、本稿執筆段階では抽選対象になりそうな馬が多い上、混戦模様で事前にオッズを予想することも極めて難しい。レース当日、できれば発売締切時刻が近くなってから単勝オッズや人気順を見つつ買い目を決めるのがいいだろう。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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著者プロフィール

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