【サーフィン五輪最終選考】フランスが金、日本が銀メダルを獲得!

チーム・協会

【Photo: ISA / Ben Reed】

51カ国の選手が中米・エルサルバドルを舞台に8日間に渡って争った『2021 ISAワールドサーフィンゲームス』が現地時間6月6日に終了。

今回は東京五輪の選手選考、優先順位2番目のイベント。
この舞台で全ての代表選手が決定する大切な試合となり、いつものWSGよりも白熱した戦いに!
更に最終日は大原洋人と村上舜が東京五輪出場の最後の1枠をかけた勝負があり、世界中が注目する中、両者ともに素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。

波乗りジャパンがメダルを3つ獲得!

五十嵐カノア 【Photo: ISA / Ben Reed】

大原洋人 【Photo: ISA / Ben Reed】

2018年、2019年と2年連続で日本開催となったWSGとは全く違うシチュエーションで開催された今年ですが、日本代表「波乗りジャパン」は連日快進撃を続け、最終日に五十嵐カノア、大原洋人、村上舜、前田マヒナと6名中4名が残っていました。

これはフランスの3名を上回るトップの人数。

大原洋人、村上舜による日本代表の1枠をかけての争いはリパチャージR12で大原洋人が勝ち上がった一方、村上舜が敗退した時点で大原洋人の手に渡りました。

2019年のWSGで暫定的に代表枠を確保していた村上舜、そして松田詩野でしたが、今回は残念な結果に…。
しかし、まだ二人とも若く実力も世界レベルなのはみなさんがご存知の通り、次のパリ五輪で戻ってくる可能性も十分にあります。

村上舜が敗退したリパチャージR12の後には、CTでもMCを務めているクリス・コートが以下のコメントを残しています。

「(村上舜は)ISAワールド・サーフィン・ゲームズで金メダルを獲る可能性も秘めていた男だ。 彼はオリンピックの金メダルを獲得することもできたでしょう。 彼はおそらくWSLチャンピオンシップツアーに参加できるはずです。 彼はスタブ・ハイに勝つこともできる。彼はその全てを手にし得る。でも今は彼の勝利に向けたスリルから、敗北への苦悩へに思いを寄せましょう。(彼は負けましたが)それは村上舜のパフォーマンスから何かを奪ったり取り上げたりするものではありません。彼のサーフィンはこのイベントを通して世界をインスパイアし、それは高く評価されます。 残念ながら、大会を敗退し、2か月後に東京で日本のために争うことにもお別れですが、世界で最高のグーフィーフッターの一人です」

メンズはジョアン・ドゥルー、ジェレミー・フローレス、五十嵐カノア、大原洋人によるグランドファイナルとなり、CT選手、元CT選手によるレールゲームの末、ジョアンが僅か3本の波でトータル14.94を出して優勝。

五十嵐カノアが2位で2018年のWSGに続く銀メダルを獲得、大原洋人は4位でクーパーメダルを手に入れています。団体では前日にチームポイントでフランスを抜いてトップに立っていた日本でしたが、僅差で最終日に抜かれてしまい銀メダル。
今年のWSGで日本代表「波乗りジャパン」は3つのメダルを獲得しました。

村上舜 【PHOTO: ISA / Sean Evans】

前田マヒナ 【 PHOTO: ISA / Sean Evans】

フランスが金メダルを2つ獲得

ジョアン・ドゥルー 【PHOTO: ISA / Pablo Franco】

2017年、フランスのビアリッツで開催されたWSGで団体金メダルを獲得した経験があるフランス。
今年はどの国よりも有力な選手を揃えて挑み、見事に2回目の団体金メダルを獲得。
個人ではジョアンが金、ジェレミーが銅を獲得しています。

「まだ信じられないほど興奮しているよ。この大会で良い結果を出せるとは思っていなかったんだ。1年以上家にこもり、スポンサーも失ってしまったんだ。そんな状況でこのコンテストの参加が決まった。4週間前からトレーニングを再開したよ。優勝なんて本当に信じられない」
ジョアン・ドゥルー

元CT選手のジョアンはその経験を活かし、イベントではハイスコアを出すよりもコンスタントにミドルスコアを重ねるような安定した試合運びで勝利を重ねていました。

ちなみに東京五輪のフランス代表はジェレミー・フローレス、ミシェル・ボウレズに決まっていますが、ミシェルは怪我で棄権したためにその怪我の具合では不透明と言えそうです。

サリーが3度目の個人金メダルを獲得

サリー・フィッツギボンズ 【PHOTO: ISA / Pablo Franco】

ウィメンズはオーストラリアのサリー・フィッツギボンズがCT選手として唯一ファイナルに残り、トータル14.10と2位以下に大差で優勝。
サリーを含めた4名は全て東京五輪の代表選手で、今夏の千葉でこのようなカードが実現する可能性があります。

サリーは2008年、2018年にも個人金メダルを獲得した経験があり、今回で3度目。
これは史上初の快挙で、本番の東京五輪でも期待が高まります。

「このイベントは私達の精神的な強さを試すための非現実的なプラットフォームになった。最後に金メダルを持つことが出来て最高ね。東京五輪に向けての素晴らしい戦いとなり、オリンピックの出場権をかけての争いを見るのはとても良かったわ。ワールドツアーに参加していると他の多くのオリンピック選手とサーフィンする機会がないの。彼らと対戦することは良い練習になるし、他のオージーチームとの絆を深める時間にもなる。サーフィンは遂に世界的なスポーツになった。認知度も上がってきたわ。私達はオリンピックに出場する。それが自分のキャリアの節目となるのは素晴らしいことよ。私はこのスポーツが大好きなので、出来る限り続けていきたいと思っているわ」
サリー・フィッツギボンズ

クロージングセレモニー

東京五輪の代表枠を手に入れた選手 【PHOTO: ISA / Sean Evans】

今回のクロージングセレモニーでは各メダルの授賞式の他、東京五輪の代表枠を手に入れた全ての選手が壇上に上がり、歴史的な功績を称えていました。
ISA会長のフェルナンド・アギーレ氏は一人一人の功績を称え、記念トロフィーを贈呈。
更にエルサルバドル政府がこの歴史的なイベントを開催するために強いコミットメントとサポートをしたことを認め、モレナ・バルデス観光大臣に表彰状と開会式で使用した「世界の砂」を提供し、イベントの歴史がエルサルバドルに残るようにしました。

「エルサルバドルのサーフィン界にとって歴史的な一週間。しかし、これは決して軽々しく言えることではない。パンデミックが始まって以来、初めて世界中から51のサーフィン国が平和に集まる安全な環境を作ることが出来ただけでも偉業だが、サーフィンの五輪のクオリファイを成功させ、世界中から40人のサーファーの夢を確定することが出来たんだ。これは今後何十年、何百年にも渡ってサーフィンの歴史に残る瞬間であり、最初のオリンピックサーファーを公式に発表した日でもある」

「エルサルバドルはこの世界的なイベントを運営するのに最適な会場を提供してくれた。一週間を通して波が止まらず、世界最高のナショナル・サーフィン・チームがサーフィンを披露することが出来た。サーフィンの力を信じ、サーフィンを通じて世界をより良い場所にするという私たちの使命を信じてくれたエルサルバドルのネイブ・ブケレ大統領には、特に感謝したいと思う。またこの場所に戻ってくることを願っているよ」

「私はオリンピックの実現という波を捕まえるのに、22年間パドリングを続け、それが実現した。そして、最初の40人のオリンピック選手がいる。オリンピックの波は私たち一人一人のものです」

ISA会長のフェルナンド・アギーレは最後のスピーチをしてISAのテーマソング「「A Better World Through Surfing」を披露。
この曲はグラミー賞を何度も受賞しているアルゼンチンのSr.フラビオ・チャンチャルロが作曲。私達の海への愛と、サーフィンを通じてより良い世界を実現するという信念を讃えています。

ISA会長のフェルナンド・アギーレ氏 【Photo: ISA / Ben Reed】

東京オリンピックには17カ国40名の選手が集まる

今大会の結果を以って、サーフィンが初めて五輪競技となる東京オリンピックに出場する17カ国40名全ての枠が決定。

2019CTランキングから既に出場を決めていた選手のほか、今大会では下記の12名が出場権を確保しました。

■男子
大原洋人(日本)
レオン・グラッツァー(ドイツ)
ルーカ・メシナス(ペルー)
ミゲル・チュデラ(ペルー)
マニュエル・セルマン(チリ)

■女子
ヨランダ・セケイラ(ポルトガル)
テレサ・ボンバロ(ポルトガル)
ダニエラ・ローザス(ペルー)
レイアニ・マクゴナグル(コスタリカ)
ポーリン・アドゥ(フランス)
前田マヒナ(日本)
都筑有夢路(日本)

これにより、2019年のISAワールドサーフィンゲームスやパンアメリカンゲームスの枠が繰り上げになり、以下4名も新たに出場枠を手に入れました。

和井田理央(インドネシア)
レアンドロ・ウスナ(アルゼンチン)
ソフィア・ムラノビッチ(ペルー)
ドミニク・バローナ(エクアドル)

インドネシア代表として出場する和井田理央 【Photo: ISA / Ben Reed】

『2021 ISA ワールドサーフィンゲームス』結果

団体結果
1位 フランス
2位 日本
3位 ポルトガル
4位 ペルー

メンズ個人結果
1位 ジョアン・ドゥルー(FRA)
2位 五十嵐カノア(JPN)
3位 ジェレミー・フローレス(FRA)
4位 大原洋人(JPN)
…6位 村上舜(JPN)

ウィメンズ個人結果
1位 サリー・フィッツギボンズ(AUS)
2位 ヨランダ・セケイラ(POR)
3位 テレッサ・ボンバロ(POR)
4位 ダニエラ・ローザス(PER)
…8位 前田マヒナ
…9位 都筑有夢路
…41位 松田詩野

その他の結果や動画、ニュースは特設ページにて。

★THE SURF NEWSは『2021 Surf City El Salvador ISA World Surfing Games』のオフィシャル・メディアパートナーとして協力しています
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