<国内男子ゴルフ>きっとあなたもクセになる。祝V3。岩田寛の世界観

チーム・協会

【ヒロシの貴重な笑顔©JGTOimages】

■国内男子ゴルフ/日本最古のスポンサー競技復活「第61回中日クラウンズ」(4月29日ー5月2日)/ 名古屋ゴルフクラブ和合コース)(愛知県)/ 一般非公開 / 6557ヤード・パー70 / 5月2日(最終日・第3ラウンド)

V後の第一声は「このあとスピーチがあるので。そのことで、頭が一杯」。
いざ、カンペを頼りにスタンドマイクでたどたどしく、「もう3回目なんですけど慣れなくて。暖かく見守ってください」。

一見、わかりにくいが凄く喜んでいる。
6年ぶりのツアー通算3勝目を逆転で飾った岩田寛は「久々の優勝で泣くかな、と思いましたが嬉しいほうが勝って今、興奮しています」。ニコリともせず言った。

プロ17年目の今も人前で、感情を出すのが照れくさい。
大事なことほど慎重に、言葉を選ぶから沈黙が長くなる。

「両親の実家が愛知なので。親戚も一杯いるし、伝統のある大会で優勝できてよかったです」は、精一杯の口上だ。

ガッツポーズも苦手。
それでも、全力の決めポーズは「周りの人にしろって言われますのでやりました」。
3度目の優勝は、難攻不落の和合でヒロシワールド全開だ。

2打差の7位タイから出た最終日は強風下で淡々と「63」を出した。
1番から連続バーディで追いつくと、再び5番の連続バーディで逆転した。
アイアンで、ビタビタチャンスにつけた。
この日7つのバーディは、ほとんど2メートル内から奪った。
「17番で3打差あると分かってめちゃくちゃ緊張した」。
でも、微塵も見せずにひょうひょうと、危なげなく逃げ切った。

昨年の最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は「思い出したくもない」。上り2ホールの惜敗だった。
「ミスして負けた。悔しすぎて。引きずりました。何週間か寝られなかった」と、心を燃やし続けてシーズン再開を迎えた。

「自分も40歳になりましたけど、藤田(寛之)さんとか、ビジェイ・シンとか。40歳になって、たくさん勝ち星を重ねた人もいる。その人たちを励みに頑張ろうと思っています」と、目標を明かした。

先月には大学後輩の偉業もあった。
早朝のテレビ観戦で「ヒデキがバーディ獲っても、池に入れてもずっと太ももを叩いてました」。松山のメジャー初制覇の瞬間は「疲れました」と、入れ込みすぎた。

「ヒデキは日本ゴルフ史上最高の選手。その彼が勝てなかったら誰も通用しない。勝っていろんな道を切り拓いてくれた」と、厚く感謝。
「ヒデキが目澤くん(目澤秀憲コーチ)に習い出して。ヒデキも習うんだ、と思って。目澤くんのYouTubeも凄い見ました。参考になったこと……ありました。言わないですけど」。

今年は震災10年。3月のあの日、あの時刻にいつものように、故郷仙台の海を見下ろすコースで黙とうを捧げた岩田は、「これからも、忘れちゃいけないことと、前に進まなくちゃいけないことがあると思う」と、ポツリと言った。
口下手だが秘めた思いは超熱い。
「たくさん勝ち星を重ねてみんなの笑顔が見たい。会場で、まだ観戦はして頂けないですけどテレビの前のみなさんに、少しでも感動を与えられたら…と、思っています」。
一番大事なところは照れも隠しもしなかった。

【ゲッツ©JGTOimages】

※2年ぶりの開催となった今年は初日が大雨のため中止。54ホールの短縮競技となり、ジャパンゴルフツアー規程により賞金加算は75%ですが、主催者のご厚意により、選手には全額支払われます。
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